自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

地中熱の利用-後編-

-中編から続く-

7.現存する各種システム

地中熱を利用するシステムは種類が非常に少なく、現実にはほとんど選択の余地がありません。
私が見つけられた範囲で、現存する各種システムの特徴をまとめてみます。

(1)ジオパワーシステム

説明図はこちら
熱交換用のパイプを地面に埋め込みますが、地中熱ヒートポンプと違い深さ5m程度の浅い穴を掘るだけで済みますから、施工費は比較的安く済むはずです。とは言え、比較対象である地中熱ヒートポンプは穴掘りが100万円仕事なので、それと比べて安くても‥‥と言う突っ込みはあるでしょう。
前編でも書きましたが、実質的に冷房にしか使えないのが玉に瑕です。暖房の場合、肝心のパイプは脇役に過ぎず、主役はソーラーブレスとか言う太陽光の熱を集める仕掛けです。それって地中熱とは関係ないし、ジオパワーじゃなくても同じ事は出来ます。ジオパワーならではの御利益は冷房に限ると考えて大きな間違いはなさそうです。
 

(2)地熱住宅(エコホームズ)

システムの全体像は、あえて言えばこちらのページの説明が分かり易そうです。(それでも分かり難い。)
おおざっぱに言うと、利点・欠点ともジオパワーと同じと考えて良さそうです。ただ、施工費用には違いが出るでしょう。特別な機材が無い(様に見える)地熱住宅の方が安価なように見えますが、実際のところは分かりません。また、地表に近い部分しか利用していないように見えるので、ちゃんと地中熱利用になっているのかどうか、やや怪しい気はします。
全く別の部分での懸念は、外貼り断熱との抱き合わせ販売みたいになっているところです。「外貼り断熱が悪い」というと語弊がありますが、私が見聞きした限りでは、木造の外貼り断熱で十分な断熱性能を出している事例にお目にかかったことがありません。断熱性が不十分な建物では、いくら地熱でどうこうと言っても限界があるのではないでしょうか。
充填断熱との併用をすべきではないかと感じます。
 

(3)地中熱ヒートポンプで空調(サンポット,コロナ)

サンポットは老舗、コロナは新参者(正確にはこれから参入)という違いがありますが、システムとしてはほぼ同じものです。
平たく言うと、「非常に高効率なエアコン」ですので、冷房はもとより暖房にも使えます。ただ、高効率と言っても、大きな差が出るのは寒冷地に限られそうです。Ⅲ地域以南ではエアコンの効率が既にかなり高いので、地中熱ヒートポンプにすることでの改善幅はあまり大きくない気が。その意味で、COP値が(原理的には良いはずだが)つまびらかにされていないのは要注意点です。
折角ヒートポンプなのに給湯に使えないのは残念なところ。一般家庭で最大のエネルギー消費は給湯らしいので、ここを放置するのは頂けません。これでは元を取るのも難しくなってしまいます。
決定的に重要というわけではありませんが、室外機の音がほとんどしないのは結構な利点です。
 

(4)地中熱ヒートポンプで空調と給湯(旭化成ホームズ)

空調だけでなく、給湯にも使えるようなマルチな機能です。こんな感じ。機能面では、地中熱ヒートポンプの本領発揮と言えます。夏の冷房の廃熱でお湯を沸かすなど、面白い機能も入っています。
ただ、私自身もヘーベルハウスには行きましたし、研究所も見学しましたが、この話は全く聞いたことがありません。ヘーベルハウスとして全く力を入れていないと考えて間違いないでしょう。
従来方式に比べて初期費用が100万円高いことになっていますが、これで元を取れるとなると、北海道に限られるのではないでしょうか。つまり寒冷地であって、もともとの空調・給湯費用にかなりの額を使っているからこそです。
これも室外機の音がほとんどしないメリットがあります。
 
8.まとまりのないまとめ

今回は3回にもわたって書き殴ったくせに、全くまとまりのない内容になってしまいました。書き手の頭の中がとっ散らかっているのがバレバレです。

パッシブな地中熱では冷房しか出来ず、一方アクティブな地中熱は初期費用がかかりすぎる。どうにも中途半端な存在という気がしてなりません。
ただ、それでも上手く使えば冷暖房費を大幅に削減できるのではないかという期待はあります。捨ててしまうのは惜しいという気がするだけに、もっと頑張ってより魅力のある技術になって欲しいものです。