自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

TOTOのシステムキッチンやトイレ

私の自宅からあまり遠くないところに、TOTOの工場があります。
先日、その工場の公開イベント(何とか祭りという呼称だったような)があり、関係者でなくても参加できるとのことだったので、行ってきました。
製品展示やリフォーム相談コーナー、工場見学、本立て製作体験など、それなりに楽しめるイベントになっていました。

さて、私にとってTOTOと言えば、何はなくとも先ずトイレ。他にもあえて挙げるなら洗面台ってところでしょうか。TOTOが「東洋陶器」という昔の社名に由来することを知らない人でも、便器や洗面台の陶器をTOTOの代表製品として思い浮かべることは多いのではないでしょうか。
で、このイベントで初めて知ったのですが、色々やってるんですね、TOTOって。ユニットバスはあまり違和感ありませんが、システムキッチンにはびっくり。私が無知だっただけですが、どうも便器の印象が強すぎて、便器メーカのキッチン‥‥むにゃむにゃ‥‥。
余計なお世話ですが、別ブランドを立ち上げた方が良くないでしょうか?


ところで、私自身が製造業で働いていることもあり、一番勉強になったのはやはり工場見学です。
この工場の主力生産品はシステムキッチンだそうで、その組み立て工程(の一部)をかいつまんで15分程で見せてもらいました。
その感想ですが、、、うーん、何でこれが100万円も200万円もするのか、全く理解できません。

一所懸命開発や生産をしている方々には申し訳ないけど、パーティクルボードを指定サイズに切って、ダボで結合しただけのものですよ。構造がちょっとしっかりしているだけの組み立て家具が、何で100万円以上もするんでしょう? 桁が1つ違うとしか思えません。(余談ですが、今回のイベントに何故「本立て製作体験コーナー」があるのか、工場見学をしてその理由が分かりました。同社のシステムキッチンと同じ方法で本立てを作ってみよう、と言う趣旨の体験コーナーなんですね。)
これが全部無垢材でできているとか、あるいは一部のキッチンメーカがラインナップしている「オールステンレス」みたいなものなら、高価なのも分かります。でも、TOTOのは所詮パーティクルボード‥‥。

何だか、「単なる箱に、表面塗装だけしっかりやって高級感を出し、高い金を取っている」という構図が浮かんできてしまいました。「世の中には知らない方が幸せなことがある」という典型事例かも知れません。

もっとも、TOTOの名誉のために付け加えておくと、別にこれはTOTOに限った話ではないはずです。製造工程を見せてもらったので、TOTOに対してそんな印象を持ってしまいましたが、以前ショールームで観たクリナップやサンウェーブも、内部構造は似たようなもんでした。製造工程も大差ないでしょう。
それと、TOTO自身、決してぼろもうけしているわけでは無さそうです。以前知り合いが勤めていましたが、給料は安かったみたいですし。つまり、製造原価はいかにも低いように見えたけれども、実際にはコストがかかっている工程が(多分見学していない部分に)あって、それも踏まえると、100万以上するのも決して理不尽ではないと言うことなのでしょう(と言うか、そう思いたい)。

では、思いの外コストがかかっている部分とは、一体どんなところでしょうか?

先ず考えられるのは、一品生産であること。
製造業の内情を知らない人にはなかなかすんなりとは理解し難いところですが、オーダーメードというのは、素人が考える以上にコストがかかります。より正確に言うと、「同じものをひたすら作ればいいだけなら、安く作る方法はいろいろと思いつく事ができる」のです。
買う側は、そういう「色々工夫して安く作った場合の価格」をイメージしがちですが、オーダーメードの場合、その手の低コスト化の工夫が使えないことが多く、買い手の印象とはかけ離れた価格になってしまうことがままあります。

次に考えられるコスト高の部分は、天板です。
棚や引き出し、扉などはパーティクルボードですので、原板から指定サイズに切り出すだけです。加工は簡単です。
それに対し、天板はステンレスにせよ、人造大理石(つまりプラスティック)にせよ、その寸法の一枚物です。大きいです。シンクがどこにあるかも含めて、形状はまさにオーダーメードです。
同じ寸法・形状のものを何個も作ればいいのなら、金型でぱしゃんとやればできますが、一品ものとなるとそういうわけにもいきません。どうやって作っているのか私は知りませんが、これはさすがにコストがかかっていそうな気がします。

‥‥うーん、このくらいしか思いつきません。
この2つで、100万円以上という金額を説明できるのかというと、まだまだ苦しいような気がします。誰か教えてくれ!

水ほうき水栓なんてのは良くできていると思いましたが、正直言うとこの水栓金具だけ売って欲しい。この水栓が欲しい為にTOTOのシステムキッチンを選ぶというのは、いくら何でもばかげています。説明員に聞いたところ、この水栓単独での販売はしないそうですが、そんなパーツ(良くできているパーツではありますが)に頼らないとシステムキッチンが売れないの? と皮肉の1つも言いたくなります。

何だか、知れば知るほどシステムキッチンって、コストパフォーマンスが悪い代物(TOTOに限らず)と言う気がしてきます。
あまり健康に良くないので、当分は思考停止した方が良さそうです。

これに対して、ユニットバスはもうちょっとマシな印象。
ほっカラリ床魔法びん浴槽など、風呂自体の機能・性能で競おうとする姿勢が多少覗えます。(魔法びん浴槽の方は、今時珍しくもないですが。)エアインシャワー のシャワーヘッドは単品売りしているようです。

トイレになると、さすがに節水や防汚性など、トイレ自体の機能・性能での訴求が主体になります。ああ良かった。
そう言えば、以前経済雑誌だかなんだかで、TOTOの偉い人のインタビュー記事を読んだことがあるのを思い出しました。「TOTOのトイレメーカとしての強みは何ですか?」と聞かれたその人は、「陶器を自社で作っていることです」と答えていました。曰く、「陶器は焼くと10%以上も寸法が縮みます。その縮む量を適正に制御
するには高いノウハウが必要なので、それを自社でやれることは高い競争力になるのです」と。
なるほどと思うと共に、「じゃあ、樹脂(プラスティック)で便器を作るライバル会社が現れたらヤバイね」なんて思ったのですが、その後程なくしてアラウーノが出てきたのでちょっとびっくり。あのときのTOTOの偉いさんはどう思ったでしょうね?



日本最大のトイレメーカという強烈なイメージを持つTOTOですが、実際にはシステムキッチンなど、いろいろやっていました。
大変勉強になった1日(半日)ではありますが、やっぱりTOTO製品を選ぶとしたらトイレかなぁ、と再確認させてくれた1日でもありました。
システムキッチンは、‥‥またの機会に考えることにしましょう。