蓄電池の導入を考えてみる-前編-
家を建てたときには太陽光発電パネルを載せるつもりですが、蓄電池をどうするか迷っています。
以前、 オフグリッド住宅の話を書いたりしましたが、セキスイハイムのスマートパワーステーション100% Editionに対する考察(前編,後編)を振りかえってみても、実際にやるのはコスト的に非現実的です。何しろ、想定している年間消費電力量の2.3倍以上もの発電能力がある太陽光発電を乗せ、蓄電池もリーフ(電気自動車)の蓄電池まで当てにするという超重装備です。
ここまでやっても正確には「1時間以上電気を買わずに済む」であって、年に1、2度(?)の電気不足に備えるために、オフグリッド(電力会社と契約しないこと)は実現出来ていません。
なお、オフグリッドにしない理由はもう一つあります。スマートパワーステーション100% Editionは過剰な太陽光発電パネルを載せるので、冬の一時期以外は電気が余りまくります。「蓄電池に溜めれば良いじゃないか」とはいきません。いえ、勿論溜めますが、リーフの蓄電池まで充電したってほんの1~2日で満充電になります。電気は雨でも降らない限りは余るのです。この毎日毎日余りまくる電気を捨てるのはさすがに惜しいので、売電しようとするとオフグリッドには出来ないわけです。
と言うわけで、私は将来建てる自宅を文字通りのオフグリッドにすることは諦めました。考えれば考えるほどデメリットだらけです。一方でそれっぽいこと(なんちゃってオフグリッドとでも呼びましょうか)には未練があって、冒頭の通り蓄電池の導入を検討しているというわけです。
で、家庭用の蓄電池について少し調べてみました。先ずはどんなものがあるのかを理解するところからです。
1.特定負荷型と全負荷型
住宅用の蓄電池には特定負荷型と全負荷型があるそうです。違いは停電時の動作です。
特定負荷型は、停電時に電気が使えると言っても、特定のブレーカ系統だけでしか電気が使えないというものです。例えば冷蔵庫とテレビだけ、など予め使える機器(ブレーカ)を決めて配線しておきます。重要な箇所で使えれば十分と割り切るのがこれ。供給能力は機種に依りますが2kWのものが多く、3kWの機種がごく一部という感じ。冷蔵庫とテレビまでなら余裕ですが、2kWだと炊飯器も一緒に動かすと駄目でしょうね。
一方、全負荷型は家全体で電気が使える様にするタイプです。ただ、注意が必要なのは、「家全体で使える」と謳いながらあまり電力供給能力が高くないものが散見されることです。例えば伊藤忠商事のスマートスターLは停電時の出力が3kWしかありません。これでは特定負荷型の出力大きめの機種と同じです。全負荷型なので「家のどこでも電気が使える」のは確かですが、いつも通りに使うと直ぐに保護回路が働いて停電しそうです。「どこでも使える」からと言って「いくらでも使える」わけではないのです。とは言え、色々見てみると停電時に5kWとか5.9kWまで出せる機種もある様で、これくらいあればさすがに「全負荷型」という雰囲気になってきます。
全負荷型でも特定負荷型と同じ程度の能力しかない機種もあるとなると、特定負荷型と全負荷型を分けているのは一体何だろうという疑問が湧きます。で、いろいろ調べてみましたが、どうやら200Vを出せるかどうかで分けられているらしいことが分かりました。200Vも出せれば全負荷型、100Vだけなら特定負荷型ということです。
確かに今の一般家庭だと、オール電化でなくても大きめのエアコンで200Vが必要なことも珍しくありません。「家全体」を名乗るには200Vも出せることは避けて通れないのでしょう。
私の目指す「なんちゃってオフグリッド」には全負荷型であることは外せません。その上で停電時に5kWくらい出せる能力は最低でも必要そうです。何しろ私はオール電化にするつもりなので。
2.単機能型とハイブリッド型
これは蓄電池が太陽光発電のパワコンの機能を兼ねているかどうか、です。
蓄電池と言っても「家庭用蓄電池」の場合、充電式電池だけではどうにもなりません。電池は充電も放電も直流の電気で行うのに対し、家庭用の電源は交流なので、変換してやらないと使えないからです。なので、家庭用の蓄電池には必ず直流⇔交流の変換を行う回路が内蔵されています(機器によってはこの機能が別筐体に別れているモデルもあります)。
ところで、一般家庭で「直流と交流の変換を行う回路」でもう1つ代表的なのが太陽光発電のパワコンです。ならば、似た様な機能である太陽光発電のパワコンと蓄電池の直流/交流変換機能(これもパワコンと言います)を1台にまとめてやれば効率が良いよね、と言うコンセプトで作られたのがハイブリッド型です。これから太陽光発電を付ける人や、既に太陽光発電を持っているがちょうどパワコンの交換時期を迎えている、と言った人はこちらが合うでしょう。
一方、「太陽光発電のパワコンはもう持ってるよ」というユーザに向けたのが単機能型です。「太陽光発電は無いし付けるつもりもない」というユーザも単機能型ですね。
尚、単機能型の場合、太陽光発電から蓄電池に受電する際、直流→交流→直流と何度も変換を繰り返すのに対し、ハイブリッド型は変換回数が少ないので電気のロスが少ないというオマケの効果もあります。
私の場合はどちらでも構いませんが、太陽光発電はこれから付ける予定ですからハイブリッド型を選ぶのが良さそうです。勿論、機能や価格などの兼ね合いで、あえて単機能型という可能性もあるでしょう。