エネファーム再考
以前、エネファームについて書いてから5年。その後、コメント欄に反論を頂いてから4年。
時間が経ち、技術開発も進み、今時点での自分の考えを再度まとめてみます。
1.エネファームは、「捨てているエネルギーで発電する機械」ではない
以前の記事にTakekeさんからコメントを頂いたときに気にはなっていたのですが、その時はスルーしてしまいました。もしかしたら技術に詳しくない一般の方の中には、かなり根本的な勘違いをされている方がいらっしゃるのかも知れません。
その勘違いとは、エネファームは湯沸かしの際に捨ててしまうエネルギーで発電する機械であるというものです。これは全くの間違いです。今、Takekeさんのコメントを再度読み返すと、Takekeさんもこの間違いをなさっていたのではないかと思われ、その当時これを指摘しなかったことが悔やまれます。
一般的なガス給湯器は熱効率が80%くらいです。つまり、ガスを燃やしたエネルギーの80%が湯沸かしに使われます。残りの20%のエネルギーは捨てられています。
この捨てられる20%のエネルギーで発電しているならば、上記の解釈で正しいわけですが、実際には状況は大きく異なります。
これを見て分かる通り、エネファームは捨ててしまうエネルギーで発電しているわけではありません。湯沸かしに使うはずだったエネルギーの一部を発電に転用しているのです。従って、通常のガス給湯器に比べて、エネファームで同じ量のガスを燃やしたときに出来るお湯の量は少なくなります。少なくなった分、電気が出来ているわけです。
ちなみに技術的な視点で言うと、エネファームは発電する際の廃熱でお湯を沸かす機械です。つまり、発電が主で、そのついでに湯沸かしです。ユーザからどう見えているかは別にして、この機械の本来の設計意図としてはそうなっています。
エネファームが湯沸かしのエネルギーの一部を発電に使っているとしても、トータルの効率が湯沸かし器より改善していれば、資源の有効利用と言えますので意味があることだと言えます。しかし、問題はその総合効率です。
しかし、皆さんご存じの通り、今や世の中は給湯器と言えばエコジョーズです。潜熱回収型と言われるこの給湯器の熱効率は、実に95%に達します。エネファームはPEFC型であれSOFC型であれ、このエコジョーズには全く敵いません。
発電所で天然ガスを燃やして発電する際は、廃熱は全く利用していないので、それに比べれば効率は良いと言えるのですが、一般家庭のエネルギー消費全体で見たときにどうなのか、疑問は残ります。少なくとも、高価な設備に見合うほどのメリットがあるとはとても思えません。