自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

FASの家に体験宿泊-其の四-

-其の参から続く-

8.静寂な空間の快適さ

其の弐で重要なことを書き忘れました。室内の静寂さです。
高断熱・高気密住宅のご多分に漏れず、FASの家も屋外の音が進入し難いことを謳っていますが、ここで言うのはそのことではありません。そもそもこのゲストハウスは市街地からは勿論、幹線道路からも数百メートル離れた小高い丘の上に建っていて、家の性能に関係なく辺りは十分に静かですから。

では何の話をしているのかというと、空調の音がしないことです。

先ず誤解の無い様に書いておくと、このゲストハウスは蓄熱式暖房機を使っているので、基本的には空調音はしません。(使い方によっては蓄暖のファンが動作するので、その動作音はするようですが。)
この事自体はFASの家の仕様とはあまり関係ないことです。にも関わらず、「空調の音がしない」などと殊更に強調して書くのには、勿論それなりの理由があります。
重要なのは、壁体内から室内を経由してまた壁体内へと循環している「空気循環」に伴う動作音(風切り音)がしないことです。そのことが確認できたので、重大なこととして取り上げています。

以前も書いた通り、FASの家では天井裏からパイプを通って床下、そこから壁体内、居室、また壁体内を経由して天井裏に戻る経路で、室内の空気を循環させています。そして最新仕様のFASの家では、天井裏に設置したエアコンで全館の基本的な空調をまかなう様になっています。
唯一の空調機器であるエアコンが天井裏にあるので、空調機器の動作音は天井裏に封印されています。なので、あとは空気の循環に伴う音さえ十分に小さければ、無音での空調が可能になることを自動的に意味します。だからこそ、空気循環の音が十分に小さいかどうかが、私にとっては非常に重要なことだったわ
けです。そしてこのゲストハウスにおいて、空気循環に伴う音は、ほぼ無音と言って良いレベルになっていることが確認できました。
完璧です。これでほぼ無音の空調が、冷房・暖房共に可能になります。特に冷房でも、と言う点が重要です。これが難しいんですよね。

なお、実際にはFASの家でもリビングなど日当たりの良い部屋には補助冷房として壁付けのエアコンを設置するそうです。直射日光の当たる部屋では強めに冷房を効かせないと、どうしても暑いと感じがちなのだそう。
とは言え、補助的に使う程度なら許すことにしましょう。オーニングなどで直射日光を遮れば、補助エアコンは要らないかも知れませんし。

いつもファンヒータとエアコンが轟音を立てている(と言うほどではないが)家に住んでいる者にとって、静寂な暖房空間というのは、ちょっと不思議な、しかし快適な空間でした。

9.結局、どうよ?

で、結局FASの家はいいのか? それほどでもないのか? はたまた悪いのか?

一晩過ごした上での私なりの結論は、十分に快適で、自宅建築における有力候補として検討に値するです。

正直言うと、多少肌寒い感じが無くもなかった。1階の床はもうちょっと冷たさを緩和して欲しい。
逆に言えば、そう言う細かい不満を指摘したくなるほど基本レベルが高かったと言うことでもあります。
実際、その程度の不満は室温の設定を1~2℃上げれば解決する話ですしね。蓄熱暖房機を使うこのゲストハウスではそういう微調整は難しいかも知れませんが、天井裏エアコンを使う最新版なら可能なハズです。

滞在中は室内があまりにも「普通」なので、しかも非常に静寂なので、外で雪が降っていることをついつい忘れてしまいそうになりました。
外が氷点下だと言うことを忘れてしまうと、何が凄いのかよく分からなくなります。単なる当たり前の様な気がしてくるんですね。勿論、ベランダに続くドアを開けてみたら、間違いなくそこは氷点下の世界でしたが。
仮にFASの家に住んだとしたら、多分そう遠くないうちに「快適なのは当たり前」と感じる様になるのでしょう。ま、本来住宅とはそうあるべきものと思いますけどね。そんなことに煩わされない空間を提供してくれるのが、家の役目の1つだと思います。

ところであなたは、「普通」の家に住んでみたいですか?