自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

エコキュートの使い勝手は悪くない

既に書いた通り、二度目の引っ越しで住み始めた借家はオール電化仕様です。当然、給湯はエコキュートです。
今回は、その使い勝手が予想より良かったというお話です。
 
1.エコウィルは使い勝手が悪かった
 一度目の仮住まいではエコウィルという非常に珍しい発電機能付き給湯器が付いていました が、これが沸かしたお湯をタンクに溜めて使うタイプの給湯器で、使い勝手上はエコキュートに似ています。違うのは、タンクのお湯が無くなったら普通の給湯器として動作すること。なので、お湯切れの心配が無いのは良い点です。
ただ、使い勝手はお世辞にも良いとは言えませんでした。使い勝手が悪いと言っても、難しい話ではありません。シャワーが弱いという単純な話です。
 
2.タンク式の給湯器は何故シャワーが弱いのか?
 エコウィルエコキュートなど、タンクにお湯を溜める方式の給湯器ではシャワーが弱いと言われますが、それは減圧弁を設けて水圧を落としているからです。では何故わざわざ水圧を落とすのかというと、水道水の圧力にタンクの強度が耐えられないからです。
水道管は細い管で、しかも細さの割には肉厚の鉄パイプ(又は塩ビパイプ)を使っています。水道水の圧力に耐えることは容易です。(と言うか、耐えられるように作ってある。)
一方、タンク式給湯器のタンクは、水道管に比べると遙かに大きく、この大きさで高い圧力に耐えるのは大変です。しかもその圧力は、水道水の圧力では済まず、それより更に高い圧力に耐えねばなりません。というのも、このタンクには90℃近い熱湯を溜めるので、90℃の熱湯が蒸気になろうとする力を抑え込まねばならないからです。やかんの蓋を押し上げるあの力を抑え込むわけです。
やかんの蓋くらいなら大したことは無いように感じるかも知れませんが、これは実は結構なものです。身近な例で言えば、ホットドリンク用のペットボトルはコールド専用のボトルに比べて触って分かるほどに素材が分厚く、高い強度を持っています。これも内部の飲料を加熱することに伴う圧力上昇に耐えるためです。
給湯器のタンクを同様に高い強度で作るとなると、ものすごい厚さの鉄板(又はステンレス板)を使わねばなりません。重さの点でもコストの点でも、一般家庭で使える様なものにはならないでょう。
この為、タンク式給湯器では減圧弁を設けて水圧を落とす必要があり、結果、シャワーが弱くなってしまいます。
 
3.今時のエコキュートはそんなにシャワーが弱くない
 そんな訳で、一度目の借仮住まいで使ったエコウィルのシャワーは非常に非力でした。「使い物にならない」は言い過ぎですが、使っていてややイライラすると言うか、何よりシャワーを浴びても汚れと疲れが流れ落ちていくあの感じがしないのです。泡は流れ落ちましたけど、何か? という感じです。
ついでに言うと、風呂場を洗うときに壁の上の方や天井をシャワーで流すことが出来ないのも面倒でした。これは手桶にお湯を溜めてから、湯を振りかけることで何とかしましたが。
 
一方、今度の住まい(二度目の仮住まい)に装備されているエコキュートパナソニックHE-S37GQSと言う機種)はそれほどシャワーが弱くありません。単純なガス給湯器のシャワー(水道の圧力そのまま)に比べれば明らかに弱いのですが、シャワーを浴びる気持ち良さは充分に感じられます。浴室掃除の時にシャワーのお湯が届かない箇所があって、ちょっと困りますが、エコウィルのシャワーに比べれば、届かない範囲はごく一部に限られます。
 
カタログを見る限り、この機種の減圧弁は170kPaで、ラインナップの中では決して圧力が高い方ではありません。(上位機種は280kPaと更に圧力が高い。)
そうしてみると、今時のエコキュートではシャワーの弱さをあまり気にしなくても良さそうです。エコウィルの経験から、タンク式の給湯器に幻滅していたのですが、一部だけを見て判断してはならないという事例でもありますね、これは。
 
4.エコウィルが方式的に悪い訳では無い
 とは言え、これはエコウィルの原理的な問題というわけではないはずです。単に、競争が無いところに進歩は無いというだけです。
エコキュートは電機メーカ各社から販売されていて、それぞれに性能や機能を競っています。初期のエコキュートでシャワーが弱いというユーザからのクレームを受けて、各社とも懸命に改善した結果、今のレベルに達したのでしょう。
一方のエコウィルはと言うと、基本的にはガス会社からの販売になっていて、機器メーカはガス会社に給湯器を納入します。機器メーカはガス会社に選ばれさえすればそれで競争は終わりなので、性能改善をしようという動機が弱くなります。結果、改善は進みません。エコウィルはガスエンジンを使うので、作れるメーカがそもそも少ないという要因もあります。(私の1回目の借家に装備されていたのはホンダ製。自動車・バイクメーカでなければエンジンは作れないんですね。)
 
エコウィルは既に過去の機器で、今ガス会社が販売しているのはエネファームですが、これの場合はどうでしょうかね。これもタンク式給湯器(ついでに発電する)ですが、作っているのはパナソニックなど電機メーカですし、メーカも複数ありますから、それなりに競争は存在するように感じます。エコウィルのようにヘボいままで終わることのないように頑張って欲しいものです。(とは言え、私自身はエネファームには否定的なのですが。)
 
5.自分で家を建てるときには
エコウィルを使っていたときにはタンク式給湯器に非常に懐疑的で、一方で自宅を建てるときにはオール電化にするつもりでもあったため、どうしたものかと悩んでいました。これは日立の水道直結式エコキュートしか手が無いかなと。
しかし、今の家でエコキュートを使ってみて、そんなに捨てたもんじゃないと思い直しました。勿論、台所と風呂場など複数箇所で同時に使ったら、さすがにシャワーの弱さが気になるのかも知れませんが、280kPaの上位機種ならそれも問題ない気がします。自分で家を建てるときの懸念が1つ減りました。
 
とは言え、仮に今家を建てるとしたら、それでもやっぱりエコキュートは日立にするでしょうね。280kPaクラスでも不満は無いかも知れませんが、シャワーの強さで水道直結式に優るものはありませんし、エネルギー効率でも特に他社に劣るところはないですから(むしろ良いくらい)。
 
何にしても、競争があるからこそ進歩があるわけです。有り難いことです。