自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

蓄電池が随分安くなってきた

以前、大容量の太陽光発電と蓄電池を併用して、系統連携しない完全独立型の自家発電について書きました。もう4年半前のことになります。去年も同じ様なことを書きました。
今回はその話の続き。
 
1.蓄電池そのものはかなり安くなった
4年半前に書いた当時は蓄電池の価格があまりに高く、経済的には全く成り立たない話だったのですが、その後、多少は成り立つ可能性が出てきたなと思わせるニュースを目にしました。それがこちら
記事に有るTesla Motors社(テスラ・モーターズ)はアメリカのベンチャー企業ですが、EV(電気自動車)の業界で唯一と言って良い成功している企業です。(正確には、成功の芽が見えている唯一の企業、と言うところでしょうか。)
そして自社のEVに使うために、桁外れに大きな蓄電池の工場をアメリカに建設中です。ギガファクトリーと呼んでいるこの工場は、2015年現在の世界中の全企業・全工場のリチウムイオン電池の生産能力を全て足し合わせたよりも大きな生産能力を持つという、とてつもない規模の工場です。この規模は、EVの普及には蓄電池のコストを劇的に下げる必要があるという必要性から生じたものですが、それにしてもものすごい規模です。
そしてこの工場で作る大量の蓄電池は、少なくとも当面はEVだけは消費しきれませんので、住宅や工場の蓄電にも使う計画がかねてよりありました。私としてはその具体的な商品イメージがどうなるのか、非常に期待していたわけなのですが、それが前述の記事で明らかにされたわけです。
 
それに依れば、「10kWhで3,500ドル」だそうです。今のレートだと42万円です。
高いじゃないか?
うーん、蓄電池としてはこれ、破格の安さなんですけど。
 
2.ペイするかどうか考えてみる
作り手の都合はともかく、消費者としてその価格が妥当かどうかは、ペイするかどうかで決まります。そこで、この価格でペイするかどうかをざっと試算してみます。
但し前提に2つほど注意点があります、
  1. 私の場合は「電力会社と系統連携しない完全独立型」を目指しているので、太陽光発電パネルと合算した価格としてペイするかどうかを試算します。
  2. 今の日本は売電価格が割り増しになるという特殊環境にありますが、長期的には(私が家を建てられる頃には)売電価格は下がるので、自家消費の方がお得となっているはずです。なので、今現在の割り増し売電価格との比較はしません。
先ず、完全自給自足型には10kWhでは足りないので、最低限これくらいは必要という量として、20kWhを想定します。曇りの日が続いたときが怖いですが、ここはおおざっぱな計算なので目を瞑ります。とすると、蓄電池で84万円です。
太陽光発電パネルは、8kW必要と仮定します。昨今だと工事費やパワコンなど一式込みで35万円/kWくらいでしょうか。とすると280万円。
合計で364万円となりました。
 
一方電気代は、オール電化の我が家では15,000円/月くらいなので、18万円/年です。
となると、約20年で完全自給自足型は元が取れることになります。
うーむ、未だ苦しいですね。10年くらいで元を取りたいところです。
 
3.もう1つ落とし穴が
実は前項の計算には1つインチキがあります。インバーターの価格を算入していない点です。
蓄電池はあくまでも蓄電池でしかなく、これを使ってAC100Vの家電などを動かすにはインバータが必要です。オール電化にも使えるような大容量のインバータは、実はかなり高価で、例えば以前書いたこれは95万円です。
この価格も加えると、全部で459万円となり、元が取るのに25.5年もかかってしまいます。
テスラの蓄電池と三菱電機のインバータが実際に組み合わせて使えるかどうかは不明です。と言うか、多分ダメでしょう。未だ未だ市場が立ち上がっているものではないので、この手の組み合わせ制約などは色濃く存在します。ここでは価格イメージを把握するために、それぞれの価格を単純に加算しました。
 
4.期待したい価格イメージ
と言うわけで、随分安くなったなどと冒頭で書いておきながら何ですが、今の半額くらいにしないとダメなようです。
期待したい価格イメージは下記です。
 
先ず、太陽光発電パネルが20万円/kW。諸外国の実情を聞く限り、決して荒唐無稽な価格ではありません。と言うか、既に他国ではそのレベルです。日本に欠けているのはパネル価格の低減もありますが、それより何より施工費の低減です。これで8kW載せると160万円。
 
蓄電池は冒頭の記事の約半額で40万円。テスラはギガファクトリーで「生産開始から1年でコストを30%下げる」と言っているようです。数年後(あるいは10年後くらいかも)の姿として半額を期待するのは、決しておかしな話ではないでしょう。
 
インバータは30万円を期待します。これだけ下がり幅がものすごいですが、元の95万円が高すぎるのです。勿論、史上初の製品が高いのは致し方ないこと。ここではある程度量産規模が出てきた段階を想定しています。
このインバータというものは、太陽光発電用のパワコンがもうちょっと複雑になったような機器ですから、30万円は決して無茶苦茶ではないと思います。あくまでも、ある程度市場が広がった段階での価格としてね。
 
以上を加算して230万円。元を取るのに12.8年かかる計算です。
これだったら私はやりますね。物好きなので、もうちょっと高くてもやるかも知れません。(他の人にはお勧めできませんが。)
 
現状は未だ未だの価格ですが、元が取れる価格がそんなに遠くない将来の姿として見えてきた、というのを今回の結論にしましょう。
実際のところ、その日がいつ訪れるのかは分からないのですけれども。