自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

日立のグリルレスIHコンロ MUTRAL

日立のIHコンロの新製品として、グリルレスタイプがデビューしました。MUTRALです。


以前キッチンの仕様を検討した際に、IHコンロをグリルレスタイプにするアイディアを思いつきました。

その後、このアイディアを具現化する肝である三菱のグリルレスIHコンロが廃番になるかも、というネタがあり、それがガセネタと判明するという顛末もありました。

で、この度日立から、グリルレスIHコンロが新製品としてデビューしたわけです。

 

日立は大企業ですから、新製品を勢いだけで発売することは有り得ません。それなりに市場調査をして、グリルレスIHコンロがそれなりに売れるという判断をしたからこそ発売したはずです。

とすると、私が以前思っていたよりもグリルレスIHコンロを望む人は多かったのかも知れません。

 

正確にはこのモデルは未だ発表されただけで発売はもう少し先です。その為か、設置の工事仕様書などは公開されておらず、キッチンのワークトップに開ける穴の大きさは不明ですが、普通に考えると日本の標準的なIHコンロの取り付け穴と共通サイズになっているだろうと思われます。であれば、三菱のEURO STYLE IHと取り付け穴の互換性があります。

三菱の1機種決め打ちのアイディアでしたが、2機種に増えてちょっと安心感が増しました。もっと色々増えてくれると有り難いです。

 

ホントはパナソニックのマルチワイドIHとか、トリプルワイドIHみたいな3口横並びがいいんですけどね。あれはパナソニックのシステムキッチンとの組み合わせでしか買えないので候補に入れらないのですよね。

パナソニックの住宅関連事業は何か変

パナソニックの換気にかかわる住宅設備を2つ取り上げました。以下です。

スマート イクス サラウェル(除湿力の高い換気システム)

アクアシッター(換気システムと組み合わせて使う加湿ユニット)

 

今回は、「この2つの商品を見ると、パナソニックの住宅関連事業はちぐはぐだな、と思わずにはいられない」というお話です。

 

1.パナソニックはグループ内に住宅メーカーを持っている

わざわざ指摘するまでもありませんが、パナソニックはグループ内にパナソニックホームズという住宅メーカーを持っています。私も自宅新築を見当し始めたときにモデルハウスを見学に行っています(当時はパナホーム)。

 

2.パナソニックはグループ内に住設メーカーも持っている

これも言うまでもないでしょう。

最近取り上げたスマート イクス サラウェルやアクアシッターはパナソニックハウジングソリューションズというグループ会社の商品です。ここでは他にシステムキッチンやIHコンロ、システムバス、トイレ、洗面台などもラインナップしています。エコキュートもあります。変わり種では雨樋なんて商品も持っています。

また、コンセントやスイッチ、分電盤といった電設資材はパナソニックエレクトリックワークスというグループ会社の商品です。照明器具なんかもありますね。

もう、住宅に関係するものはほとんど揃うんじゃない? というくらいの充実ぶりです。1社(1グループ)でここまで揃う企業は他には無いんじゃないでしょうか。

 

3.何故パナソニックホームズとの共同開発ではないのか?

さて、ここから本題です。

アクアシッター(加湿器)は一条工務店との共同開発です。

スマート イクス サラウェルは積水ハウスとの共同開発です。

何故、パナソニックホームズとの共同開発ではないのか?

 

一般論として、開発パートナーを必ず同じグループ会社から選ばなければならないというわけではありません。それぞれの事業部門は独立に経営判断をしており、グループ外に開発パートナーを求める方が自分たちの経営方針にマッチすることだってあるからです。

実際、例に挙げたスマート イクス サラウェルやアクアシッターは湿度のコントロールが目的の設備ですから、気密性が高い建物でなければ威力を発揮できません。気密性が低いと隙間から水蒸気が出入りしてしまうため、湿度を一定に保てないからです。(除湿/加湿がフルパワーで動作していれば何とかなるのかも知れませんが、あまりスマートではないですよね。)

なので、開発パートナーには気密性の高い家づくりをしているメーカーを選びたいところです。しかるに、パナソニックホームズは気密性の確保に不利な軽量鉄骨構造を採用しています。C値も公表されていません。だからアクアシッターの開発パートナーには一条工務店を選んだのだろうと想像できます。

