自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

家の性能

FASの家で潜熱蓄熱材を増やす思考実験

FASの家は謳い文句に反して熱容量は不十分と結論づけましたが、一方で床下に潜熱蓄熱材を放り込めば簡単に蓄熱性能を上げられるという特長も持っています。コストの壁はあるにせよ、やろうと思えば出来るのは利点です。 では、どのくらい潜熱蓄熱材を追加す…

換気量と二酸化炭素濃度

FASの家では、換気回数を減らしても良いと言う特殊認定を取ろうとしているようですが(こちらの記事の末尾に記載)ようですが、それに関してちょっと気になったのが二酸化炭素濃度です。24時間換気は、そもそもシックハウス症候群対策として法律で義務づけら…

FASの家の調湿能力は十分か?

調湿能力の必要値をラフに計算してみましたが、FASの家の調湿能力はそれに対してどの程度でしょうか? 同社ウェブ・サイトでは以下の様な記述を見つけられました。 延床面積40坪の場合で、床下のスカットール(シリカゲル)は200kg程度。 スカットールは自重…

FASの家の蓄熱性能

FASの家の特徴の1つは、潜熱蓄熱材を使って建物の熱容量を大きくし、パッシブハウスに近づけることにあります。 とは言いながら、ウェブ・サイトには具体的な熱容量の値が書かれていないので、どの程度良いものなのかが分かりません(住宅業界はこういうの…

調湿性能の必要値

FASの家は湿度管理機能を備えている事が大きな特徴の1つです。これはひとえに、「温度よりも湿度が重要」という開発元のポリシーによるもののようです。 では、そもそも調湿能力はどの程度必要なのか? 1.必要な調湿能力はどう考えるか? 調湿能力とは、詰…

基礎断熱

「基礎断熱」という言葉(工法)があります。住宅の熱的な快適性にかなり関わる話なのでちょっと考察してみます。 1.基礎断熱って何? 正確な言葉の定義が分からないのですが、どうやら「床暖熱」に対して使われる用語のようです。 つまり、床に断熱材を敷…

熱容量はどの程度必要か?

過去に必要な断熱性(Q値)はどの程度か?とか、必要な気密性(C値)はどの程度か?について考察を書きましたが、熱容量については同様に大切だと書いたくせに、どの程度が必要かを書いていないことに今更ながら気づきました。 そこで今回は、熱容量の必要値…

潜熱蓄熱材の使用事例

以前、建物の熱容量を大きくするために、潜熱蓄熱材を活用できないかという話を書きましたが、その実例を見つけました。FAS(ファース)の家です。 これは潜熱蓄熱材以外も含めて非常によく考えられた家と感じましたが、ここでは潜熱蓄熱材の活用に絞って見…

一条工務店のハイブリッド免震と長周期振動

私が免震住宅を購入するとしたら、それは多分一条工務店のものになるでしょう。(他のメーカで建てることになったら、費用的に免震を断念することになると思われるので。) 一方、前回考察した通り、一条工務店方式だと共振現象に注意が必要です。免震機構に…

免震工法の比較

費用を別にすれば、地震対策の観点では免震工法がベストの選択と言えますが、免震工法の中にも何種類かあるので、それぞれの利害得失を考察します。 1.比較時の着目点 そもそも免震装置が備えているべき機能は以下の3つなので、この3点に着目して比較して…

耐震性と共振周波数の関係-後編-

-前編から続く- 3.共振周波数と地震対策 地震の揺れの周波数が建物の共振周波数に近いと、建物が「効率良く」揺れてしまい、倒壊の恐れが高くなります。従って、その条件が成立することだけは何としても避けねばなりません。 (1)古の住宅 昔々の筋交…

耐震性と共振周波数の関係-前編-

今日の話はちょっと難しいです。その名も「共振周波数」という難しい用語が登場します。今回は「共振周波数」という概念を使って、地震対策を読み解いていきます。 1.共振周波数とは? なるべく分かり易く共振周波数の概念を説明しましょう。 先ず、竹ひご…

耐震と制震と免震

地震の多い日本で家を建てようという人の中に、地震対策を気にしない人は居ないと思います。 今回は大きく3つある地震対策について思うところを書いてみます。その3つとは、多くの方がご存じの通り、耐震、制震、免震、です。 1.耐震 建築学で言う正確な…

窓からの日射量を概算する

無暖房住宅にできるだのできないだのと言う話を書きましたが、そもそも冬に無暖房にできる為には、十分な日射量が取り込めねばなりません。それ無くしては、建物の熱容量だの何だのは全く無意味な議論です。 では、普通に考えて、どのくらいのエネルギーが取…

もう一つの蓄熱手段

省エネのためには大きな熱容量が必要なのですが、これは昼間の太陽熱を建物躯体に十分に蓄えることで、夜間の暖房を最小限に済ませる(究極的には不要にする)ことを狙ってのものです。 今までは快適性との両立という観点で、建物躯体に蓄熱するアプローチを…

高断熱・高熱容量の木造は快適か?

