自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

もう一つの蓄熱手段

省エネのためには大きな熱容量が必要なのですが、これは昼間の太陽熱を建物躯体に十分に蓄えることで、夜間の暖房を最小限に済ませる(究極的には不要にする)ことを狙ってのものです。
今までは快適性との両立という観点で、建物躯体に蓄熱するアプローチを考察してきましたが、単に蓄熱するだけと割り切るなら、別の方法もあります。水に蓄熱する方法です。

世の中には太陽熱温水器なるものがあります。ご存じの通り、屋根の上に集熱パネルを載せておいて、それで水を沸かして給湯に使うものです。高性能なものであれば、冬でもそのまま風呂水として使えるほどに沸くそうです。
この方法でお湯を沸かして溜めておき、夜間にそこから熱を取りだして室内に放熱する(例えば温水床暖房として)ことで暖房するのは、原理的には成り立ちます。では、実際のところどうなのか、簡単に計算してみましょう。

1.蓄えられる熱の量

朝日ソーラーのウェブ・サイトによると、貯湯容量は230Lで、冬でも45~50℃くらいにはなるようです。これを使って室温を20℃に保つので、このお湯が25℃に下がるくらいまでは熱を取り出すことが出来そうです。この場合、蓄えられる(=そこから取り出せる)熱量は、

230 × 1,000 × ( 45 - 25 ) × 4.2 = 19,320,000 [J]

となります。(1[mL]
の水の温度を1℃上げるには、4.2[J]の熱量が必要と言うところからの計算です。)
なお、この場合で屋根上に4[m2]くらいの集熱パネルが必要になるようです。

2.必要な熱の量

夜間の暖房に必要な熱量はどのくらいかを計算します。
建物のQ値を1.5、床面積を40坪、暖房が必要な時間を夕方16時から翌朝10時までの18時間とし、その間の平均外気温を5℃とします。この条件で、室温を20℃に保つためには、

1.5 × ( 40 × 3.3 ) × ( 20 - 5 ) × ( 18 × 3,600 ) = 192,456,000 [J]

だけの熱量を蓄えておく必要があります。(ワット×秒で[J]になります。)

3.結論

つまり、朝日ソーラー太陽熱温水器を10セット付ければ、夜間の暖房がまかなえることになります。
なお、集熱パルは10セット分不可欠ですが、貯湯槽はそんなに要りません。45℃の温水だと230Lのタンクが10本必要になってしまいますが、集熱パネルが多ければ、80℃くらいに沸かすことも可能です。その場合、同じ量の水でも3倍近くの熱を蓄えられますので、水の量は1/3で済みます。10本必要なところが、3.6本くらい、四捨五入して4本で足りることになります。
エコキュート用の450Lタンクなら2本で足ります。
勿論、これは暖房だけなので、風呂用は別に必要です。

問題は、10セット分の集熱パネルが屋根に載るかどうかです。約40平方メートルですから、5×8m。40坪の家ではちょっと難しい大きさですね。しかも風呂は別。
ちょっと現実的とは言えないですね。

曇りや雨の日に備えて、どのみち別に熱源は必要ですから、この方法での蓄熱はあくまで補助と割り切るなら、それなりに役には立つというレベルでしょうかね。コストパフォーマンス的には苦しいものがありますが。

と言うわけで、太陽熱を蓄えることの難しさを再確認した試算になってしまいましたね。