もう一方のスマート イクス サラウェルは何故積水ハウスと組んだのだろうという疑問が残ります。積水ハウスも軽量鉄骨なので気密性は不利です。ただ、パナソニックホームズと違って、木造のシャーウッドという商品もラインナップしていますから、パナソニックホームズよりはマシという相対的な判断だったのかも知れません。

実際の所は、「一条工務店から加湿器の開発を依頼された」、「積水ハウスから除湿機能付き換気システムの開発を依頼された」という事かも知れません。頼まれて開発する場合は相手を選べません。

 

と言うわけで、そんな大人の事情で開発パートナーはパナソニックホームズではなかった、という説明は可能です。実際、それが事実なのだと思います。

 

4.「家まるごと」戦略はどこに行った?

そんな大人の事情を理解した上で、それでも「何だかなぁ」と思わずにいられないのは、パナソニックは「家まるごと」戦略を推進していたという事実があるからです。

上記に書いた様に、パナソニックはグループ会社で家全体を提供できるほどの幅広い商品を持っています。これを活かして「家まるごと」を提供することで顧客により高い満足を提供していこうではないか、という作戦が「家まるごと」戦略です。

この戦略の存在を前提にするならば、スマート イクス サラウェルもアクアシッターも、開発パートナーの最優先候補はパナソニックホームズになるはずです。

 

現実にそういう判断にならなかったのは、グループの全体戦略を現場が軽視していたか、あるいは「やりたくてもパナソニックホームズは開発パートナーとしてあまりに頼りなかった」からか、そのどちらかでしょう。(又は両方かも。)

ここ最近パナソニックがぱっとしないのはそういうとこじゃないの、と思わずにはいられません。

 

5.「家まるごと」戦略の終焉

2025年11月17日、パナソニックはパナソニックハウジングソリューションズの株式をYKKに譲渡すると発表しました。

この時点をもってパナソニックの「家まるごと」戦略は終演しました。それどころか、「パナソニックとして住宅関係事業はもう無理」と判断されたことになります。グループ全体で力を入れていくハズの事業から15年ほどで、この事業に対する位置づけは大きく下がることになったわけです。

事業の存在が低くなったのは、その事業が「パナソニックグループが注力していく方向ではなくなった」ということであって、事業自体の価値がなくなったわけではありません。事実、事業自体の価値は有るからこそ、YKKはこの事業を買ったわけです。

 

グループとしての注力戦略ですらこの有様では、そりゃ駄目になるよ、パナソニック。と言うのが今回最も言いたかったことです。

最近はAI銘柄に分類されたらしく株価も大きく上がっていますが、「AI銘柄になるための戦略を立てていたからこその結果」とは寡聞にして聞いた記憶がありません。単なるラッキーパンチじゃなきゃいいですね。

 

6.まとめ

タイトルでは「何か変」と書きましたが、はっきり言うと、「まるで駄目」ですね。

YKKの傘下では今までとは違う活躍を見せて欲しいものです。

 

パナソニックの全館空調用加湿ユニット「AQUA Sitter (アクアシッター)」

パナソニックが全館空調用加湿ユニットを商品化しました。これ、実はずいぶん前の話で、当時知ってはいたのですが、わざわざ触れるほどではないかなぁと思ってスルーしていました。

この度、除湿換気システムのスマート イクス サラウェルが商品化されたのを見て少し思うところがあり、今更ながら取り上げてみた次第です。

 

1.どんなもの?

AQUA Sitter(アクアシッター)という加湿ユニットです。

単体で使うものではなく、全館空調用や24時間換気のダクトの途中に組み込んで使う仕様です。

 

2.仕組み

遠心破砕加湿方式という変わった方式で水を気化させて加湿する方式です。回転数で加湿量をコントロールできること、加湿用の水を自動で入れたり排水したり出来ること、などの機能があります。

 

3.特長

ウェブ・サイトには記載がありませんが、こういう方式になっている一番の理由はメンテナンスフリーにすることだと思われます。加湿器は水を扱うので、ややもするとカビが生えたりしかねません。一旦カビが生えると、カビの胞子が空調や換気のダクトを通って各部屋にばらまかれてしまいますので、そんな事態は絶対に避けねばなりません。

