自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

一条工務店の「床冷房」-前編-

一条工務店が「床冷房」なるシステムを開発中だとの噂を、ネット上の情報で何度か目にしました。当初は「床暖房ならともかく、床冷房?がせネタじゃないの?」などと思っていましたが、どうやら開発していることは事実で、いくつかの展示場には開発中のシステムが試験導入されて体験できるようになっているようです。
その後、いろいろ考えてみましたが、当初の印象とはやや異なり、結構悪くないかなとも思えてきました。

と言うわけで、今回は「床冷房」について考察してみます。但し、現時点では私は現物を見ても体験しても居ません。単なる机上検討です。また、一条工務店のウェブ・サイトにも床冷房の情報は全くなく、仕様も性能も想像してみただけのものです。
え? そんな考察では意味がない? いいじゃないですか、書きたかったんだから。

1.そもそも床冷房とは何か?

システム概要が不明なので想像ですが、単純に「床暖房」の反対だと考えるべきでしょう。つまり、床を冷却することで、家全体を冷房しようという発想。

もともと一条工務店では全館床暖房を売りにしています。さすがに標準装備でこそありませんが、坪あたり3万円という破格の安さで床暖房をつけられるのですから、ほとんど標準装備に近いと言っても言い過ぎではないでしょう。
ただ、いくら安くても全館に敷き詰めればそれなりに纏まった金額になります。例えば40坪の家で120万円です。あくまでも暖房だけですから、夏用のエアコンは必要です。(床暖房の熱源にヒートポンプを選べば再熱除湿エアコンが1台付いてきますが、家全体をそれでまかなうわけにはいきません。) 二重投資となるのは施主としては辛いところです。

そこで単純な発想として思いつくのが、「床暖房がヒートポンプなら、原理的には暖房だけでなく冷房も出来る。冷暖房両方出来るとなれば、コストパフォーマンスの問題は大きく改善される」ということです。
一条工務店の開発陣がこういう発想で床冷房の開発を始めたのかどうかは分かりませんが、メリットの1つとして想定はしていたはずです。

一条工務店の床暖房は温水式です。パイプ(チューブ)が床下に這っています。寒冷地を除けばその熱源はヒートポンプですから、ヒートポンプを冷房モードで動作させれば冷水を作れます。それをチューブに循環させれば、床がひんやり冷たい床冷房のできあがり。現状の床暖房に比べて、ほとんどコストアップ無しで出来てしまいます。
自社のメリットである床暖房の魅力を更に揺るぎないものにするための、非常に良い一手と言えるでしょう。

2.冷たい空気は上に行かない

「床冷房」と聞いたときに、真っ先に思いつくのがこの課題です。

床暖房の場合、話は簡単です。
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  • 暖かい空気は上に行くので、一番寒く(冷たく)なるのが床である。
  • その床を暖めてやれば、冷えやすい足先が暖められて快適なことに加えて、床面で暖まった空気が上昇するので、建物全体を暖めるのに都合がよい。


床冷房の難しさはこの裏返しです。
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  • 床をいくら冷やしても、床面で冷やされた空気は下に溜まるばかりで、家全体を冷やすことにはならない。
  • 床がひんやり冷たくて気持ちいいという状態は得られるだろうが、建物全体の空調としては成立しない。


この課題をどう克服したのか、あるいはどう克服しようとしているのか? これが床冷房の良否を決める大きなポイントの1つです。

3.結露を如何に克服したのか?

ヘーベルハウスの研究所見学のときに書きましたが、冷房は空気を冷やす関係上、必ず結露が発生します。その結露水をどう処理するかが、冷房システムの課題の1つです。
結露は、空気を冷やす部分で発生します。

普通のエアコンの場合、室内機の中で空気を冷やすので、結露水は全部室内機の中で処理できます。水受け皿で受けて、ドレーン配管を通して屋外に排水しています。

床冷房の場合、床で空気を冷やすことになるので、床面で結露が発生しかねません。もしも発生したら、床はびちゃびちゃになります。勿論、そうはならないように工夫しているでしょうが、具体的にどうやっているのか? これが床冷房の大きなポイントの2つめです。

-中編に続く-