自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

太陽光発電は「有って当たり前の設備」になる-前編-

太陽光発電については数年前に色々書きました(これこれ)が、私が家を建てられずにいるほんの数年で、状況は大きく変わってしまいました。
世の中には最新状況をうまくまとめたサイトがたくさんあると思いますが、このブログの目的は私自身が自分の考えを整理することにあるので、自分でも今一度最新状況を整理してみます。目新しい内容は特に無いと思いますが。
 
1.補助金の終了は近い
 わずか数年前には7万円/kwの補助金がありましたが、2013年度の補助金は僅か2万円/kwでした(システム価格が41万円/kW以下の場合)。来年度の補助金制度はまだ決まっていませんが、もう、補助金は無くなるかもしれません。
補助金は、単に消費者に金銭的な補助をするだけでなく、太陽光発電システムの生産者(施工者も含む)にコストダウンを促すように制度設計されています。補助金を受けるには、システムの価格がある金額以下でなければならず、しかも、そのハードルは年々高くなっているからです。
ここ数年の補助金の条件は下記のとおりです。
 
 年度    価格条件      補助金
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2009年度  70万円/kW以下    7万円/kW
2010年度  65万円/kW以下    7万円/kW
2011年度  60万円/kW以下    4.8万円/kW
2012年度  47.5万円/kW以下   3.5万円/kW (55万円/kW以下なら3万円/kW)
2013年度  41万円/kW以下    2万円/kW   (50万円/kW以下なら1.5万円/kW)

このペースだと、来年度は補助金があったとしても「35万円/kW以下で1万円/kW」というくらいでしょうか。ゼロになっても不思議ではないですね。
 
2.太陽光発電はすでにグリッドパリティを達成している
 ざっと調べてみましたが、戸建て住宅用の太陽光発電システムの価格は、安いものだと30万円/kWくらいになっているようです。太陽光発電は施工が悪いと雨漏りなどのトラブルがあるので価格だけで選ぶのは危険ですが、それでもこのレベルの価格が出回っているのは今更ながら驚きです。夢発電に「9.88kWで32.24万円/kWとは凄い」と驚いていたのは、たった3年ちょっと前のことなのですが、この業界では大昔と言わざるを得ないのでしょう。
 
さて、1kWのパネルは1年間におよそ1000kWhの電力を発電します。パネルの期待寿命(保証寿命ではありません)は20年ですから、20年間では20,000kWhとなります。
消費者として電気を購入する際の単価はおおよそ24円/kWhですから、この20年間の発電量は、48万円の価値を持つことになります。30万円の初期投資に対して48万円の利益ですから、これは十分に元が取れるといえるでしょう。(約12.5年で元が取れる計算です。) 勿論、実際にはパワーコンディショナーの交換など、余分なメンテナンス費用が発生するでしょうし、経済学的に言えば、利益を現在価値に換算するなどの計算も必要でしょうが、そういったことを考慮しても、20年のスパンではほぼ元が取れると考えてよいでしょう。
こういう視点で「元が取れる」条件が成り立っていることを、専門的には「グリッドパリティを達成している」と言います。
 
なぜわざわざ「グリッドパリティ」などという特別な呼び名をつけているのかと言うと、この条件が成り立っているということは、補助金などの特別な手立てを講じなくても、消費者が勝手にどんどん設置するようになるからです。「補助金なんかなくても、付けたほうが得じゃん」という訳です。
この意味でも、もはや太陽光発電補助金は不要になったといってよいでしょう。
 
3.寿命も(たぶん)心配ない
太陽光発電システムも人間が作るものですから、壊れます。問題はどの程度の確率(頻度)か、です。何せ少なくとも20年間は動いてもらわねばなりません。パワーコンディショナーの交換くらいは覚悟するとしても、屋根の上に設置したパネルをそう何度も交換するわけにはいきません。
世の中にはこの点のリスクを非常に高く取り上げて、「あんなもの設置するもんじゃない」と主張する人も未だにいるようです。
勿論、リスクをどう判断するかは個々人の価値観ですから、そういう判断だって有りですが、私自身は「大して心配する必要がないレベルには達している」と判断しています。
例えばこんな記事があります。(閲覧には無料の読者登録が必要です。また、技術者向けのウェブサイトのため、内容は少々専門的です。)
この記事は、太陽光発電パネルの中古品を扱う業者の視点で、現在のパネルの品質について論じています。
かいつまんで言うと、
  • 昨今のパネルの品質は概ね高い。
  • 20年経ったパネルでも、初期性能の70~80%の発電能力を維持しているものがほとんど。
  • つまり元を取るのに20年かかったとしても、その後も引き続き発電し、その分は丸儲けになる。
勿論、中には壊れるものもあるわけですが、押し並べて言えば問題ないと。
屋根の上に数十枚並べたパネルのうち、運悪く壊れてしまったものをどうやって検出して、どうやって交換するかなど、いくつか課題はあるものの、頭を抱えるほど重大な問題ではありません。
新築なら載せない手はない、くらいに私は考えています。「有って当たり前の設備」と言って大きな間違いはないでしょう。(既存の家屋は、強度などがわかりませんので、ケース・バイ・ケースでしょう。)