パナソニックが除湿機能を持つ換気システムを発売しました。
商品名は「SMART-ECS SARAWEL(スマート イクス サラウェル)」です。
これはなかなか良い商品の様に思えます。
1.どんなシステム?
プレスリリースは下記。
「日本の夏に「高除湿」という新提案」と謳いますが、客観的には新提案でも何でも無く、「今頃やっと?」という感じですね。いえ、皮肉はこのくらいにしましょう。こういう機器が増えてきたのは素直に喜ばしいことです。
プレスリリースにある機器の写真ではエアコンの室外機のように見えますが、エアコン(室温を上げたり下げたりする)ではなく、あくまでも換気設備です。いわゆる24時間換気設備と思って良いでしょう。
つまり、換気を基本的な機能としつつ、夏は除湿をすることで、快適な室内環境を実現する機器です。但し温度を変える機能はもっておらず、エアコンと併用するのが前提。
除湿も出来る換気システム、と言う点で、ダイキンのデシカ(家庭用はデシカホームエア)の競合商品と言って良いでしょう。
2.仕組み
換気システムなので、基本は換気機能です。そこに除湿機能を組み込んだ形です。
まず全体の流れをざっとまとめると下記。
- 室内からの空気(排気)をダクトで機器に集める
- 屋外からの空気(給気)と全熱交換する(温度と湿度の両方を交換)
- 排気はそのまま屋外へ
- 全熱交換した給気を除湿機に通す
- 除湿された給気をダクトを通して室内の各部屋に送る
4.の除湿機能があることがスマート イクス サラウェルの最大の特徴と言って良いでしょう。これが無いと単なる全熱交換式の式の第1種換気に過ぎませんので。
除湿の方式はエアコンと同じです。ここがデシカとの違い。正確に言うと、再熱除湿方式のエアコンと同じ事をやっています。全熱交換後の外気を冷やして結露させ、湿度を取り除き、その後、温めて温度を戻してから新鮮空気として吸気ダクトに送ります。
リリースではAir Meという空気清浄機も記載されていますが、これは換気とは別に動作する天井埋め込み型の空気清浄機の様です。HEPAフィルター装備。換気とは直接つながっていない機器の様なので、ここではこれ以上触れません。
3.特長、性能
本体が屋外設置であることが特長の1つで、これはデシカに対する優位点になると思われます。
デシカホームエアは屋内設置で、半畳のスペースを必要とします。対してスマート イクス サラウェルは屋外設置なので建物を半畳分大きくする必要がありません。
肝心の除湿性能は、1時間あたり3.1kgで業界最高とのこと。ちなみにデシカホームエアは2.7kgなので、確かにデシカを上回っています。
除湿性能は外気の条件などで変わってくるので単純に比較できるのか疑問でしたが、両機種とも「室内側27℃DB、19℃WB、室外側33℃DB、28℃WBでの値」とのことで、同じ条件だったので比較可能です。どうやら、JISで条件が決められているようですね。
で、「デシカより能力が高いなら素晴らしい」と言いたいところなのですが、単純にそう言って良いのかどうか、ちょっと疑問が。
と言うのも、本当に問うべきは、「1時間あたり何kgの水蒸気を取り除けるか」ではなく、「絶対湿度を何g/kgまで下げられるか」だと思うからです。
上記の「1時間あたり3.1kg」という能力が単純に「実現出来る絶対湿度の低さ」を意味するとは言えない様に思うのです。
絶対湿度についてはリリースでは言及がないので、この点の実力は分かりません。
尚、加湿機能は無いので、この点はデシカに劣ります。ただ、加湿はさほど難しくないですし、パナソニックは加湿器を既に開発しているので、それと組み合わせればカバーできるとも言えます。この加湿器についてはまた別途。
4.積水ハウスとの共同開発
これがビジネス面で面白いところなのですが、スマート イクス サラウェルは積水ハウスとの共同開発になっています。
共同開発と言っても、機器の肝の機能は全熱交換換気とエアコンみたいなものですから、機器そのものはパナソニックが単独で開発したのだと思います。
パナソニックは元々全熱交換換気システムを商品として持っていますし、エアコンも当然持っています。スマート イクス サラウェルを独力で開発できる能力をパナソニックは持っているはずです。
積水ハウスとの共同開発というのは、積水ハウス側から「このくらいの性能・能力が欲しい」とか、「外形はこのくらいに抑えて欲しい」といった要求仕様を出したのではないかと思います。
「積水ハウスは口出しただけじゃん」と感じますが、どのくらいの仕様・性能であれば使い物になるのか、これを見極めるのもスキルの1つです。開発した後で、「使ってみたら性能が足りませんでした」とか、「僅かに大きすぎてほとんどの新築では使えません」てなことになっては目も当てられないからです。その意味では積水ハウスも重要な役目を担ったと言えるでしょう。
この点はもう少し思うところがあるのですが、ひとまずこの辺にしておきます。
尚、ほぼ同じ内容の発表を積水ハウスもプレスリリースしているのですが、そこにはスマート イクス サラウェルとスマート イクスの2つが並記されています。(名称の末尾に「サラウェル」が付くか付かないかの違い。)
読む限り、除湿機能があるのはサラウェルだけで、スマート イクス(サラウェルが付かない方)は単なる全熱交換換気システムの様です。
5.デシカホームエアと比べてどうか
私としては、デシカホームエアと比べてどうかが最大の関心です。デシカよりスマートイクスサラウェルの方が良いのかどうか?
一番の判断ポイントかなと思うのは、「絶対湿度をどこまで下げられるか」だと思っていますが、両機種ともこの点は記載が無いので判断がつきません。
それ以外で言うと、冬の加湿が出来る点でデシカが一歩リードかなと。家の建坪を半畳分小さく出来るのはスマート イクス サラウェルが有利ですが、私の場合はそこまで重要ではないかなと言う感じです。
と言うわけで、デシカを止めてこちらに、と決断するほどでは今のところありませんが、こういう機器が充実してくること自体は大歓迎です。
少しずつ、良い方向に進んでいることが感じられるニュースでした。