自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

潜熱蓄熱材の使用事例

以前、建物の熱容量を大きくするために、潜熱蓄熱材を活用できないかという話を書きましたが、その実例を見つけました。FAS(ファース)の家です。
これは潜熱蓄熱材以外も含めて非常によく考えられた家と感じましたが、ここでは潜熱蓄熱材の活用に絞って見ていきます。

以前書いたときには、「潜熱蓄熱材は高性能だけど、どう使いこなすかが難しい」という結論にしましたが、FASの家ではその困難をあっさりクリアしています。その方法とは、床下に置いてあるだけ。なるほど、そう来ましたか。

私も蓄熱レンガの項では床下に設置するという案を書いていますが、そこからの輻射熱が得られ難いのであまり良い方法とは言えないと自己判定していました。潜熱蓄熱材だとしても、勿論同じ話になります。
それに対しFASの家では、蓄熱材からの直接の輻射を諦めることで折り合いを付けたようです。その上で、床下(基礎断熱なので、断熱ラインの内側になる)に室内の空気を循環させ、空調の熱源として蓄熱材を活用しています。確かにこういう割り切りをすれば、割と簡単に活用できますね。勉強になります。
ちなみにFASの家で使われているのは住化プラステックというメーカの潜熱蓄熱材(商品名:スミターマル)ですが、その作動温度は19℃なので、冬の暖房を意図したものだと分かります。

やや心配なのが、冬場の太陽熱を効率良く蓄えられるのかと言う点です。
冬の太陽熱はほとんどが直射日光としてやってきます。それは窓から入って、床を暖める→部屋の空気を暖める→循環した室内空気が床下に行って潜熱蓄熱材を暖める、という流れになります。これだと経路が長すぎて、十分に蓄熱材の効果を発揮できないのではないかと心配されます。つまり、ちょっと室温が上がりすぎないかと。理想を言えば、太陽光を直接受ける床材に直接触れるように潜熱蓄熱材を配置することです。
とは言え、快適に住まわれているようですから、考え過ぎなのかも知れません。
それと、潜熱蓄熱材の量がもうちょっと必要ではないかという気もします。まあ、欲を言えば際限なくコストがかかりますし、これも実績としては十分なのかも知れません。それにこの置き方なら、足りなければあとから増やすのも簡単ですしね。

この事例からもう一つ分かったのが、潜熱蓄熱材は住宅に使える程度の価格であるということです。FASの家での採用方法だと施工費がほとんどタダというのがあるにせよ、材料代も普通に使えるレベルということです。床に敷き込むような施工をする場合は、施工費もかかるので、ちょっと違ってくるでしょうが。

ともかく、やり方次第では潜熱蓄熱材を住宅に使うことは十分可能と分かりました。単に素人の思いつきには留まらない様です。
改めてどう使うかを考えていくとしましょう。