自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

スマートパワーステーション100% Editionに対する考察-後編-

-前編から続く-

 

3.蓄電池容量の妥当性について

次に蓄電池容量の妥当性を考察します。
消費電力は前回試算した最も厳しい条件を置きます。月当たりの消費電力量770kWhです。これを30日で割った25.7kWhが(最も消費電力量が多い1月における)1日当たりの消費電力量です。これを賄うために必要な蓄電池容量はどの程度か、という考察です。

(1)天候条件をどう仮定するか?
曇天や雨天が続いて発電が出来なければ、25.7kWhの電力は全て蓄電池から賄う必要があります。つまり、丸1日分なら25.7kWh、2日なら51.4kWhの蓄電池が必要と言うわけです。

発電不可能日が何日続くと見込むかで、必要なバッテリー容量は大きく変わってきます。「余裕を見て1週間」などとしてしまうと、全く非現実的な容量の蓄電池を備えることになってしまいます。年に一度あるかどうかも怪しい非常事態に湯水のように費用を費やすわけにはいきません。さて、どの程度にするのが現実的でしょうか。

例えば、「今日は日中ずっと雨が降っていた(あるいは曇っていた)」というくらいなら、割と頻繁に発生するでしょう。この事態は年に数回ということは無いはずです。一方、これが2日連続する場合となると、その比率は一気に下がって、年に数回あるかどうか、という程度になるように感じます。

この点は地域によってかなり違うでしょう。例えば雪国ならば、数日雪が降り続く、なんてのはさほど珍しくないと思います。ただ、スマートパワーステーション100% Editionは5地域以南を想定しているので、ここではその妥当性を考察するという意味で、雪国は考察から外します。

「年に数回あるかどうか」に大金を費やすのは割に合わない、とするなら、ここで想定するワーストケースは以下になります。

  • 前日は晴れていてたっぷり発電できた。夕方、太陽光発電パネルが発電しなくなった時点で蓄電池も満タンになっていた。
  • 前日の夕方からは蓄電池の電気(だけ)を使って生活している。
  • 今日は一日中雨天なので全く発電できない見込み。丸1日、蓄電池の電気で生活せねばならない。
  • 明日は朝から晴れる予報だが、朝、発電が始まるまでは蓄電池だけが頼り。

(2)必要な蓄電池容量は?
以上より、前日の夕食から明日の朝食まで、5食分の食事の調理と1.5日分の空調及びその他生活の電力を蓄電池で賄う必要があることになりました。
ここで、1日平均25.7kWhはいいとして、1.5日分を単純にその1.5倍としていいのか、ちょっと悩むところです。昼間と夜間の電力消費量は違いますので。
残念ながら、これを判断する明確なデータは持っていないので、ここでは単純に1.5倍とすることにしましょう。すると38.6kWhです。これが必要な蓄電池容量です。

(3)結論は?
スマートパワーステーション100% Editionの蓄電池容量は、電気自動車(リーフ)のバッテリーも連結して使えるようにした前提で、42kWhでした。
これに対し、必要な蓄電池容量は38.6kWhなので、何とか足りるという感じです。余裕は1割もありません。ちょっと条件が不利な方に振れたらアウトになる可能性が高い、ぎりぎりのところと言って良いでしょう。
と言うわけで、スマートパワーステーション100% Editionの蓄電池容量は、まあ、妥当と言えなくもないかなぁというところです。本音では足りない!と言いたいところですが。

実際、上記の試算のような状況が発生したら、翌日の朝まで蓄電池で無事生活できたとしても、その時点でリーフのバッテリーはほぼ空になっています。これでは会社に行けません(私、自家用車通勤なもので)。
そう考えると、蓄電池容量は足りないと結論づける方が適切な気もします。
買電せずに済むのが5地域の55%のユーザしかいないもう1つの理由がここに有るように思います。

 

4.結論:電力の完全自給自足って難しい

スマートパワーステーション100% Editionの仕様が(設備面で)妥当かを考察しました。
結論は、

  • 太陽光発電パネルの容量はちょっと余裕が少ないが、ほぼ妥当。
  • 蓄電池容量は妥当と強弁できなくもないが、普通に考えれば足りない。

となりました。
最初に仕様を見たときには、こんなてんこ盛りの設備を備えて、それでも5地域の55%のユーザしか完全自給自足できないとは一体どういうことだ、と思ったのですが、計算してみると納得です。
電力の完全自給自足の難しさを再認識させられた結果でした。