自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

桧家住宅のモデルハウス見学

イシカワに続いて桧家住宅に入ってみました。これも行きがかり上です。
ここは「泡で断熱」のコピーのTVCMを見たことがあります。垂れ幕でもヒノクマ君が暖かそうなオーラを出しており、期待を持たせます。

入ってみたモデルハウスは間取りが特殊。エス・バイ・エルに次ぐ突飛さです。何せ玄関を上がったところのホールが8畳以上あります(見た感じで)。それを取り囲むように周りに部屋が配置されています。まるで旅館の様。2階に上がっても同じような感じ。階段ホール(と呼んで良いものかどうか‥‥)がだだっ広い。
ただ、間取りの特殊さを別にすれば、内装の雰囲気はごく一般的な住宅のそれですし、かつある程度の品質感があって好印象です。

桧家住宅では3種類の商品があり、1つは間取りがほぼ変えられない規格モノ、2つ目は多少の変更が出来るセミオーダ、そして3つ目が主力商品である自由設計の「hj STYLE」というタイプだそうです。私達の場合はhj STYLEですね。
面白いのは価格が坪単価×坪数で明示されていること。一条工務店と似ていますが、坪数が増える(つまり大きな家)ほど坪単価が下がっていのが1坪単位で表になって明示されているのは他に例を知りません。頂いたカタログには5坪刻みの簡易表が載っており、こんな感じ。

坪数  坪単価    総額
30坪  55万円   1,650万円
35坪  51万円   1,785万円
40坪  48.5万円   1,940万円
45坪  47万円   2,115万円
50坪  46万円   2,300万円


モデルハウスには、これが1坪刻みになった細かい表があります。ちなみに、上記価格にはバルコニー・吹き抜け・ポーチを8平方メートルまで含んだ価格だそうです。メーターモジュールでの価格と書いてあるところを見ると、尺モジュールだとやや高くるりそうです。坪数あたりの柱の数が増えるからでしょうね。ともかく、「明朗会計」なのはいいことです。
たまたまこの会社の社長さんが書かれた本を斜め読みする機会がありましたが、それに依ると社長さんは積算(コストを1つ1つ積み上げて合計額を計算すること)を長く担当されていたそうです。その経験から「坪数が決まれば、それがどんなプランでもほぼコストは同じ」という経験則に気づき、「だったら最初から坪数見合いで価格を明示した方が、お客さんから見て分かり易いじゃないか」という発想になったそうです。
カタログにも標準仕様とオプション仕様が明示されており、オプション価格も明示されています。明示できる部分は最大可能な限り明示するという方針は、実に分かり易い。
価格の出し方については機会があれば考えを書きたいと思っているのですが、住宅業界一般に非常に欠けているのが、この明朗会計という考え方でしょう。寿司屋の「時価」でさえ大将に訊けば価格を教えてくれますが、住宅は訊いても分からない。「注文住宅は一品モノだから」という言い訳を隠れ蓑にして、顧客に対する情報提供をサボっているだけでしょう。
私は桧家住宅の姿勢を非常に高く評価します。