このシステムでは、1日に1度、加湿器内に溜まった水を全て抜いて乾燥させ、カビの発生を防止する仕様です。

加湿し、加湿量を調整し、定期的に水を抜いて乾燥させてカビを防止し、再度注水して加湿する。この一連の動作を自動で行います。

フィルターの様なデリケートな仕組みを使わないので、メンテナンスフリーになっています。家電として売られている空気清浄機一体型の加湿器と違って、メンテナンスが難しいので、メンテナンスフリーにすることが非常に重要だったのでしょう。

 

4.一条工務店との共同開発

冒頭のプレスリリースは2023年11月27日のものですが、実はこの方式の加湿器自体はもっと前に開発されていました。しかも、一条工務店との共同開発で。

最初の開発のプレスリリースを見つけることは出来ませんでしたが、一条工務店がグッドデザイン賞を受賞したというニュースの中に、この加湿器が載っています。

該当するのは上記記事の中のロスガード90うるケアです。ロスガードは一条工務店の全熱交換式換気システムですが、そこに加湿機能を付けたものが「うるケア」であり、この加湿機能こそが今回取り上げているパナソニックの開発品です。

 

ちなみにロスガード90うるケアについては下記に詳細の記載がありますが、パナソニックの遠心破砕加湿方式と全く同じであることが分かりますし、ページの下の方にはパナソニックと共同開発したことも書かれています。

グッドデザイン賞を受賞した2020年頃に開発されたと考えて間違いないでしょう。

 

5.スマート イクス サラウェルとの関係

順番としては、まずこの加湿器を開発し、その数年後にスマート イクス サラウェルを開発したことになります。これで、

  1. 全熱交換換気
  2. 除湿機能
  3. 加湿機能

を全て供えた換気システムをパナソニックとして提供できる様になったわけです。もしかしたら、それに向けた第一歩が2020年頃の加湿器開発だったのかも知れません。

更に言えば、パナソニックですからエアコンも手の内にあります。パナソニックのエアコンは再熱除湿ではないので、夏に弱いのですが、換気システムで除湿が出来る様になるならエアコンの弱点が目立たなくなります。(そういえばデシカを持っているダイキンのエアコンも再熱除湿ではないですね。)

ラインナップ完成という感じ。意識してかどうかは知りませんが、結果的にそんな状態です。

 


 

これだけの空調機器ラインナップを持っているメーカーはあまり無いので、ちょっと興味深い状態になっているなと感じました。全館空調システムを持っているメーカーはありますが、どうしても大規模システムになります。換気とエアコンを分割した方がユーザーとしては有り難いと私は思っています。

というわけで、古いネタではありますが、今更取り上げてみました。

 

パナソニックの除湿換気システム「SMART-ECS SARAWEL(スマート イクス サラウェル)」

パナソニックが除湿機能を持つ換気システムを発売しました。

商品名は「SMART-ECS SARAWEL(スマート イクス サラウェル)」です。

これはなかなか良い商品の様に思えます。

 

1.どんなシステム?

プレスリリースは下記。

 

「日本の夏に「高除湿」という新提案」と謳いますが、客観的には新提案でも何でも無く、「今頃やっと?」という感じですね。いえ、皮肉はこのくらいにしましょう。こういう機器が増えてきたのは素直に喜ばしいことです。

プレスリリースにある機器の写真ではエアコンの室外機のように見えますが、エアコン(室温を上げたり下げたりする)ではなく、あくまでも換気設備です。いわゆる24時間換気設備と思って良いでしょう。

つまり、換気を基本的な機能としつつ、夏は除湿をすることで、快適な室内環境を実現する機器です。但し温度を変える機能はもっておらず、エアコンと併用するのが前提。

 

除湿も出来る換気システム、と言う点で、ダイキンのデシカ(家庭用はデシカホームエア)の競合商品と言って良いでしょう。

 

2.仕組み

換気システムなので、基本は換気機能です。そこに除湿機能を組み込んだ形です。

まず全体の流れをざっとまとめると下記。

  1. 室内からの空気(排気)をダクトで機器に集める
  2. 屋外からの空気(給気)と全熱交換する(温度と湿度の両方を交換)
  3. 排気はそのまま屋外へ
  4. 全熱交換した給気を除湿機に通す
  5. 除湿された給気をダクトを通して室内の各部屋に送る

