高性能サッシの時代がついに来た
少し前に窓の進化が始まるかも知れないというネタを書きましたが、どうやらこれが現実のものになりそうです。
LIXILのプレスリリースによると、同社は超高性能サッシエルスターXを発売するとのこと。競合他社が高性能サッシを相次いで発売したため、最大手LIXILも対応せざるを得なくなったのでしょう。
YKK APから遅れること約1年。最大手の面目を保とうと必死な様子が覗えるプレスリリースと私は感じました。
とは言え、内容はなかなか力の入ったものになっています。最大手の面目躍如と言っても良いでしょう。
- 熱貫流率は0.79[W/m2・K]と世界でもトップクラス。(廉価版であるサーモスXは1.05[W/K・m2]。)
- この性能を実現するために、樹脂サッシ、3重ガラス、ダブルLow-Eガラス、クリプトンガス封入など、およそ考えられる手段を全て投入している。(廉価版サーモスXはアルミ樹脂複合サッシ。)
- 3重ガラスだが、真ん中のガラスを薄くして、従来の2重ガラスとほぼ同じ重さを実現。
- 縦滑り出し窓だけでなく、引き違い窓、勝手口ドアなど、普通の家に使われるサッシ全体をカバーする品揃えを予定。
窓の熱貫流率は仕様が同じでも窓の大きさで変わってきます。ガラスより枠の部分の性能が悪いので、窓が小さいほど性能には不利になるからです。日本の場合、どの大きさの窓で性能値を言うかはメーカ毎に異なるため、上記の公称数値だけを見てエルスターXがAPW430より優れているとは断言できません。それに、APW430はクリプトンガスを使っていなくて0.91[W/m2・K]なので、使えばもう少し性能は上がり、エルスターXとの性能差はかなり縮まるでしょう。そんなラインナップを追加するのは簡単ですから、性能の差は大した問題ではありません。
それよりもエルスターXで重要だと私が思うのは上記の4です。高性能サッシはどうしてもラインナップが限られるのがこれまでの常識でしたが、エルスターXでは性能を上げ難いとされる(しかし日本では需要が強い)引き違い窓もラインナップするとのこと。APW430にはこれはありません。もしかしたら掃き出し窓もラインナップされるのではないかと期待が膨らみます。
LIXILの本気度を感じるのは、まさにこの「フルラインナップであること」です。(ラインナップが何処まで充実するか、本当のところは今後の発表を待たねばなりませんが。)
窓に求める性能には基本性能である断熱性だけでなく、遮音性や防犯性などもあります。
今後、競争が活発になり、各社から更に機能・性能を高めたサッシが出てくることを大いに期待したいと思います。