自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

住宅は「工業製品」であるべき-前編-

ネットでいろいろと情報を探していると、「住宅は工業製品ではありません」という表記を見かけることがあります。
住宅は工業製品なのか? そうではないのか? 今回はそんな話。

1.非工業製品派と工業製品派の共存

住宅業界では両方の派閥(?)を見かけます。
「住宅は工業製品ではない」と主張するのは、工務店に多いです。時折、その様なことを書いてある工務店のウェブ・サイトを見かけます。そう言えば、一条工務店の営業さんも、「集成材を使うのは工業製品ですから」てなことを言ってました。つまり、「うちが作る家は工業製品ではないよ」と言いたいのでしょう。
一方、「住宅は工業製品だ」と主張する代表格は、大手ハウスメーカでしょう。積水ハウスなどは、カタログに「工業化住宅」の言葉を明記しています。

どちらが正しいのかというと、どちらも正しくて、「住宅は工業製品ではない」と主張するメーカや工務店が作る住宅は工業製品とは言えないでしょうし、逆に、「住宅は工業製品だ」と主張するメーカが作る住宅は工業製品でしょう。(これは単に「本人がそう主張してるから」という意味ではありません。)

ちなみに私はと言うと、タイトルにも書いた通り、「住宅は工業製品であるべきだ」と考えています。

2.そもそも「工業製品」とは何か?

住宅が工業製品かどうかを論ずる際に、1つ気を付けておかねばならないことがあります。それは、特に「住宅は工業製品ではない」と主張する人によく見られる傾向なのですが、そもそも「工業製品とは何か?」が分かっていない人がかなり居るということです。
どういうモノのことを工業製品と呼ぶのかが分かっていない人に工業製品を作れるわけがありません。その意味で、「私達が作っているのは工業製品ではありません」と主張する住宅メーカ・工務店の主張は、ほとんどの場合正しいです。結果的に、ですが。

ではどういうモノのことを工業製品と呼ぶのでしょうか?
定義の仕方はいくつもあると思いますが、「工学という学問を拠り所にした産業(つまり工業)によって生み出された製品」というのが分かり易いでしょう。

となると次に来るのが、「工学って一体どういう学問なの?」という疑問です。これにも定義の方法はいろいろありますが、「自然科学を利用して、より多くの人に、より多くの豊かさや便利さを届けることを目的とする学問」という定義が分かり易いのではないかと思います。

「科学技術」などと一緒くたにされることが多いですが、実は「科学」と「技術(≒工学)」は異なるものです。科学とは自然を探求すること、自然の摂理を解き明かすこと、それ自体を目的にしています。一方の技術(工学)とは、自然の摂理を利用して如何に人間を幸せにするかを目的にしています。
まあ、両者の境界にはどっちであるかを明確に言い難いものもありますから、この区分けも絶対的ではないのですが、根本的な存在目的が異なっていることは知っておいて損はありません。

で、結局工業製品は何なのかって?
工業製品の特徴を知る為に、先ずは工学の特徴を理解してみましょう。それがそのまま工業製品の特徴でもあります。

-中編に続く-