自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

FASの家の蓄熱性能

FASの家の特徴の1つは、潜熱蓄熱材を使って建物の熱容量を大きくし、パッシブハウスに近づけることにあります。
とは言いながら、ウェブ・サイトには具体的な熱容量の値が書かれていないので、どの程度良いものなのかが分かりません(住宅業界はこういうのがホントに多い)。「分からないことは訊く」ということで、FAS本部にメールで訊いてみました。

質問 : FASの家で使っている潜熱蓄熱材の量は、例えば延床面積40坪の住宅で、何[kWh/K]か?
回答 : 1.5 [kWh/K]

 必要な熱容量を試算した結果では、40坪の住宅で31[kWh/K]が必要という結論でした。そのたった1/20しかありません。勿論、住宅の熱容量は潜熱蓄熱材によるものだけではなく、躯体や内装材などによる熱容量との足し算です。とは言え、日本外断熱総合研究所(2020/04/19注:サイト主が転職したのか、ウェブサイトが全く別の個人ブログの様な内容に変わっています)によれば木造住宅の熱容量は40坪で5.5[kWh/K]しかありません

  • 31[kWh/K]必要である。
  • 建物自体では5.5[kWh/K]しかない。
  • それを補う潜熱蓄熱材は1.5[kWh/K]しかない。足しても7[kWh/K]。

どう考えても足りません。私は日本外断熱総合研究所による木造住宅の熱容量の見積もりは小さすぎるのではないかと思っていますが、仮にそうだとしても全然足りないという結論は動きません。
そもそも熱容量なんて2~3割違ったところで劇的に変わるもんじゃないですから、元々5.5のところに1.5を足したくらいでは屁の突っ張りにもなりません。せめて「元の2倍になりました」くらいは言ってもらわないと。実際はそこまでやっても、まだまだ足りませんがな。

この点をFAS本部に突っ込んでみましたが、「建物の熱容量との合計でソーラーハウス認定に必要な熱容量にしているので、潜熱蓄熱材だけを見ると少なく見えるかも知れない」という回答でした。
そうでした。FASの家はソーラー住宅システム認定を取得してるんでした。しかし、この程度の熱容量で認定されるって、基準が甘すぎません? これでOKなら、潜熱蓄熱材なんか無くてもOKじゃないの? 認定元の(財)建築環境省エネルギー機構さん、どうよ?

FAS本部自体の思惑も、どうも、認定を取るだけの為に潜熱蓄熱材を使っている様に感じられます。あそこまできちんと論理立てて全体のシステムを組める人が、必要な熱容量の計算くらい出来ないわけがない。つまり、分かっていてあえてその程度の熱容量でいいことにしているのでしょう。それは理想通りにやるとコスト的に見合わなくなるからなのかも知れないし、何か他の理由があるのかも知れません。割り切りが良すぎる気はしますが。

理由はさて置き、現実に作られているFASの家は、大変残念ながら熱容量に関しては看板倒れと判断せざるを得ません。

ただし、あの仕掛けであれば、(コストは別にして)潜熱蓄熱材の量は簡単に増やせます。床下に転がしておけば良いだけです。
標準のFASの家は熱容量が全然足りないとしても、それを増やせる余地が大きいに有ると言う意味では、依然として良いポテンシャルを持っていると言って良いでしょう。少なくとも標準仕様の10倍(理想的には17倍)の潜熱蓄熱材(床下に入りきるかな?)を使えば、十分な熱容量になります。

もしも私がFASの家を選ぶことになったら、そうやってパッシブハウスを建てましょうかね。