自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

ヘッジ構法,KES構法,IK構法,ガッツフレーム構法-ウェブ上見学-

SE構法を知ったときに調べたところ、他にもいくつか「金物工法」が存在することを知りました。
後々のため、今回調べたことを簡単に残しておきます。

1.どんな構法があるか

ちょっとネットサーフィンした範囲で目についたものだけなので、他にもあるかも知れませんが、今回目についたのは下記です。

ヘッジ構法(H-edge構法)
KES構法(ケスと読むらしい)
IK構法
ガッツフレーム構法(Gats-Frame構法)

どれも集成材を使った木質フレームと接合金物でラーメン構造(又は準ラーメン構造)を構成するもので、基本的な特徴はSE構法と同じです。金物に独自の工夫がある、などのメリットを謳う場合もありますが、詳細な技術情報が開示されているわけではなく、「SE構法とKES構法のどちらが強いか」といった比較は素人には不可能です。まあ、在来軸組工法に比べればどれも十分に強いのでしょうから、選定のポイントは、少々の強度の差を論ずるのではなく、価格とかどの工務店で使えるかなどが重要でしょう。今回はそこまで調べていませんが。

2.ヘッジ構法(H-edge構法)

ウェブ・サイトはこちら。株式会社ディーファクトという名古屋の会社が開発元のようです。
他の金物工法との最大の違いは、完全なラーメン構造であること。つまり、耐力壁を全く使いません。今回調べた中で完全なラーメン構造と明確に書いてあったのはヘッジ構法だけです。耐力壁での補強が不要と言うことで、木造最強宣言の文字がウェブ・サイトに躍ります。
では本当に最強なのかというと、それはちょっと言い過ぎでしょうね。恐らく、フレーム部の強度は他の構法よりも強いのでしょう。ただ、他の構法はそれを補うために耐力壁を併用するわけですから、結局、出来た家はどの構法でも強度は大差ないというのが結論でしょう。
勿論、同じ強度なら耐力壁が不要な分、開口部の大きい間取りなど、自由度の高いプランニングが出来ます。その意味で、ヘッジ構法に優位点があるのは確か。とは言え、他の構法もそれほど多くの耐力壁を必要とするわけではないようなので、余程特殊な間取りとか、大規模な建物にするというのでなければ、大きな差は出ないように感じます。

ヘッジ構法の会員となる工務店は、ウェブ・サイトに10社ほど載っていますが、会員工務店でなくてもヘッジ構法で建てられるとも書かれています。「新規に会員になるのは簡単ですよ」という意味でしょうか? よく分かりません。

また、構造計算を全棟で実施すると言ったSE構法とも共通する特徴がありますが、実際に建てる工務店と、ディーファクトの関係がどうなるのか(どの様な役割分担、責任分担になるのか)は分かりません。
SE構法に比べると、ややウェブ・サイトで提供されている情報量が少ないですね。とは言え、SE構法と同じくきちんと工学的なアプローチに基づいて構築されている構法という印象です。

3.KES構法

ウェブ・サイトはこちら。株式会社シェルターという山形県の会社が開発元です。KESとは、Kimura Excellent Structureの略だそう。あまり良いネーミングセンスではありませんね。開発者は社長の木村さんです。
明確には書かれていませんが、完全ラーメン構造ではなく、準ラーメン構造の様です。

他の構法と比べたときの特徴は、大規模な公共施設の建築実績が非常に多いと言うことです。SE構法に負けず劣らず。体育館や保育園、役場など。この実績は大したものです。

ウェブ・サイトでの技術的な情報の開示は、SE構法よりもやや少ないです。それでもヘッジよりは多いかな。KESのウェブ・サイトに限りませんが、直接のライバルである他の金物工法との比較は無く、在来の木造軸組構造との比較が多いので、SE構法とどっちが良いの?は結局よく分かりません。もうちょっと詳細な技術情報の開示を期待したいところ。
建築実例の掲載は比較的多いのですが、どれもこれも、施主は相当なお金持ちだろうと思われるものばかりで、金持ちじゃないと選べない構法なのかなという印象です。

国産のカラ松や杉を積極的に使っている、とわざわざウェブ・サイトに書いてあります。集成材では輸入材であるベイ松やスプルースを使うことが多いと聞いたことがあるので、これは独自の特徴です。
ただ、それで輸入材に対して強度がどうなのか、国産材の使用比率はどうか、と言った詳細情報はありません。国内森林の保全というメリットは分かるのですが。

4.IK構法

冨士土地株式会社という会社がやっています(2020/04/18注:ウェブサイトからIK公法に関する情報が消えています)。、開発元は伊藤忠建材かも知れません(情報が少なくてよく分かりません)。富士土地株式会社は、社名から静岡県の会社かと思ったら、本社は東京都でした。
今回調べた中では最も情報量が少ない(無いと言っても過言ではない)構法です。ウェブ・サイトの情報も、金物工法であればIK構法でなくても通用する程度の一般的な説明がほとんど。
と言うわけで、名前は発見したものの、それ以上はさっぱり分かりませんでした。

5.ガッツフレーム構法

開発元はJOCタチカワ株式会社(2020/04/18注:この会社のウェブ・サイトが見つかりません)。こちらも東京都の会社。ガッツの名称は、Gusset Architecture Toughness Systemから。
ここもIK構法に負けず劣らず情報が少ない。

限られた情報から推測する限り、必ずしも家全体をガッツフレーム構法で作ることが前提なのではなさそう。在来軸組工法か2×4構法を補強するために、ガッツフレームと命名された門型のフレームを使うというスタイルのようです。JOCタチカワは、会員工務店から要望された寸法のガッツフレームを出荷し、会員工務店にて実際の家を建てるのでしょう。実際、「ガッツフレームをドアやサッシなどと同じ感覚でご発注、ご利用いただけるということです」という記述があります。
だとすると、家全体の強度には、誰が責任を持ってくれるのでしょうか?(サッシメーカが責任を持ってくれるとは思えませんが‥‥。)
どうも品質の担保に不安が残ります。

いつの時点での数字か不明ですが、実績は2,000棟突破と書いてあります。大した棟数ではないです。

6.まとめ

と言うわけで、情報が全般的に少なく、SE構法に比べての良し悪しを論じられるレベルではありませんでした。
限られた情報の範囲内で、私自身が検討候補に入れても良いかなと思ったのは、ヘッジ構法とKES構法です。モノが良いと言うよりは、情報が多少なりとも開示されていて、まともそうだなと思えたのが理由です。IK構法とガッツフレーム構法はまともではないという意味ではなく、情報が少なすぎて判断不能という意味です。

SE構法も含めて言える傾向は、ウェブ・サイトの情報が豊富なのは建築実績の豊富さと密接な関係がありそうと言うことです。
何が言いたいかというと、

建築実績が豊富
 ↓
それだけ手がけている工務店が多い
 ↓
自分の居住予定地域にも会員工務店がある可能性が高い

という意味で、現実的な選択肢に入ってくると言うことです。いくらモノが素晴らしくても、建ててくれる人が居ないんじゃ、意味がないですからね。
その意味では、圧倒的にSE構法が有利なポジションに付けていると言えそうです。