4.の除湿機能があることがスマート イクス サラウェルの最大の特徴と言って良いでしょう。これが無いと単なる全熱交換式の式の第1種換気に過ぎませんので。

除湿の方式はエアコンと同じです。ここがデシカとの違い。正確に言うと、再熱除湿方式のエアコンと同じ事をやっています。全熱交換後の外気を冷やして結露させ、湿度を取り除き、その後、温めて温度を戻してから新鮮空気として吸気ダクトに送ります。

 

リリースではAir Meという空気清浄機も記載されていますが、これは換気とは別に動作する天井埋め込み型の空気清浄機の様です。HEPAフィルター装備。換気とは直接つながっていない機器の様なので、ここではこれ以上触れません。

 

3.特長、性能

本体が屋外設置であることが特長の1つで、これはデシカに対する優位点になると思われます。

デシカホームエアは屋内設置で、半畳のスペースを必要とします。対してスマート イクス サラウェルは屋外設置なので建物を半畳分大きくする必要がありません。

 

肝心の除湿性能は、1時間あたり3.1kgで業界最高とのこと。ちなみにデシカホームエアは2.7kgなので、確かにデシカを上回っています。

除湿性能は外気の条件などで変わってくるので単純に比較できるのか疑問でしたが、両機種とも「室内側27℃DB、19℃WB、室外側33℃DB、28℃WBでの値」とのことで、同じ条件だったので比較可能です。どうやら、JISで条件が決められているようですね。

 

で、「デシカより能力が高いなら素晴らしい」と言いたいところなのですが、単純にそう言って良いのかどうか、ちょっと疑問が。

と言うのも、本当に問うべきは、「1時間あたり何kgの水蒸気を取り除けるか」ではなく、「絶対湿度を何g/kgまで下げられるか」だと思うからです。

上記の「1時間あたり3.1kg」という能力が単純に「実現出来る絶対湿度の低さ」を意味するとは言えない様に思うのです。

絶対湿度についてはリリースでは言及がないので、この点の実力は分かりません。

 

尚、加湿機能は無いので、この点はデシカに劣ります。ただ、加湿はさほど難しくないですし、パナソニックは加湿器を既に開発しているので、それと組み合わせればカバーできるとも言えます。この加湿器についてはまた別途。

 

4.積水ハウスとの共同開発

これがビジネス面で面白いところなのですが、スマート イクス サラウェルは積水ハウスとの共同開発になっています。

共同開発と言っても、機器の肝の機能は全熱交換換気とエアコンみたいなものですから、機器そのものはパナソニックが単独で開発したのだと思います。

パナソニックは元々全熱交換換気システムを商品として持っていますし、エアコンも当然持っています。スマート イクス サラウェルを独力で開発できる能力をパナソニックは持っているはずです。

積水ハウスとの共同開発というのは、積水ハウス側から「このくらいの性能・能力が欲しい」とか、「外形はこのくらいに抑えて欲しい」といった要求仕様を出したのではないかと思います。

「積水ハウスは口出しただけじゃん」と感じますが、どのくらいの仕様・性能であれば使い物になるのか、これを見極めるのもスキルの1つです。開発した後で、「使ってみたら性能が足りませんでした」とか、「僅かに大きすぎてほとんどの新築では使えません」てなことになっては目も当てられないからです。その意味では積水ハウスも重要な役目を担ったと言えるでしょう。

この点はもう少し思うところがあるのですが、ひとまずこの辺にしておきます。

尚、ほぼ同じ内容の発表を積水ハウスもプレスリリースしているのですが、そこにはスマート イクス サラウェルとスマート イクスの2つが並記されています。(名称の末尾に「サラウェル」が付くか付かないかの違い。)

読む限り、除湿機能があるのはサラウェルだけで、スマート イクス(サラウェルが付かない方)は単なる全熱交換換気システムの様です。

 

5.デシカホームエアと比べてどうか

私としては、デシカホームエアと比べてどうかが最大の関心です。デシカよりスマートイクスサラウェルの方が良いのかどうか?

一番の判断ポイントかなと思うのは、「絶対湿度をどこまで下げられるか」だと思っていますが、両機種ともこの点は記載が無いので判断がつきません。

それ以外で言うと、冬の加湿が出来る点でデシカが一歩リードかなと。家の建坪を半畳分小さく出来るのはスマート イクス サラウェルが有利ですが、私の場合はそこまで重要ではないかなと言う感じです。

 


 

と言うわけで、デシカを止めてこちらに、と決断するほどでは今のところありませんが、こういう機器が充実してくること自体は大歓迎です。

少しずつ、良い方向に進んでいることが感じられるニュースでした。

 

家庭用蓄電池に黒船現る-後編-

-前編から続く-

 

REPOストレージのシステムに付いている重要な制約とは何か?

