2011-01-01から1年間の記事一覧
今回読んだのは「大工が教えるほんとうの家づくり」という本です。著者は大工の阿保昭則さん。文藝春秋。¥1,600。 タイトルから、私には合わないような気もしたのですが、Amazonの書評が随分絶賛だらけだったし、何より自分の価値観とは違うものをたまには…
先日、ダイキンのDESICAという除加湿換気設備についてちょっとだけ触れましたが、これの動作原理がイマイチ分かりにくいので、自分の頭を整理する意味で、どういう仕組みで除湿・加湿を実現しているのかをまとめてみます。 1.デシカント方式で空気中の湿度…
室内の快適性には湿度が重要と書きましたが、では湿度を快適な値に制御するにはどうすればよいのでしょうか? 私は、「除湿はエアコンでやればいい、加湿は安価な加湿器が売られているので、それでやればいい」と簡単に考えていました。実際、それでも最低限…
-中編から続く- 7.音がしないのは大きなメリット 人によって価値観が大きく変わるところですが、私は空調の音が大嫌いです。一条工務店の床暖房は、空調音がしない点でも好感を持っています。とは言え、冷房は普通のエアコン頼みなので、静かなのは暖房…
-前編から続く- 床冷房が空調の方法として成立するかどうか、成立するとして快適かどうかについて考察を続けます。 4.空調として成立するか? 冷たい空気は下に溜まるので、床冷房は冷房として成り立たないのではないか? という突っ込みは正しいかを考…
一条工務店が「床冷房」なるシステムを開発中だとの噂を、ネット上の情報で何度か目にしました。当初は「床暖房ならともかく、床冷房?がせネタじゃないの?」などと思っていましたが、どうやら開発していることは事実で、いくつかの展示場には開発中のシス…
-前編から続く- 2.輻射熱の効果 湿度に並んで大きな影響があるのではないかと想像されるのが、輻射熱の影響です。 輻射熱とは何の話かというと、全ての物質から放射されている赤外線のことです。サーモグラフという装置をご存じの方は多いでしょう。特殊…
夏のこの時期には、「冷房効き過ぎで寒いんだけど、何だか暑い」という不思議な不快感を体験することがあります。逆に冬は、「暖房効き過ぎで暑いくらいなのに、寒々しい感じが抜けない」という逆方向の不快感を感じることも。 そんな、「何だか得体の知れな…
-中編から続く- 7.現存する各種システム 地中熱を利用するシステムは種類が非常に少なく、現実にはほとんど選択の余地がありません。 私が見つけられた範囲で、現存する各種システムの特徴をまとめてみます。(1)ジオパワーシステム 説明図はこちら。 …
-前編から続く- 4.ジオパワーの懸念点 パッシブ方式中でも、ジオパワーについてはもう一つ懸念があります。これは心配しているだけで、実際に問題があるのかどうか、ちゃんと確認していないので分からないという意味です。自宅への採用を本気で考える様…
先日、某TV番組でジオパワーシステムというメーカの特集をやっていました。いわゆる「地中熱」を利用するシステムを開発しているメーカです。 地中熱自体には以前から興味があったのですが、今一つ自分の中で咀嚼できていなかったこと、また、価格面で一般住…
ネットサーフィンしていて、また1つ勉強になるサイトを見つけました。 高気密健康住宅研究所(2020/04/19注:鵜野さんがお亡くなりになったためと思いますが、ウェブ・サイトは閉鎖されました)と言います。名前はちょっと胡散臭い感じですが、書いてある内…
我々は物事をイメージや雰囲気で判断することがしばしばあります。 このブログでは、数字で扱えることはなるべく数字で判断するように心がけていますが、いつもいつも小難しい計算をするのは面倒なこともあります。そんなに暇じゃありませんし。 そんなとき…
以前、「FASの家では、換気回数を大幅に減らしても問題ないという特別な認定を受けることを計画しているようだ」と書きましたが、どうもそれが日の目を見たようです。 FAS本部である福地建装の社長さんのブログ(2011年6月30日)によると、次世代型FASの家に…
-前編から続く- 6.で、結局どうよ 新住協の特徴をざっと見てきましたが、結局のところ、私自身はどうするつもりかというと、候補には入れません。 その理由は下記。 (1)グラスウールアレルギー 別にじんましんが出るわけではありませんが、既にあちこ…
