自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

窓の進化が始まるか?

ネットで、YKK APの新製品情報を知りました。断熱性の高い樹脂サッシです。
 
新製品情報 : APW430
 
この新製品は2つの意味で住宅事情に大きな影響を持つように感じています。
 
1.住宅の高性能化への直接的貢献
このAPW430は熱貫流率(U値)が0.91[W/K・m2]と大変高性能なサッシです。今までなら木製のそれもハイエンドのサッシでなければ実現できなかった性能値のように思います。
このレベルの高性能サッシが何故必要かというと、鵜野日出男さんの受け売りになりますが、
 
(1)断熱性能の向上
(2)結露の防止
 
が理由です。結露の防止とは、冬期に十分な加湿をすると、サッシが低性能ではサッシ部で結露が生じてしまうことを指しています。(室内が乾燥していれば、サッシが低性能でも結露はしませんが、乾燥した室内は風邪やインフルエンザのリスクを増します。)
結露はカビの温床になるので、何としても防止したいですが、その為には高性能なサッシが不可欠と言うことです。鵜野さんのブログでは、サッシのU値として0.8~0.9[W/K・m2]程度が必要と書かれていたように記憶しますので、APW430はぎりぎりですが、その性能範囲に入ってきたことになります。
 
大手メーカであるYKK APから、このレベルのサッシが発売されるのは大変有り難いことです。現時点ではラインナップが限られる(例えば掃き出し窓がラインナップにない)のが残念ですが、徐々に解消されていくと期待したいところです。
 
2.サッシにおける性能競争の始まり
私は以前に窓業界は閉鎖的だとする意見を書いたのですが、その悪い因習が打破される可能性を上記のプレスリリースに感じました。その可能性は、新製品APW430のU値を公表したことに表れています。
と言うのも、一世代前のモデルであるAPW330まではU値を「2.33以下」としか公表していないのです。これは「JISで規定されている性能等級のH-5という最高ランクの性能を満たしていますよ」と言う意味です。
 
「最高ランクならそれでもう十分でしょ? 何が駄目なの?」
これに対する答は、「JISの定義が時代に即していないから駄目」です。自動車の燃費に喩えて言うなら、「一体いつの燃費基準で最高ランクなの?」ということです。
自動車業界では技術の進歩に合わせて燃費基準自体が厳しくなっていきます。当たり前ですよね。そうすることで、「年々改良していかないと、直ぐに時代遅れになりますよ」という厳しい競争環境を作っているとも言えます。
 
しかし窓はどうか? このJISがいつ規定されたのかは調べていませんが、時代に合っていないのは間違いありません。
その証拠にAPW430の熱貫流率は0.91です。これはJISの最高ランクの基準である「2.33以下」を、2.5倍以上の余裕を持って楽々クリアしているのです。ハードル低すぎでしょう。
ある日突然性能が2.5倍も上がるとは考え難いので、過去のモデルも(0.91程ではないにせよ)2.33は軽く下回っていたのでしょう。そんなサッシもあんなサッシも、ぜーんぶ「最高ランク」です。
馬鹿にしてるのか、真面目にやれよと。
 
こんな不透明なやり方が窓業界では当たり前のように行われていたわけです。
 
今回のAPW430が、やっとその呪縛から自らを解き放つ最初の一歩になったようです。私としては、この一歩が窓業界全体を動かすきっかけになることを願わずにいられません。これをきっかけに、窓業界が(ひいては住宅業界が)健全な数値競争を始めるように願うばかりです。
 
同時に知りましたが、YKK AP以外にも、スタイルテックエクセルシャノンも(多少性能に高低はありますが)トリプルガラスの高性能サッシをリリースしています。最大手のLIXILは未だ沈黙を保っていますが、複数社が競ってくれれば消費者としては最低限は足ります。
 
窓業界の今後の競争と進歩に大いに期待したいと思います。