自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

蓄熱材としての水とコンクリート

熱容量についての記事に、阿武隈高地さんから「蓄熱材としては水よりコンクリートが好ましい」というコメントを頂きました。
これについて考察します。

 

1.費用について

私はコンクリートの価格を知らないのですが、阿武隈高地さんによれば、「地域によるが12,000円/m3くらい」とのこと。潜熱蓄熱材などの特殊な材料に比べれば、確かに安価でしょう。これが今回の比較の基準です。

一方の水はと言うと、大きく2通りの入手方法があって、それにより価格は大きく違います。

(1)ペットボトル入りの水を購入する場合
これは、何とかのおいしい水など、ペットボトル入りで売っている水をそのまま買ってきて使う方法です。
コンクリートと水では比熱が2.2倍ほど違うので、コンクリート1立方メートルと同じ蓄熱性能を持つには、水は450リットルほど必要です。2リットルのペットボトルで225本です。
スーパーなどで購入すると、1本120円くらいでしょうか。だとして27,000円となり、コンクリートの2.3倍くらいの価格になります。
どれくらいの蓄熱性能を必要と考えるかでトータルの金額は変わってきますが、そこそこ纏まった金額にはなりそうなので、コンクリートとの値差も無視は出来ませんね。
この方法を採る場合の副次的なメリットは、この水を非常時(災害時など)の蓄えとして期待できることです。ただ、保存がどの程度効くのか、よく分かりません。定期的に新しいモノを購入して、古いモノを消費していくという循環にしておかないと、いざというときに「15年前に買った水だけど、飲めるかな?」という事になってしまいます。1、2年くらいなら大丈夫ではないかと思っていますが。

(2)水道水の場合
水道の基本料を計算に含めるかどうか、また下水道の有無などによって大きく異なりますが、450リットルの水は100円かそれ以下です。コンクリートとの比較で言うなら、タダみたいなものです。
ここには容器代(空のペットボトル)は含まれていません。阿武隈高地さんは容器代の高さを指摘されていますが、私ならこの為にペットボトル容器を購入することはしません。我が家ではペットボトルのお茶やジュースなどの清涼飲料をそれなりに消費しているので、その空き容器を洗って使う考えです。つまり、容器の原価はゼロです。(逆に言えば、普段ペットボトル飲料を消費しない家庭の場合、容器代を加算せねばならないと言うことです。)
前回のブログで紹介したこちらの事例では500本のペットボトルを使っていましたが、これだと我が家なら2年くらいで溜まるでしょう。家を建ててから数年しないと蓄熱材が揃わないというのも中途半端ではありますが、無いと住めないものではありませんし、そのくらいのんびり考えても良いのではないかと。友人知人から使用済みの空き容器をもらう手もありますし。

と言うわけで、ペットボトル入りの水を購入する場合はコンクリートの2.3倍高価、水道水の場合はタダみたいなもの、となります。

 

2.水の腐敗をどうするか

水は腐ります。水道水は腐らないように殺菌用の塩素が入っていますが、汲み置きの水はそうはいきません。これが水を扱う場合の難しさの1つです。
前述の2つの方法のそれぞれで、この課題にどう対処するかを考えてみます。

(1)ペットボトル入りの水を購入する場合
これはペットボトル入りの水の消費期限はどの程度か?と問われているのとほぼ同義です。1、2年は大丈夫では?などと書きましたが、実際のところはよく分かりません。殺菌されて密封容器に入っているのですから、そんな簡単には腐らないのではと思います。
この期待が妥当なら、腐敗はそんなに気にする必要はありません。但し、腐らない頻度(1、2年?)で定期的に入れ替える必要はあります。

(2)水道水の場合
この場合は雑菌が間違いなく入り込むので、腐る心配があります。これに対する私の案は、「塩素殺菌する」です。
台所用の塩素系漂白剤は強力な殺菌効果があります。ペットボトルに水道水を入れる際に、全てのペットボトルに塩素系漂白剤を少しずつ入れておけば、長期間にわたって殺菌効果(腐敗防止効果)を維持できるという案です。ペットボトルの密封性は完全ではありませんが、例えばこの案で数年間の腐敗防止が出来るなら、数年ごとに水を入れ替えれば良いわけです。
前述の費用試算にはこの漂白剤の価格も加えねばなりませんね。水よりはこちらの方が高いくらいですが、足しても大した金額にはなりません。

と言うわけで、腐敗は水を蓄熱材として使う場合の決定的な障害にはならないと考えています。(面倒な性質ではありますが。)

 

3.コンクリートには副次的効果がある

阿武隈高地さんが指摘された通り、コンクリートを蓄熱材として使う場合は、基礎を補強する(より厚く、より強度が高い基礎にする)形での使い方になります。つまり、蓄熱材であることに加えて、基礎の強度が上がるという重要な効果が得られます。(むしろ強度の方を主たる効果と言うべきでしょうね。蓄熱効果の方がおまけです。)
これに類する副次的な効果は、水にはありません。この点はいくら水が安価でも補えない、代え難い性質です。

 

4.それでもコンクリート以外を考える理由

コンクリートだって大して高価なわけじゃないし、もうコンクリートでいいじゃん、という気もしてくるのですが、それでもコンクリート以外の蓄熱材を求めたい理由が私にはあります。
それは、現時点では私がFASの家を有力な候補と考えているからです。
以前も書きましたが、FASの家は白蟻対策のため基礎コンクリートを断熱ラインの外に出す仕様になっています。この構成を取る限り、いくら基礎コンクリートを分厚くしても、居住空間の蓄熱性は全く上がりません。コンクリートではダメなのです。
理想を言えば、FASの家をベースにして、基礎コンクリートを断熱ラインの内側に持ってくるような仕様の家を建てたいところですが、それだと白蟻対策に(建築の素人である)私が責任を持つ羽目になってしまいます。さすがにそれはリスクが大きい。
FAS以外でどこか、白蟻対策も含めて完成度の高い家を建ててくれるメーカ(又は工務店)が見つかれば良いのですが、今のところは見つかっていません。
このジレンマが解消されるまでは、コンクリート以外の蓄熱材の可能性を追求したり、あるいはFAS以外のメーカを探すなど、両面展開で検討を続けるしか有りません。

まあ、転勤のせいで直ぐに家を建てることは出来そうにない状況なので、焦る必要がないのがせめてもの救いといったところです。