自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

地中熱利用で小さな進歩が

以前に、地中熱の利用について書いたことがあります。その中でもアクティブ利用型と言われるものについて、ちょっとした進歩を伝えるニュースを目にしました。
内容はこちらです。大手ゼネコンの大林組が発表した、地中熱利用のコストと性能を改善する開発成果を伝えるニュースです。
 
以前も書いた通り、アクティブ利用型の最大の欠点は初期コストがあまりにも高いことです。特に穴掘りの費用が高すぎます。100万円以上かかるとか。
今回の大林組の発表は、穴掘りのコストを25%下げるという画期的なものだそうです。
 
‥‥たった25%ですか。
 
いやいや、私も製造業に身を置くので、25%のコスト低減がどれほど大変かは良く知っています。ただ、現状の穴掘りのコストの高さを踏まえると、25%の削減では焼け石に水としか思えません。現状の費用を安めに100万円と見ても、まだ75万円もするということなので。
 
一方で、この記事にはもう一つの光明も見えます。それは、性能を20%上げられるということです。性能が高いので、100mの穴と同じ性能を80mの穴で発揮できるそう。これは穴掘りのコストを更に20%下げられることを意味しますので、先ほどの25%と合わせると、従来比60%の費用で穴が掘れることになります。安ければ60万円程度となります。
更に、大林組は2年前にも、性能(熱交換効率)を11%上げる技術を開発済みだそうで、これも組み合わせれば、従来比53%の費用で穴が掘れることになります。全部織り込んで53万円です(最安見積もりで)。
 
実際のところは、これでも未だ未だ高いです。
アクティブ利用型の地中熱は、要するに「効率の高いエアコン、エコキュートが出来ます」なので、エアコンやエコキュートの電気代を安くすると言う形で御利益が得られます。しかし、電気代の差額で53万円の元を取ろうと思ったら、一体何年かかることでしょう。もともとの光熱費が高い寒冷地ならいざ知らず、平均的なⅣ地域などでは、20年はかかるのではないでしょうか。
更に言えば、53万円は穴掘りの費用だけで、実際には専用のエアコンやエコキュートも必要です。普及していない現状では、普通のエアコンやエコキュートに比べて、機器も割高でしょう。その差額も考えると、20年でも元が取れるかどうか、怪しいところです。
 
これがせめて10年くらいになれば、普及が進むように思います。
まず、穴掘りのコストは今回の大林組の成果から更に半額にするよう、頑張ってもらいましょう。それにより、導入する人が大幅に増え、その結果、機器も普通のエアコンやエコキュートとほとんど値差が無くなることを期待します。トータルでも25万円程度の費用で済むとなれば、10年で元を取るのは充分に射程内です。もうちょっと高くてもいいかも知れません。
そこまでなれば、私は自宅を建てる際にアクティブ利用型のヒートポンプを導入するつもりです。
楽しみな世の中になってきました。