さて、話が後先になってしまいましたが、仕様の話。
社名にもなっている桧の4寸角柱が大きな特長でしょう。構造を支える柱は全てこれです。勿論、芯持ちの無垢材で、しかも国産で中部地方産にこだわっているそう。中部地方が桧の名産地だからという理由が挙げられていますが、単にその地域の材木問屋さんに太いパイプがあって、安く仕入れられるからじゃないかという気もします。まあいいです。
感心したのは「無背割材」だということ。普通、無垢の柱は乾燥に伴って割れるので、変な割れ方をしないように、初めから意図的に割れ目を作っておきます。背割と言います。桧家住宅の桧柱にはこの背割がありません。それでも大丈夫な理由は、特殊な乾燥方法にあります。普通の乾燥と同じく熱風を使いつつ、更に木材の内部を加熱する手段を併用することで、「割れない乾燥」を実現しているのだそうです。どうやって木材の内部を加熱しているのかと思ってカタログを良く読むと、がん温熱治療装置でも使われている技術との記述があります。どうやらマイクロ波で内部加熱をするようです。乱暴に言うと、電子レンジの親戚ですね。(ちょっと乱暴すぎるか。)
気になるのはシロアリ対策。桧、特に芯持ち材はシロアリに食われ難いと言いますが、それにしてもシロアリ対策についてカタログに何も書いてないのはどうしたことでしょう。(訪問時は別の話題で盛り上がったので、営業さんにも訊きませんでした。次回行ったら訊いてみましょう。) 桧の芯持ち材と言えども絶対大丈夫なわけではありませんし、芯が残っていても周辺を囓られてしまえば強度に悪影響が出るのは間違いありません。「桧だから大丈夫」と言わんばかりの姿勢はやや不安です。

強度アップのための筋交いは使うようですが、ダイライトという板を貼ってモノコック構造にすることで強度を上げています。パネル工法の併用は、どうやら昨今では常識のようですね。ダイライトは構造用合板に比べて透湿性が4倍あるそうで、壁内結露の防止に効果があると謳っています。

もう一つ気になるのが基礎。ベタ基礎が標準だそうですが、立ち上がり部分が連続ではなく、独立基礎になっています。あちこちでぶつ切れ。連続しているのは外周部分くらい。これはちょっと弱いんじゃないでしょうか。弱いは言い過ぎかな? では「今時の強度重視のメーカに比べると劣る」という表現で。これだと地震時に土台と基礎で負担を分担することになりますが、大丈夫でしょうか? 基礎は基礎だけで十分な強度を持っていて欲しいと私などは思うのですが‥‥。

お次に気になるのが断熱性能。Q値=2.34で、大したことありません。どうやらCMで謳っている現場発泡型の断熱材(日本アクアのアクアフォーム)はオプションだそう。それはまあいいとして、それを採用したらQ値がどうなるのか、不明です。大々的に謳っている割には性能値も明示していないのでは、ヒノクマ君が泣いています。
ともかく、イシカワみたいに、北海道仕様を付けたらどの程度の仕様と価格になるのか、確認してもらえるように依頼しておきました。

それからフリーチョイスも有り難いルール。これは、普通ならオプションになる仕様を、45坪未満なら2つ、45坪以上なら3つ選んで標準価格の範囲内で付けられるというモノ。選べるオプションは予め決められた9種類からしか選べませんが、断熱強化(泡断熱)、オール電化パッケージ、小屋裏収納、内装無垢仕様など、よさげなものが並んでいます。ここから無料オプションを選び、それ以外に欲しいモノがあれば有料オプションとして追加すればよいと言うことです。

と、ここまで書いてきて、特段の特長がないことに気づきました。でも、モデルハウスを見、話を聞いた印象は割と良く、一次選考通過かなと思っていました。それほど強い特長が無いのに、一次選考通過という印象を持った理由の1つは、「同じ仕様なら安くできるかも」と感じたからでしょうかね。もっとも、イシカワを見て「同じ仕様なら何処で作っても結局同じ価格」という結論に至っただけに、もうちょっと冷静になるべきかも知れません。
それと、一条工務店と違って小回りが利きそうだというのも理由です。これは明確にメリットでしょう。もっとも、それを活かすだけの要求仕様提示が出来るかどうかと言う問題はありますが。

一次選考を通過させるにはやや弱いところもありますが、印象を優先し通過で良しとしましょう。標準仕様がイシカワよりずっとハイグレードなので、あれやこれやと指示することはずっと少なくて済みそうです。ダークホースとして頑張ってくれることを期待しましょう。行きがかりで入った割には収穫でした。
あ、但し、一条工務店と同等か準ずる程度の断熱性能が出せることが条件ですね。今、確認してもらってますので、それ次第です。