自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

FASの家の落下試験-後編-

 
ではこの実験の目的は何だったのか?
2つほどありそうなケースを考えました。
 
(1)消費者に対するアピール
工学的なデータを得ることが目的ではなく、消費者に対してFAS工法の躯体強度の強さをアピールすることが目的だったのかも知れません。であれば正確なデータは不要で、素人受けする派手なパフォーマンスの方が大切です。
そう考えるなら、これは妥当な実験と言えます。(私などはこんな実験では満足しませんが、そんなユーザはごく一部でしょう。)
ただ、そうならば、ウェブサイトに動画を掲載する際にそれなりのアピール文を添えるなど、もう一工夫すべきです。現状では何のための実験なのか、何をアピールしたいのか、さっぱり分かりません。
惜しい。
 
(2)実はきちんと実験データを採っている
もう一つのありそうなパターンは、私が前編で指摘したような視点に基づいて、実はきちんとデータを採っている、というケースです。ただ、そういったデータは非常に貴重ですから、企業としてはおいそれと公開するわけに行かないでしょう。なので当たり障りのない情報として実験の映像だけをウェブサイトで公開したという推定。これであれば、ウェブサイトの映像が実に素っ気ないのも説明がつきます。
私としてはこちらの推定が当たっていて欲しいところです。
 

 
 
今後に向けたFAS本部に対する希望としては、躯体強度が強いという主張が本当に客観的事実なのであれば、是非とも躯体強度に関する項目もフランチャイズする技術に含めて欲しいですね。
現状では、どんなに贔屓目に見ても、『何も無いよりは、ファースのウレタン断熱材を付けた方がマシ』という程度しか言えません。
消費者の立場で言えば、それで、この間取りの場合に耐震等級3は実現できるの?という話が重要なわけです。あれよりはマシだよ、と言う程度は気休めにしかなりません。気休めで満足する消費者は少数派でしょう。
耐震等級で論じるためには、強度をきちんと測定し、壁倍率認定を取得し、躯体設計ルールに落とし込むところまでやらねばなりません。更に言えば、基礎の強度はどうすべきかとか、ホールダウン金物に必要な強度は? などの付随的な項目も多々あります。
 
そういったあまたのハードルを乗り越えて、FASの家として温熱環境だけでなく、躯体強度も含めて性能保証をするようになってくれることを願って止みません。