これまで、高い断熱性が必要だ、とか、それだけではダメで高い熱容量も必要だ、などと書いてきました。それ自体は正しいと今でも思っていますが、はて、それだけで足りるんだっけ?を改めて考えてみました。 1.前提 当然ですが、家全体を快適な温熱環境に…

床暖の利害得失

今回は暖房機器としての床暖の利害得失を考えてみます。 最近は、立場によって(つまり前提とする建物の性能によって)良し悪しの評価が異なる気がしてきました。 1.加熱手段としての良否 快適性の観点から言うと、輻射による加熱がベストです。これに異を…

空調機の必要能力

建築計画も中止になったことですし、当面はのんびり考察を重ねていくことにします。 先ずは空調関係から。 今回は、空調機の必要能力を算出します。 この算出には建物のQ値が決まっている必要があります。現時点では当然確定していないので、仮の数値として…

窓業界も閉鎖的

窓の性能について書きましたが(前編,後編)、今回は定量性に欠ける話にならざるを得ませんでした。と言うのも、窓メーカから窓の性能に関する数値が公表されていないからです。勿論、全く公表されていないわけではありませんが、「性能等級のH-3」など断片…

窓の性能-後編-

-前編から続く- <アルミ樹脂複合サッシ>前項までは窓の中でもガラス部分の話でしたが、これは枠の部分の話です。窓枠がアルミだと非常に熱を通し易く、「断熱って何の話?」という感じになってしまうので、樹脂(プラスティック)を使って高い断熱性を得…

窓の性能-前編-

先日は日射の取り入れ方、避け方について書きましたが、次は実際に日射を採り入れる(あるいは遮る)ことになる窓について。 1.そもそも熱の伝わり方は3つある そもそも窓に限らず、熱が伝わるメカニズムには、「伝導」、「対流」、「輻射(又は放射)」…

日射の採り入れ方、避け方

今日の話は受け売りです。 元ネタは、以前紹介した太陽建築(2020/04/26注:リンク切れ)です。とある雑誌に紹介されていたのをきっかけに知りました。なお、日本外断熱総合研究所(2020/04/19注:サイト主が転職したのか、ウェブサイトが全く別の個人ブログ…

熱容量を大きくする方法

建物の熱容量が大きければ、断熱性の高さと相まって温熱環境が快適になるはずだと言う話を書きました(前編,中編,後編)が、仮にその話に賛同できたとするなら、次に問題になるのが「どうやったら熱容量の大きな建物が実現できるのか?」です。実現手段が…

熱容量と快適性-後編-

-中編から続く- 5.空調機の微弱運転化 これは純粋な快適性とはちょっと異なりますが、空調機がピーク運転をしなくなるので、間接的に快適性も高まる、‥‥かも知れない(使う空調機器の種類次第ですね)と言う話です。以下では熱容量の小さな建物と大きな…

熱容量と快適性-中編-

-前編から続く- 3.熱容量の大きな建物の温度変化 前編で使った「湖に沈めた水瓶」のたとえ話において、建物の熱容量が大きいというのは下図のように表されます。 水瓶が大きくなり、今までと同じだけの水の出入りがあっても、水瓶の中の水位(室温)の変…

熱容量と快適性-前編-

住宅の温熱環境を快適にするために、高い断熱性(小さなQ値)が必要という話はあちこちで述べられており、概ね常識になっていると言っても良さそうです。但し、室内を快適にするためにはもう1つ重要な項目が抜けていると私は考えています。それは建物の熱容…

換気によるQ値の悪化-一条工務店のデータを使って検算-

換気によるQ値の悪化を、顕熱分で0.43、潜熱分で4.0、と計算しましたが、これが正しいかどうか、余所様のデータを使って検算してみましょう。なにぶん、今回はちょっと自信が薄いので。 こちら(2020/04/27注:リンク切れ)にある一条工務店のデータで、Q値…

換気によるQ値の悪化

前回はC値を元にQ値の悪化度合いを計算しましたが、同じ方法で「換気によるQ値の悪化」がどの程度かを計算することができます。C値の場合はすきま風の風速がどの程度かはっきりせず、かなり適当に仮定をして計算せざるを得ませんでしたが、換気の場合、法律…

必要な気密性は如何ほどか? -後編-

-前編から続く- 2.断熱性維持の為に必要なC値 本来の目的である「断熱性を損なわないためには高い気密性が必要」という観点の場合に、どの程度のC値が必要かを考察します。 先にも述べましたが、C値がどの程度だった場合にQ値がどの程度悪化するのかは一…

必要な気密性は如何ほどか? -前編-

断熱性に続き、気密性についてあるべき論を考えてみます。 1.高気密って何のためのもの? 冒頭からいきなりですが、実はこれがよく分かりません。私の中では2つの仮説があります。 計画換気のために必要 高断熱を実現するための要因として必要 最近、ネッ…