それは系統連携できないということです。つまりオフグリッドシステムです。(後述の通り、売電はできないものの買電は出来るので、厳密なオフグリッドではありません。)

ニチコンのウェブ・サイトを見ると分かり易いですが、太陽光発電パネルを装備した住宅では、

  • 太陽光発電(発電したりしなかったり)
  • 蓄電池(電力を貯めたり取り出したり)
  • 家庭内の電気機器(電力の消費)
  • EV(基本的には充電、緊急時には電力を取り出す)
  • 系統電力(足りないときに買電、余ったときは売電)

という感じで、様々なものを「いい感じに」連係動作させるのが普通です。(蓄電池やEVは無い場合もありますが。)

しかし系統連携できないとなると、大容量の蓄電池を備え、発電した電気を全て溜めて自家消費するしか無いことになります。だからREPOストレージのシステムでは大量の蓄電池を装備するのが前提になっているわけですね。

以前、セキスイハイムのスマートパワーステーション100%エディションについて考察したときに、蓄電池だけで過ごそうとすると、40kWhくらい必要という試算結果でした。家庭用蓄電池として市販されているものは、大きいものでも10~12kWh程度ですから、とてつもない容量です。

対して、REPOストレージのシステムは基本が30kWh。これも一般的とは言い難い大容量ではありますが、それでもちょっと足りない気もします。系統連携できないこのシステムで雨天が続いたりしたら停電するしかないのかというと、そうはなりません。と言うのも、このシステム、バッテリーの残量が無くなったら系統から買電する様になっているからです。

系統連携していない(できない)のに買電できるのはちょっと良く分かりませんが、恐らく同時には使用できず(連携していないので)、どちらか一方のみを使う仕様なのでしょう。バッテリーから放電しているときは系統から買電できず、逆に系統から買電しているときはバッテリーを家庭内の電気系統から切り離すと。これなら連携せずに『足りないときだけ買電」が実現出来ます。

とは言え、切り替え時に瞬間的に停電しないのか? など、ちょっと良く分からないところはあります。瞬時停電するのだとするとちょっと不便ですからね。

この方式だと、売電はできません。売電は「切り替え」では実現出来ず、原理的に系統連携が不可欠ですので。

 

と言うわけで、REPOストレージのシステムは非常識なほどの大容量蓄電池を装備することで、基本的には完全自家消費を目指しつつ、どうしても不足するときだけ系統から電力を購入するというシステムになっているわけです。完全自給自足方式の弱点を補う、上手い方法だと思います。

 

で、ここからが本題。

  • REPOストレージのシステムは何故系統連携していないのか?
  • REPOストレージのシステムは何故それほど安価なのか(他の半額近い)?

この2つの疑問への答が、「国内仕様であるJIS規格には準拠せず、国際規格であるIECに準拠したシステムを使用しているから」なのです。簡単に言うと、国内専用のガラパゴス規格に準拠させると高くなるから、国際標準の安いシステムにしました、と言うことです。

日本の国内規格に準拠していないなんて安全性は大丈夫なのか? と心配になりますが、実はそこは問題にはなりません。IEC規格だってちゃんとした規格ですので。(勿論、規格がどうこうとは別に、そのシステムを作ったメーカーの技術力が低いから安全ではない、ということは有り得るでしょうけど。)

では、JIS規格じゃないと何が困るのかというと、補助金が出ないのです。これも聞けばちょっと妙な話で、日本でもメガソーラーなどの産業用のシステムではIEC規格品でも補助金の対象になるのだそう。JIS規格品でないと補助金が出ないのは家庭用蓄電池だけなのだそうです。変なの。

REPOストレージは、「だったら補助金無しでも元が取れるくらい安くすればいいんだろ」とばかりに、

  • 海外市場の低コスト競争で鍛えられたIEC規格品を使う。
  • 系統連携しないことで、システムから系統連携用の機能を削除してコストダウン。

という工夫をすることで、既存品の半額近い低価格を実現したとのことです。確かに、補助金もらうより実質は安いのでは?

