自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

エネファームは未だ早い

太陽光発電と並ぶ「自宅発電」として少しずつ注目を集めているのがエネファームです。実は私は(現状の)エネファームには否定的な意見を持っているのですが、今日はそれを書きます。

現状のエネファームの課題(=私が否定的意見を持っている理由)は下記です。

(1)効率が低すぎる
今のエネファーム発電効率が40%くらいしかありません。ちなみに、最新の火力発電であるコンバインドサイクルでは、60%くらいの効率があります。どうせこれから新しい設備を作るなら、コンバインドサイクルの火力発電所を作った方がエネルギーの有効利用が出来ます。勿論、個人の自宅に設置する設備と、電力会社が大規模投資する設備とを同列に論ずるのは無理がありますが、積極推進する理由に乏しいことは実感できるでしょう。

そうそう。どうやら一部のテレビ番組の影響らしいのですが、「発電所で作った電気は、家庭に届くまでに40%くらいに減ってしまう。送電のロスが極めて大きい」と思っている人が世の中には居るようです。そう言う人は「自宅で発電するエネファームは送電ロスが無いから効率が良いのだ」とも主張します。これは、重大な勘違いです。
火力発電所で燃やす石油のエネルギーに対して、家庭で使える電気のエネルギーは、確かに40%少々しかありません。それは事実です。しかし、60%近い損失は「送電」で発生しているわけではなく、そのほとんどが「発電」で発生しています。前述の通り、最新の火力発電所では60%くらいの発電効率ですが、日本全体で見れば旧式の設備もあるので、平均的には50%弱です。そこから変電、送電のロスが出て、最終的にはトータル40%少々の効率になります。送電のロスは5%もありません。
というわけで、「エネファームは送電しないから効率が良い」は真っ赤な嘘です。正しくは、「エネファームは廃熱でお湯を沸かせるので、それを有効利用すれば、実質的にエネルギーの利用効率が高くなる」です。

(2)お湯が出来すぎる
効率が低いことの裏返しですが、一般家庭で電気を必要なだけ発電させるとお湯が余ります。エネファームのカタログには「総合効率80%」などとありますが、これは副産物であるお湯を全部使い切った場合の話です。
お湯が余ると結果として効率が落ちることになるので、エネファームでは「十分な量のお湯が沸くまで発電したら、それ以上の発電を停止する」という制御を行っています。つまり、あくまでも「お湯が主、電気は副」なのです。
ある人は「湯沸かし器がついでに発電している」と表現しましたが、実に的を射ています。
結局、高価な発電装置が自宅にあるにもかかわらず、発電しているのは1日のうちの一部だけという、なんとも中途半端な装置なのです。コストパフォーマンスが悪いと言わざるを得ません。

(3)発電分を売電できない
これはエネファーム自体の課題と言うよりは、国のエネルギー政策の問題です。太陽光発電と違って、エネファームで発電した電力は売電できません。
この為、発電したのに自宅内に電力需要が無い場合は、発電した電力を使ってお湯を沸かします。しかも、単なる電熱ヒーターで。発電しながらお湯を沸かして、出来た電力でお湯を沸かす‥‥って、ホントに湯沸かし器そのものです。
基本的には宅内の電力需要に応じて発電動作をしていますが、一方で「お湯を沸かさねばならない」という使命もあるので、昼間の不在時などにはそういう状況が出現する可能性もあります。

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全ての課題は、(1)の効率の低さに帰結します。これが解決されないとどうにもなりません。
発電効率がコンバインドサイクル並の60%くらいになれば、「お湯が沸く分、丸儲け」となるでしょうから、導入意義も出てきます。しかし、今のエネファームPEFC型といって、そこまで効率を上げられる方式ではありません。どう見ても過渡的な存在でしょう。
SOFC型なら60%も夢ではなく、本命と言っていいと思いますが、これはPEFC型以上にコストのハードルが高く、しかも寿命の問題も立ちはだかっていて、商品デビューはいつになるか見えていません。

結局、現状のエネファーム太陽光発電よりも、ずっとずっと完成度の低い代物です。
否定的な結論にならざるを得ません。