自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

日射取り入れの難しさ

これが実際の住宅建築の現場でも難しい課題として立ちはだかっている事例を見つけました。それは、以前も引き合いに出した鵜野日出男さんのブログで紹介されていました。(これこれです。)
 
ここでは、ユウキ邸という千葉県での事例が取り上げられています。この建物の特徴はQ値が推定0.8[W/K・m2]、C値0.2[cm2/m2]以下と、北海道に建てるのにも不足が無いような、極めて高い性能を持っていることにあります。更にその躯体性能を活かして、デシカを導入することで湿度調整による大きな快適性を得ようというコンセプトです。このあたりは私が自宅建築で意図するところと方向性は同じです。(ここまでの性能が必要かという疑問はありますが。)
で、鵜野さんとしては、これほどの性能なのだから、さぞや光熱費は安く上がるに違いないと期待していた様子。具体的には、一冬の(1ヶ月ではなく、1シーズン合計の)空調費が1万円強で済むのではと考えていたそうです。夏も1万円で、合計して年間で2万円の空調費にならないかと。(空調の電気代だけです。空調以外の電気代は別です。)
 
結果が前述のリンク先にある内容でして、思いの外空調の電気代が高かったという結果でした。
推定を含む集計結果ですが、12~3月期において、デシカが3,260円/月、エアコンが7,830円/月で、合算して11,000円/月という結果。一冬全体だと5万円くらいでしょうか。
決して「光熱費の高い住宅」という印象ではありませんが、過剰とも言えるほどに断熱性を頑張った割には、「その程度?」と首をかしげたくなる金額ではあります。(原発停止による電気代値上げなどの外的要因が上乗せされての結果とは言え。)
 
何でそんな期待外れの結果になってしまったのか、先ほどのリンク先には鵜野さん自身の考察も書かれています。それによると、窓などの開口部が極端に少ない間取りにした(敷地の関係でそうせざるを得なかった)為に、太陽の熱による補助暖房効果をあまり得られなかったためではないかとのこと。
日射しを上手く取り入れれば、暖房に対しては極めて大きな効果があります。当然、暖房の空調費用は大きく下げられます。これが出来なかったのが原因であろうとの推定です。私もそうなのだろうと思います。
 
こんな話を見聞きすると、やっぱり日射の取り入れは重要だなと再認識せざるを得ません。
とは言え、取り入れすぎるとオーバーヒートするので闇雲には出来ないという事情もあり、なかなか一筋縄ではいきません。
そのバランスに苦慮しているのは、単に私の机上の話だけではなく、現実の住宅建築の現場でも同じなんですね。
 
尚、前述のユウキ邸は日射があまり入らないだけに、夏の冷房代は安くあがるのではないかとの予測も書かれています。なので、冬の暖房費がかさんだからといって、直ちにダメだとは結論できないとのこと。
それはその通りなのですが、私は日本の住宅は冬を旨とすべきと考えています。暖房が必要な期間の方が、冷房期間よりもずっと長いこと、暖房の方が本質的にエアコンの効率が悪いこと、の2点が理由です。
 
とすると、やっぱり窓は大きくすべきなんでしょうね。夏は緑のカーテンか‥‥、むむむ。