自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

FASの家のウェブ上モデルハウス見学-前編-

先日、潜熱蓄熱材について調べていたときに偶然見つけたのがFASの家(ファースのいえ)です。これはいわゆるフランチャイズ方式で展開しているもので、株式会社福地建装という工務店が技術開発を行い、その成果を全国の工務店にライセンスする形式を取っています。
このタイプの工務店集団(?)は他にもいくつかあるようで、私が知っているのは他にFPの家などです。
この形態は言ってみれば、「株式会社FASの家」とでも言うべき、大手メーカ相当の組織を構成していると見なせます。この仮想ハウスメーカの研究開発部門は福地建装が担っており、実際の施工をするのはフランチャイジーである各工務店というわけです。

住宅業界の江戸時代っぷりを嘆いている私から見て、この様な形で工務店同士が連合するのは大変好ましいことと思えます。如何に優秀であっても、大工さん1人で住宅という複雑なものを完全に理解することはほとんど不可能です。ましてや、新しい技術を開発したり、検証したりすることなど、顧客の家を建てる仕事の傍らに出来るわけがありません。だからこそ大手メーカでは様々な専門家が分業しているわけです。構造の専門家、温熱環境の専門家、インテリアの専門家、そして施工の専門家、などなど。そういった専門の人たちがそれぞれの分野を極めんとして頑張っているからこそ、大手の商品力は高いのです。現状ではその商品力が意匠設計に依りすぎていると私には思えますが、それはまあ、別の問題。ともかく、1人で全部をやるのではなく、手分けして大勢でやる。だからこそ良いモノができる。
ただ、大勢でやる分、コストは上がります。何せ支払う給料が多いですし、研究開発には多額の費用がかかりますから。となると、数を作ってその費用を薄める必要があります。数をこなせば、資材を安く購入することも出来るようになります。
そうやって、大手は大手になっていくんですね。
フランチャイズによる緩やかな連合は、小規模の工務店が、大手と全く同じではないにせよ、それに準ずるメリットを出すためのいい手段だと思います。特に技術開発が全くお留守になっていると見受けられる小規模工務店にとっては、不可欠と言ってもいい手段ではないでしょうか。10年経っても20年経っても同じ様な家ばかり作っていて進歩無しというのでは、とても食っていけないでしょうから。

ちなみに、先に出てきたFPの家は前からその存在を知っていましたが、特に興味をそそられることもなく、今でもノーマークです。
最大の理由は、ウェブ・サイトに載っている事例(つまり、FPの家の中では条件が良いものと思われる)のQ値が1.59と大したことがなかったからです。割と断熱仕様を頑張っているにもかかわらずQ値がふるわないのは、第3種換気にこだわっているために、換気による熱損失が大きく出ているからでしょう(熱交換でない換気だと、Q値は0.4程度悪化する)。「それなら一条工務店の方がいいじゃん」と思うと、それ以上追求する気になりませんでした。
それと、当初の建設予定地の周辺に、FPの家のフランチャイジーになっている工務店が無かったのももう一つの理由です。もっとも、建設予定地が全く変わったので、こっちの条件はクリアされたかも知れません。
肝心の技術内容についても、わざわざフランチャイズするほどの技術とは感じられなかったこともあり、今後も検討候補に乗ってくる可能性は限りなく小さいです。


寄り道が長くなりました。
そんなわけで、FASの家のモデルハウスをウェブ上見学してみました(本当のモデルハウスは身近に無いので)。
その印象はというと、これほどよく考えられた住宅仕様は初めて見た、が正直なところです。あまりに感心したので、私のブログで初めて反転文字を使ってしまったほどです。

住宅業界が全体として江戸時代だとすると、大手ハウスメーカを中心とした一部のメーカ・工務店だけが明治維新後の世界に生きているといった感じですが、FASの家は既に大正時代です。どうしちゃったの?と言うくらい突出しています。

ではその中身は?については、前振りで長くなりすぎたので、次回にします。

-中編に続く-