自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

スマートパワーステーション100% Editionに対する考察-前編-

今回はセキスイハイムスマートパワーステーション100% Editionに関する考察をします。

1.年間消費電力量について

セキスイハイムでは、このモデルケースでの年間消費電力量を6,000kWhと想定しているそうです。
私が歴代の住まいでの年間消費電力量を集計した結果 でも、オール電化だったC市-1での年間消費電力量は6,200kWh前後でしたから、この想定はほぼ妥当と言えます。

まがりなりにも高断熱を謳うセキスイハイムの家が、ろくに断熱もされていない戸建て賃貸住宅と大差ない電力消費量というのは、少々頼りない気がしますが、今回はそこは目をつぶることにします。
ちなみに私の自宅は不在時も1Fはエアコンを点けっぱなしです。高断熱住宅ではないので、かなり電気を喰う使い方になりますが、あったかハイムもこのレベルの電気食いと言うことになります。

 

2.年間発電量の妥当性について

(1)一見過剰な発電能力
このモデルケースの家には13.37kWの大容量太陽光発電パネルが搭載されています。この容量だと、控えめに見ても年間発電量は14,000kWhになります。これは想定している年間消費電力量6,000kWhの2.3倍以上です。
どうしてこんな過剰とも言える発電能力が必要なのかというと、恐らく冬に備えるためでしょう。冬は、

  • 冬の暖房で空調の消費電力が増加する(暖房の空調費は冷房よりもずっと多いです)。
  • 外気温が低いためエコキュートの効率が下がり、給湯の消費電力が増加する(水温が低いことがこれに拍車をかける)。
  • 日射が弱く、太陽光発電の発電量が下がる。

などの悪条件が重なります。電力消費量が増え、発電量が減るのですから、電力を買わねばならない状況にぐっと近づきます。ここで踏ん張って買わずに済ませるために、発電能力にはかなりの余力が必要なのでしょう。

さて、余裕が必要なことは分かりましたが、本当に2.3倍も必要なのでしょうか。例えば1.5倍で十分ということはないのでしょうか。このあたりをもう少し考察してみます。

(2)消費電力量の月毎の増減について
消費電力量は私の自宅の消費パターンを参考に考察します。(代表例として適切か、ちょっと怪しいですが、これしか手元にデータがありませんので。)
1つ前に住んでいたオール電化住宅での月毎の消費パターンが下記です。グラフも掲載しておきます。

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月毎の消費電力量の変化を、平均値を1.00として正規化したのが下記です。

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やはり1~2月が最も消費電力量が増えるようです。瞬間最大風速ですが、1年目の1月が平均値の1.54倍の消費電力量になっています。
セキスイハイムのデータでは年間6,000kWhですから、月平均は500kWhです。セキスイハイムがどういう消費パターンを想定しているかは分かりませんが、私の自宅のパターンと同じだとすれば、ピーク時は平均値500kWhの1.54倍の消費電力量になるはずです。770kWhです。

ここまでで、少なくとも平均値の1.5倍程度の発電能力では足りないことは分かりました。
では、冬期(1月)の太陽光発電の発電量低下はどうでしょうか。

(3)太陽光発電の月毎の発電量の増減はどうか
月毎の発電量データを公表しているメーカの数字を拾ってきました。探した中で見つけられたのはパナソニックだけです。(ソーラーフロンティアもありましたが、グラフだけで正確な数値が分からなかったので除外。) 実際に設置されたお宅での実測値だそうです。公表されているデータの中から、日本代表として東京のデータだけ引用しました。
その数値とグラフが下記。

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先程と同様に平均発電量で正規化した数値が下記です。

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立川の事例と日野の事例でかなり傾向が違うので難しいところですが、1月だと平均値の75%に低下、1月に限らなければ、日野市の11月には平均値の61%まで発電量が低下しており、これがワーストです。
ここでは、平均値の61%までの低下が、1月に発生しうる、と仮定してみます。

セキスイハイムの事例では、年間14,000kWhの発電量だったので、月当たり平均で1,167kWhです。ワースト時にはこれの61%まで発電量が低下するなら、712kWhになります。

(4)結論は?
ワースト時には月間消費電力量が770kWhになり、一方、発電量は712kWhになるのですから、8%くらい足りません。2.3倍以上の発電能力という、一見マージン取り過ぎのような設備でさえ、場合によっては不足だと言うことです。5地域の55%のユーザしか自立型の電力供給条件が成立しないというのもむべなるかな。

ちなみに、太陽光発電の発電パターンが立川市の事例であれば、ワースト時の発電量は875kWhなので足りています。また、日野市の場合も、61%に低下しているのは1月ではなく11月です。なので、厳密には日野市の場合も発電量は足りています。
とは言え、ちょっとした条件の違いで足りなくなる危うさがあるのは確かですし、何より足りているとしても決して余裕がたっぷりあるわけではありません。
セキスイハイムのスマートパワーステーション100% Editionの発電能力の設定は、(電力の完全自給自足という目的に照らせば)決して過剰ではなく、妥当なものであるというべきでしょう。

-後編に続く-