自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

FASの家の熱容量はやはり不十分らしい

以前、FASの家の熱容量(蓄熱性能)は看板倒れと書きましたが、それを裏付ける状況証拠を1つ見つけました。あくまでも状況証拠であって、明確に立証するものではないですが。
そのネタは皮肉にもFAS本部の公式ウェブ・サイト上にありました。本部である福地建装の社員の方が日替わりで書かれている一言コメント(2020/04/19注:リンク切れ)の1/8付には、こんな記述があります。

私の自宅は、太陽光を多く取り込める間取りとなっているため・・・日中、天気の良い日には室内が30度を越し、北海道なのに窓を開けて冷気を取り込むという、なんとも不思議な生活をする日も稀にあります。
太陽光だけで室内温度を賄えると、省エネ住宅だなと痛感しますが、
この事実を知らない近所の人は、「あの家、何で窓開けてるんだ」と思うでしょうね。


福地建装は北海道北斗市にありますので、この社員の方も北斗市又はその周辺にお住まいと思われます。(ちなみに、北斗市函館市の隣です。) 北海道の中では最も暖かい地域だとは言え、そもそも北海道ですから十分すぎるほど寒いのは間違いありません。そんな土地においてさえも、真冬に機械暖房をせずに窓から入ってくる太陽の光だけで十分暖かいのは素晴らしいことです。この点は文句なく賞賛に値します。

その素晴らしさを十分に認めた上で、あえて今回難癖を付けるのが以下の記述です。この記述が熱容量の不足を端的に物語っているのです。

(前略)天気の良い日には室内が30度を越し、北海道なのに窓を開けて冷気を取り込む(後略)


大きな熱容量の必要性については以前も書きましたが、簡単に言うと昼間に太陽光の熱を十分に取り込んで蓄え、夜間にそれを少しずつ放出することで可能な限り暖房費を節約できるようにすることが直接的な目的の1つです。
昼間だけであれば、十分な断熱性があり、か
つ南側に面した窓を十分に広く取れば無暖房にすることは可能です。

しかし、夜間はそうはいきません。建物が蓄えた熱を徐々に放出していき、室温はだんだん下がっていきます。多少室温が下がったとしても寒くない程度で済むためには、昼間のうちにたっぷりと熱を蓄えておかねばなりません。
ところが、熱容量が小さい建物にたっぷりの熱を蓄えようとすると、温度が上がりすぎてしまいます。これでは昼間暑くてたまらず、窓を開けて冷気を取り込む(=熱を逃がす)羽目になります。夜間に備えて取っておくべきせっかくの熱を逃がしてしまうのですから、十分な熱を蓄えられないのは当然です。

大きな熱容量の必要性は、まさにこの点にあります。つまり、夜間の為の大量の熱を蓄えても
温度が上がりすぎないためには、大きな熱容量が必要なのです。
前述の社員の方の一言コメントが、「FASの家は熱容量が不足している」という事実を物語っていることがお分かり頂けるかと思います。

誤解がないように言っておくと、FASの家の熱容量が他の一般的な工法の家に比べて小さいわけではありません。同じか、むしろ若干大きいくらいでしょう。少量とはいえ、わざわざ潜熱蓄熱材を床下に配置しているくらいですから。
ここで指摘しているのはあくまでも、熱容量の大きさを謳ってるくせに足りてねーじゃねーか、という意味です。
喩えて言うなら、「僕は算数が得意です!」と自慢する子供に対して、「その程度で得意って言うな!」と突っ込んでいるだけで、決して「お前の算数は落第点だ」と言っているわけではありません。

細かい点に目を向けると、前述の社員の方の自宅では、そこまで室温が上がるのは稀なことのようです。せっかくの熱を捨ててしまうのは惜しいとは言いながら、年に数回程度の話ならば目くじらを立てるほどのことではないでしょう。とは言え、それは北海道での話です。
私が住むいわゆるⅣ地域に同じ家を建てれば、せっかくの熱を捨ててしまうのは「稀なこと」ではなく「しょっちゅうあること」になるはずです。そう考えれば、やはり熱容量は足りないと言わざるを得ないのではないかと思います。

とは言え、必要レベルに熱容量を上げるのはなかなか難しいようですし、どうしたもんですかね。