自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

湿度制御の方法

室内の快適性には湿度が重要と書きましたが、では湿度を快適な値に制御するにはどうすればよいのでしょうか?
私は、「除湿はエアコンでやればいい、加湿は安価な加湿器が売られているので、それでやればいい」と簡単に考えていました。実際、それでも最低限の性能は出るようですが、よりハイレベルを求める場合、どうやらそれでは不足のようです。特に除湿において。

ここ暫く鵜野さんのブログを読んで勉強していますが、デシカ、デシカという記述が出てくるので、気になっていました。デシカント型の除湿器(乾燥剤を使ったタイプの除湿器)の話をしていることは分かりましたが、そんなに大騒ぎするほど違うのかいな? と。

1.エアコンの除湿能力はどのくらい?

エアコンでは除湿能力が足りないとの話自体、鵜野さんのブログで読んだ記述ですが、さて本当でしょうか?
各社のエアコンの除湿能力を調べました。各社の2011年モデルのカタログから、再熱除湿時の除湿能力の数字を拾ってきました。エアコンの除湿能力を計測する条件は、全社「室内温度24℃湿度60%、室外温度24℃湿度80%」という条件に統一されています。

ダイキン  1,100mL/時,(6.3kW機,20畳用),このとき540W
日立    1,300mL/時,(4.0kW機,14畳用),このとき750W
三菱    1,200mL/時,(2.8kW機,10畳用),このとき600W

東芝パナソニックは数値の記載がありませんでした。数字だけ見ると日立が能力最大ですが、機器の冷暖房能力から考えると三菱が最強のようにも見えます。(除湿能力が冷房能力に単純に比例するかどうかは少々怪しいですが。)

通常、一家にはエアコンが複数台有るでしょうから、4LDKとすれば最大で5台くらい。家全体では1時間あたり5.5~6Lくらいの除湿能力になります。
但し、私が候補にしているFASの家(又は同等クラスの断熱・気密性能の家)だと、空調は家全体で1台で足りてしまいます。e戸建てというサイトでの情報に依れば、リビングには補助冷房が1台必要なようですが、それを含めても2台。合わせて多くても1時間あたり2.5L程度と言うことになります。

2.デシカ除湿器の除湿能力は?

一方のデシカント型除湿器の除湿能力はどの程度か?
ざっと見た限りではダイキンのものしか性能値が書かれているものは見つけられなかったので、これを代表選手にします。大小に機種有りますが、大きい方で1時間あたり6.67Lとのこと(このとき1,100W)。小さい機種は概ねこの半分で、3.33Lといったところでしょう(同680W)。
問題なのは測定条件ですが、「外気乾球温度33℃、湿球温度28℃、室内乾球温度27℃、湿球温度19℃」とのこと。これは読み替えると、「外気は33℃湿度70%、室内は27℃/湿度50%」くらいに相当します。
小さい方でも、一般家屋には大きすぎるくらいの能力ですから、本来は小さい方の更に2/3くらいの能力のものが適正と考えれば、能力は1時間あたり2.2L程度となり、エアコンと大差なしと言う結論になります。

但し問題は、ダイキンのデシカは本来換気装置(しかも業務用)なので、エアコンとは置かれる条件が違い、直接の比較は難しいということです。更に、低湿度になった場合の除湿能力(つまり、普通よりも大幅に低湿度にしたい場合)には、エアコンの除湿能力は大きく低下するという方式上の特性もあります。デシカント方式はこの様な性能低下が少ないので、徹底的な「低湿度環境」を作りたい場合にはデシカント方式しか選択の余地がないかも知れません。

こういった、「湿度条件毎の除湿能力」などはエアコン、デシカント除湿器共に公開されていないので、「原理的にデシカの方が高性能なはず」という程度の話しかできません。残念ながら。
もっとも、それ以上に話を突き詰めるのであれば、そもそもの問題として、「お前は一体、湿度をどの程度に保ちたいんだ?」という問いかけに答えねばならないでしょう。それが無ければ、デシカにしてもエアコンにしても、「その能力で足りるのか?」が判断できないからです。
生憎、自分自身がそこまでの知識に至っていないので、今回は「デシカント方式も悪くなさそう」くらいの、アバウトな結論にしかなりません。勢い込んで書き始めましたが、もうちょっと勉強してから出直しです。

3.ちょっとおまけ

消化不良ついでに書いておくと、デシカ(デシカント方式一般の話ではなく、ダイキンの商品名としてのデシカという意味)は、若干ながら冷暖房も出来るようです。あくまでも基本的にはエアコンは別に用意する前提の機器ではあるようですが。
カタログには、

暖房能力 : 3.5kW(2.2kW)
冷房能力 : 2.8kW(0.4kW)  但し、[全熱(顕熱)]の数値

とあります。括弧内は顕熱能力なので室温を上げ下げする能力のこと。それを括弧外の全熱能力から引き算した残りが、除加湿の能力です。つまり、暖房能力は2.2kW、冷房能力は0.4kWというわけです。冷房能力はごく僅かですね。

これは、吸湿した乾燥剤を乾燥させるためにヒートポンプを使っているためです。乾燥剤を再生するのに加熱せねばならず、その時に出る冷熱を室内に導入すれば冷房になります。0.4kWでは焼け石に水かなとは思いますが、それとは別に除湿能力はありますので、もしかしたらこれだけでも結構快適な室内空間が作れちゃうのかも知れません。
俄然興味がそそられると同時に、似たようなアプローチを採っている(らしい)一条工務店の床冷房にもより期待感が湧いてきました。