REPOストレージのシステムに付いている重要な制約とは何か?
それは系統連携できないということです。つまりオフグリッドシステムです。(後述の通り、売電はできないものの買電は出来るので、厳密なオフグリッドではありません。)
ニチコンのウェブ・サイトを見ると分かり易いですが、太陽光発電パネルを装備した住宅では、
- 太陽光発電(発電したりしなかったり)
- 蓄電池(電力を貯めたり取り出したり)
- 家庭内の電気機器(電力の消費)
- EV(基本的には充電、緊急時には電力を取り出す)
- 系統電力(足りないときに買電、余ったときは売電)
という感じで、様々なものを「いい感じに」連係動作させるのが普通です。(蓄電池やEVは無い場合もありますが。)
しかし系統連携できないとなると、大容量の蓄電池を備え、発電した電気を全て溜めて自家消費するしか無いことになります。だからREPOストレージのシステムでは大量の蓄電池を装備するのが前提になっているわけですね。
以前、セキスイハイムのスマートパワーステーション100%エディションについて考察したときに、蓄電池だけで過ごそうとすると、40kWhくらい必要という試算結果でした。家庭用蓄電池として市販されているものは、大きいものでも10~12kWh程度ですから、とてつもない容量です。
対して、REPOストレージのシステムは基本が30kWh。これも一般的とは言い難い大容量ではありますが、それでもちょっと足りない気もします。系統連携できないこのシステムで雨天が続いたりしたら停電するしかないのかというと、そうはなりません。と言うのも、このシステム、バッテリーの残量が無くなったら系統から買電する様になっているからです。
系統連携していない(できない)のに買電できるのはちょっと良く分かりませんが、恐らく同時には使用できず(連携していないので)、どちらか一方のみを使う仕様なのでしょう。バッテリーから放電しているときは系統から買電できず、逆に系統から買電しているときはバッテリーを家庭内の電気系統から切り離すと。これなら連携せずに『足りないときだけ買電」が実現出来ます。
とは言え、切り替え時に瞬間的に停電しないのか? など、ちょっと良く分からないところはあります。瞬時停電するのだとするとちょっと不便ですからね。
この方式だと、売電はできません。売電は「切り替え」では実現出来ず、原理的に系統連携が不可欠ですので。
と言うわけで、REPOストレージのシステムは非常識なほどの大容量蓄電池を装備することで、基本的には完全自家消費を目指しつつ、どうしても不足するときだけ系統から電力を購入するというシステムになっているわけです。完全自給自足方式の弱点を補う、上手い方法だと思います。
で、ここからが本題。
- REPOストレージのシステムは何故系統連携していないのか?
- REPOストレージのシステムは何故それほど安価なのか(他の半額近い)?
この2つの疑問への答が、「国内仕様であるJIS規格には準拠せず、国際規格であるIECに準拠したシステムを使用しているから」なのです。簡単に言うと、国内専用のガラパゴス規格に準拠させると高くなるから、国際標準の安いシステムにしました、と言うことです。
日本の国内規格に準拠していないなんて安全性は大丈夫なのか? と心配になりますが、実はそこは問題にはなりません。IEC規格だってちゃんとした規格ですので。(勿論、規格がどうこうとは別に、そのシステムを作ったメーカーの技術力が低いから安全ではない、ということは有り得るでしょうけど。)
では、JIS規格じゃないと何が困るのかというと、補助金が出ないのです。これも聞けばちょっと妙な話で、日本でもメガソーラーなどの産業用のシステムではIEC規格品でも補助金の対象になるのだそう。JIS規格品でないと補助金が出ないのは家庭用蓄電池だけなのだそうです。変なの。
REPOストレージは、「だったら補助金無しでも元が取れるくらい安くすればいいんだろ」とばかりに、
- 海外市場の低コスト競争で鍛えられたIEC規格品を使う。
- 系統連携しないことで、システムから系統連携用の機能を削除してコストダウン。
という工夫をすることで、既存品の半額近い低価格を実現したとのことです。確かに、補助金もらうより実質は安いのでは?
ただ、以前も書きましたが、オフグリッドを基本にしたシステムの場合、太陽光発電パネルと蓄電池の容量は、電気使用量が多く発電量の少ない冬を基準に決めることになります。夏は電気使用量も多いのでそこそこ使い切れるでしょうが、春秋は電気がかなり余ります。普通は、それを捨てるのは勿体ないと考え、折角発電した電力を売電して有効活用します。だから系統連携するのです。
しかし、REPOストレージは自給自足でも元が取れる蓄電システムを実現してしまいました。しかも補助金無しで。記事で挙げられているご家庭では7年程度で元が取れる見込みだそうです。
素晴らしいとしか言いようがないのですが、となると、今後は「系統連携なんかしなくてもいいじゃん。むしろその方がいいじゃん」ということになりかねません。
電気は大量・長期に貯めるのが難しいので、春夏に電気が余っても、蓄電して夏冬まで持ち越すことは非現実的です。だからこそ、余った電気で水素を作ったりして、電気とは違う形のエネルギーに変換して季節を越そうという取り組みが研究されています。(まだまだコスト的に現実的でなく、もっと技術開発が必要ですが。)
しかしそういった取り組みも、個々の家庭などで発電した電力を、系統連携を通じて集めることが出来ればこそ可能な話です。REPOストレージの様な系統連携を諦めたシステムが多く普及してしまうと、春秋の余剰電力は捨てるしかなくなります。そして、そういう残念な状況の原因になっている(なりかねない)のが、現在の補助金制度だというわけです。何という矛盾。
これこそが、私がREPOストレージのシステムを黒船だと感じた理由です。
補助金無しで元が取れるという素晴らしいシステムなので普及して欲しいですが、これが普及すればするほど国全体の電力システムは逆に脆弱になってしまう可能性があります。(必ずそうなるとは言えませんが。)
個人の損得と、国全体の利害が対立する構図です。困りましたね。
私個人はと言うと、大いに興味をそそられました。何しろ、太陽光発電パネル7kWと蓄電池20kWhで200万円ちょっとですから。
一方で、系統連携しておくべきだよなという気持ちも持っています。
家を建てる話もそろそろ本格始動させられそうなので、じっくり考えたいと思います。