 

ただ、以前も書きましたが、オフグリッドを基本にしたシステムの場合、太陽光発電パネルと蓄電池の容量は、電気使用量が多く発電量の少ない冬を基準に決めることになります。夏は電気使用量も多いのでそこそこ使い切れるでしょうが、春秋は電気がかなり余ります。普通は、それを捨てるのは勿体ないと考え、折角発電した電力を売電して有効活用します。だから系統連携するのです。

 

しかし、REPOストレージは自給自足でも元が取れる蓄電システムを実現してしまいました。しかも補助金無しで。記事で挙げられているご家庭では7年程度で元が取れる見込みだそうです。

素晴らしいとしか言いようがないのですが、となると、今後は「系統連携なんかしなくてもいいじゃん。むしろその方がいいじゃん」ということになりかねません。

 

電気は大量・長期に貯めるのが難しいので、春夏に電気が余っても、蓄電して夏冬まで持ち越すことは非現実的です。だからこそ、余った電気で水素を作ったりして、電気とは違う形のエネルギーに変換して季節を越そうという取り組みが研究されています。(まだまだコスト的に現実的でなく、もっと技術開発が必要ですが。)

しかしそういった取り組みも、個々の家庭などで発電した電力を、系統連携を通じて集めることが出来ればこそ可能な話です。REPOストレージの様な系統連携を諦めたシステムが多く普及してしまうと、春秋の余剰電力は捨てるしかなくなります。そして、そういう残念な状況の原因になっている(なりかねない)のが、現在の補助金制度だというわけです。何という矛盾。

 

これこそが、私がREPOストレージのシステムを黒船だと感じた理由です。

 

補助金無しで元が取れるという素晴らしいシステムなので普及して欲しいですが、これが普及すればするほど国全体の電力システムは逆に脆弱になってしまう可能性があります。(必ずそうなるとは言えませんが。)

個人の損得と、国全体の利害が対立する構図です。困りましたね。

 

私個人はと言うと、大いに興味をそそられました。何しろ、太陽光発電パネル7kWと蓄電池20kWhで200万円ちょっとですから。

一方で、系統連携しておくべきだよなという気持ちも持っています。

家を建てる話もそろそろ本格始動させられそうなので、じっくり考えたいと思います。

家庭用蓄電池に黒船現る-前編-

家庭用蓄電池に「黒船来襲」と言っても良い大きな変化が始まったようです。

そんなサービスを始めたのは、REPOストレージという企業。

「月の電気代1000円以下も」と刺激的なタイトルですが、これは使う電力のほとんどを自家発電で賄うことを指しています。

最近ではZEHなど、使うのと同じかそれ以上の電気を発電すること自体は珍しくありません。しかしそれは、発電しすぎた電気を電力会社に買い取ってもらったり、逆に不足時は電力を買うことで成り立っています。電力会社を蓄電池代わりにすることで成り立っているのがZEHと言えます。

昨今では、蓄電池を備えることで本当の電力の自給自足を目指すのが世の流れで、記事のシステムもこの方向です。コストを別にすれば、技術的には難しくありません。

では何が「黒船来襲」なのかというと、これ、補助金に頼らずに「元が取れる創蓄電システム」を実現しているのです。つまり、技術的には可能でもコスト的には困難だったハズの方法を、コスト的に成り立たせているのです。

 

以前書いたセキスイハイムの電力自給自足の家では、13.37kWの大容量の太陽光発電パネルと、12kWhの大容量蓄電池、更にV2Hで日産リーフの30kWhの蓄電池までアテにするシステムでした。これ程の大容量電池を前提にしなければ、本当の自給自足には届かないのです。

ではREPOストレージのシステムではどうかというと、少ないケースで16kWh、多いケースでは30kWhもの蓄電池を導入するそうです。同社のInstagramにはいくつか導入事例が掲載されており、

名古屋市の集合住宅(4戸):パネル20kW、蓄電池64kWh(1戸あたり5kW+16kWh)