モデルハウスを見学したわけではありませんが、面白い取り組みを見つけました。「新木造住宅技術研究協議会」と言います(略称「新住協」)。 これはその名の通り、ハウスメーカではなくNPOです。ウェブサイトには、「高断熱高気密を全ての住宅に必要な基本…
転勤の可能性が出たために、一時的に建築計画の凍結を余儀なくされていましたが、転勤話がどうやら決着しそうなので、ぼちぼち建築計画を再開できそうです。 転勤自体はほぼ確定。転勤先も確定。時期もほぼ確定。 となれば、先ずは土地探しからですね。 ただ…
-後編から続く- 8.工業製品の努力-再現性の追求- 工学は自然科学を土台として成り立っているので、自然科学と同じく「再現性」を重要視しています。どのくらい重視しているかというと、これが無ければ自然科学ではない、これがなければ工学ではない、…
-中編から続く- 5.法隆寺に住む訳じゃない ネット上では時々こんな意見を目にします。 法隆寺は1,300年もの間長持ちしている木造建築だ。 木という素材にはそれだけの潜在能力がある。 その潜在能力を引き出すことが出来る優れた職人さんの存在も必要だ…
-前編から続く- 3.工学という学問が目指すもの 工学は自然科学を対象として扱う学問ですが、その目的は「人を幸せにすること」にあります。自然科学はあくまでも手段に過ぎないという位置づけです。 そして、ここがポイントなのですが、「なるべく多くの…
ネットでいろいろと情報を探していると、「住宅は工業製品ではありません」という表記を見かけることがあります。 住宅は工業製品なのか? そうではないのか? 今回はそんな話。 1.非工業製品派と工業製品派の共存 住宅業界では両方の派閥(?)を見かけま…
大手住宅メーカと小規模工務店のコスト構造の違いに、間接部門の人員があります。 前回、積水ハウスの間接部門の人員は3割くらい、などという仮定の下で宣伝・広告費を試算しましたが、この間接部門の人件費も「大手は無駄に値段が高い」と主張されるときの…
住宅業界は、「宣伝・広告は悪」と考える人が作り手側、買い手側の双方に少なからず居ると言う意味で、かなり特異な業界です。私はYahoo!知恵袋をよく見るので、観察対象に偏りがある(Yahoo!知恵袋には工務店至上主義者が多い)のは確かですが、それを割り…
ちょっと重箱の隅を突くような話。 昨今は、洗濯に風呂の残り湯を使っている人が多いと思います。洗濯機にも風呂水汲み上げ用のポンプが付いているのが当たり前になりました。我が家の洗濯機にもご多分に漏れずポンプが付いており、ほぼ毎日風呂の残り湯を洗…
-前編から続く- 3.オール電化のアキレス腱を強化する エネルギー源を一本化するのが妥当とは言っても、それが「切れ易いアキレス腱」ではちっともトラブルに強いとは言えません。幸い、電気は災害時の復旧が比較的早いので、「どちらかと言えば切れ難い…
既にあちこちで書いている人も居るので、今更という気もしましたが、随分偏った意見が多い気もしますし、自分の考えを整理する意味でも書いてみるのは悪くないかなと思います。今回のテーマは、今後、オール電化はどうなるの?です。 1.結論 今回は結論か…
-其の参から続く- 8.静寂な空間の快適さ 其の弐で重要なことを書き忘れました。室内の静寂さです。 高断熱・高気密住宅のご多分に漏れず、FASの家も屋外の音が進入し難いことを謳っていますが、ここで言うのはそのことではありません。そもそもこのゲス…
-其の弐から続く- 7.仕様についてあれこれ質問 到着時及び翌朝に、福地建装の方に色々質問した内容を順不同で書き連ねていきます。 ゲストハウスに限った項目もありますが、基本的にはFASの家全般についての内容になっています。 (1)基礎が断熱ライン…
-其の壱から続く- 4.空気が乾燥している FASの家は床下に撒いたスカットール(シリカゲルの一種)による調湿能力が売りの1つです。室温の面で快適なだけであれば、一条工務店など、他にも優れていそうなものはあります。しかし、調湿能力まで兼ね備えた…
FASの家に体験宿泊してきました。今回はその感想です。 1.所在地は北海道 FASの家の開発元である福地建装は、北海道の北斗市にあります。(北斗市は北海道の最南端、函館市の西隣です。) でもって、体験宿泊ができるゲストハウス「げっかそう」(2020/04/…