自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

FASの家の調湿能力は十分か?

調湿能力の必要値をラフに計算してみましたが、FASの家の調湿能力はそれに対してどの程度でしょうか?

同社ウェブ・サイトでは以下の様な記述を見つけられました。

  • 延床面積40坪の場合で、床下のスカットール(シリカゲル)は200kg程度。
  • スカットールは自重60%の水分を吸収する能力を持っている。

以上より、FASの家は120kgの水分を吸収・保持する能力を持っていると言えます。必要な水分保持能力は555kg(湿度交換効率70%として)なので、5倍足りません。しかも、555kgというのは、C値がゼロで、しかも住人の汗や呼気から出る水蒸気、炊事や風呂から出る水蒸気を一切無視してのものなので、実際には更に開きが大きくなります。

全然足りないとは言え、シリカゲル200kgというのは相当なものです。そこまでやってもなお、全然足りないわけです。世間で言われる「自然素材なので調湿能力があって室内は快適」という謳い文句が、如何にアテにならないかがよく分かります。

理屈の上ではスカットール(シリカゲル)を1.2トンくらいに増量すれば、夏の間の湿気を全て吸収できることになります(但し住人の汗や炊事・風呂からの水蒸気は無視した場合)。

もうちょっと利口な手は、換気システムの湿度交換効率を上げることでしょうが、熱交換効率の高さに執念を燃やしている(様に見える)一条工務店のロスガード90でさえも湿度交換効率は70%程度です。あれは結構大きなサイズの熱交換素子を使っていて、効率面では有利なはずですが、それでも70%ということは、このあたりが湿度交換効率の実用上の上限なのでしょう。
実現性を無視して計算上の話をすれば、湿度交換効率が94%になれば、室内に侵入する湿気は1/5に減り、スカットールの吸収能力でも吸収しきれることになります。(住人の汗や呼気、炊事や風呂から出る水蒸気を含めると、それでも足りないでしょうが。)

もう1つのアプローチは換気回数を減らすことです。
現在は2時間に1回の換気が法律で義務づけられていますが、FASの家では、スカットールが持つ(らしい)VOCの吸収・分解能力を根拠に、「換気回数を大幅に減らしても良いという特別な認定を受ける」ことを計画しているそうです。お堅いお役人の許可が下りるかどうか分かりませんが、1/5以下に換気回数を減らせれば、スカットールを増やすことなく、夏期の湿度を吸収し続けられます。
夏の間の余分な湿気を吸収し続けることなど、およそ非現実的なことだとばかり思っていましたが、もしかしたら出来ちゃうのかも知れません。湿度管理を最優先項目として開発を始めた住宅システムの面目躍如と言うところですね。
期待したいところです。