千葉県富里市の戸建て1  :パネル9kW、蓄電池30kW

千葉県富里市の戸建て2  :パネル12kW、蓄電池30kW

千葉県佐倉市の戸建て :パネル12kW、蓄電池30kW

三重県多気郡の寺院  :パネル24kW、蓄電池30kW

という感じで、そのほとんどで30kWhもの蓄電池を導入しています。

いえ、完全に自給自足に近づけようとするとそれくらい必要なのは理解できます。やはり課題はその費用です。今の家庭用蓄電池の価格は、(ネット情報レベルですが)30kWhなら500万円というところではないでしょうか(15kWh×2個)。太陽光の価格も含めると700万円を超えてくるのではないでしょうか。

 

冒頭の記事で紹介されている事例は少し小規模ですが、それでもパネル7kWと蓄電池20kWhです。相場的には450万円と言うところでしょうか。しかし費用に関する取材記者とのやりとりは下記です。

「ここは東京都のような補助金も出ないですよね? これだけの太陽光パネルと蓄電池だと、少なくとも400万円以上はしたのでは?」

「うちは新築後しばらくしてから後付けしましたが、工事費も全て合わせてその半額ぐらいでした。初期費用が少ないので、7年前後で投資回収できる予定です」

つまり、200万円ちょっとくらいで設置できたとのこと。驚きの低価格です。

世間的には、「蓄電池は元を取るものではなく、災害時などの安心感を目的に導入するものである」というのが相場ですが、圧倒的な低価格で「元が取れる蓄電池」を実現しているのです。

 

ここまでの話だけなら「素晴らしい」で終わりなのですが、REPOストレージのシステムには1つだけ重要な制約が付いています。それこそが私が「これは黒船だ」と感じたポイントなのですが、長くなったので次回に。

 

-後編に続く-

 

地中熱エアコンってどうよ

地中熱エアコンなるものの開発記事を目にしました。

 

地中熱をヒートポンプで利用する方式については以前も書きましたが、エアコンを高効率にするための技術です。高効率に出来る要因は、大地という圧倒的に熱容量が大きく、かつ年間を通じて温度があまり変わらないのものを熱のダムとして利用することにあります。

その条件を満たすために地下100mもの深い穴掘りが必要で、その穴掘り費用が高すぎてとても元が取れないのが現状でした。(例外は北海道みたいな空調費用がめっちゃ高い地域くらい。)

 

一般的な地中熱エアコンの構成

なので、穴掘りコストをどうやって下げるかが課題なのですが、今回の記事の方式では僅か2mという浅い穴で済ませられるようです。ホンマかいな?

この技術の肝は、大地を熱のダムにするのではなく、地中に埋めた水のタンクを熱のダムにすることです。1m四方、深さ2mの穴を掘って水のタンクを埋め、そこを熱のダムにすると。

 

今回の記事の地中熱エアコン

真っ先に気になるのは、「タンクが熱のダムとしては小さすぎるのでは?」という点です。熱を捨て続けてタンクの水温が上がれば、エアコンの効率は下がり、地中熱方式の意味が無くなります。

この点に対してどうしているのか、記事では明確な説明はありませんが、そのヒントになる以下の記述がありました。

室外機に四方弁などを追加して冷媒の流路を切り替え、地中に設置した水入りタンク内の銅管に冷媒を通して室外機に戻す

 

どうやら、常に地中熱エアコンとして動作するのではなく、普通のエアコンモード(地中熱を使わない)と地中熱モードを切り替えられる様にしてあるようです。

普段は普通のエアコンとして動作し、エアコンの効率が落ちる夏の昼間の冷房や、冬の夜間の暖房でのみ地中熱モードを使うことで、熱のダムとのやりとりを減らし、小さな熱のダムでも足りる様にしたというのがこの方式の肝なのでしょう。

確かに、「夏の間中熱を捨て続ける」だと捨てる熱が多すぎてタンクの温度が上がりすぎてしまいそうですが、「地中熱モードを使うのは夏中ずっとではなくピーク期間のみで、しかもその昼間のみ」なら足りる様な気がします。

逆に言うと、北海道の冬期の暖房にはこの方式では性能が不足すると思われます。まあ、北海道なら従来方式で100mの穴を掘っても元が取れる可能性は高いので、この方式で対応できなくても構わないと割り切ったのかも知れません。

 

ZEH補助金の対象に出来れば施主の実質負担はゼロに出来る、とあるので、費用は90万円くらいなのでしょう。(SIIのZEH補助金の「地中熱利用」は90万円。)

補助金無しでも自立できる様になるかどうか(そこまでコスト低減が進むかどうか)、ちょっと楽しみな技術ですね。