自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

ユニバーサルホームのモデルハウス見学

ユニバーサルホームのモデルハウスにやってきました。

ここは基礎がめちゃくちゃ特徴的です。何も訴えかけてこない積水ハウスを見た後だけに、こういうのは嬉しくなってしまいます。
普通、住宅の基礎は床下に換気のための空間を設けますが、ここのはコンクリートで埋まっています。床板の直ぐ下はコンクリートの塊というわけです(正確に言うと、コンクリートと床板との間にはクッション材などが入っていますが)。
何のためにこんな奇抜なことをやっているのかというと、1つには建物の耐震性の向上、そしてもう1つは(こちらが主目的と思いますが)冷暖房に活用すること。
おおざっぱに言うとこんな考え方です。

  • 地面の温度は年間を通して比較的安定しており、夏は外気温より低く、冬は外気温より暖かい。この地面の温度を室内に取り込めれば、冷暖房に活用できる。
  • 床下を空洞にせずコンクリートで埋めてしまい、地面の温度が床板の直ぐ下まで伝わってくるようにする。これで床の温度が地面の温度とほぼ同じになり、夏はひんやり冷たい床になり、冷房の助けになる。
  • 冬はこれだけでは温度が足りないので、基礎内(コンクリート内)に埋め込んだ配管に温水を通して床暖房とする。

ほほぅ、実に面白い。
「空調費もあまりかからずに済みます。(断熱を売りにしている)一条工務店さんと比べても遜色有りません」ということで、実際に住まれている方の電気代(電力会社の領収書)を見せてくれました。(自社の顧客の方はともかく、一条工務店の方はどうやって手に入れたんでしょうか?)

  • 両者ともほぼ同じ床面積で、どちらもオール電化
  • 生活スタイルが異なるので、金額の絶対値は比較困難。そこで、5月、10月の「空調が不要な時期」の電気代を「空調以外の電気料金」と見なし、2月や8月の電気料金から引き算する。残りが冷暖房のための電気料金と見なせる。

やや荒っぽい比較ではありますが、この比較方法で、ユニバーサルホーム一条工務店とも冬の「暖房費」は9千円程度で、ほぼ同じでした。夏の「冷房費」も同じく同程度。
なかなかやりますな、ユニバーサルホーム

ただねぇ、どうしても理屈が腑に落ちないんですよ。この特殊な基礎による暖房効果が。
夏の冷房としての効果は結構期待できると思います。足の裏がひんやり冷たいのは気持ちいいでしょうし、輻射熱でじんわり涼しい部屋になると予想できます。しかもこれに光熱費は一切かかりません。これだけで十分とまではいかなくても、エアコンを補助的に使うだけで済むなら、僅かな光熱費で夏の空調は可能と言うことになります。
問題は暖房です。地面と同じ温度の基礎は外気温よりは暖かいですが、それでも15℃程度でしょうから、暖房としては全然足りません。足りない分を温水床暖房で補うわけですが、いくら熱を注ぎ込んでも、15℃に安定した大地に際限なく熱を吸い取られてしまうのでは? という疑念が拭えないのです。つまり、床暖で暖かくなるのは事実だとしても、光熱費がもの凄くかかるのではないかと。
そんな風に考えてはみましたが、結果的に一条工務店と大差ない暖房費ということは、コンクリートスラブの下に敷いてある破砕石が断熱効果でも持っているんでしょうか? それとも、見せてもらった電気料金にトリック(私が気づいていない条件の差異)があるんでしょうか?


営業さんの話では、温水床暖のスイッチを入れてから完全に暖まるまでに丸3日くらいかかるとのことでした。何という熱容量の大きさ! まるで鉄筋コンクリートの様です。まあ、床(基礎)に限れば鉄筋コンクリートそのものですが。
こうした熱容量の大きな躯体は、室温を安定させる効果を持ちますので、快適ではあるでしょうね。但し、光熱費が謎です。
基礎(コンクリートの塊)を地面からしっかり断熱すれば、光熱費の懸念は払拭されますが、地面の温度を空調に利用という基本コンセプトが失われてしまいます。うーん、難しい。


そうそう。特殊な基礎のお陰で、ユニバーサルホームの1階の床は非常に固く仕上がっています。これなら何年経っても「床がぶかぶかする」なんてこととは無縁でしょう(床板の直ぐ下がコンクリートの塊なので、ぶかぶかしようがないんですが)。ただ、しっかりし過ぎていて、歩いていて足が痛いです。かかとを痛めそう。ちょっと私には許容できません。相方は気になるほどではないと言っていたので、好みの範疇とは言えるでしょう。
その逆に、2階の床はぶかぶかです。少し足でドンドンやると、和太鼓のごとく響きます。階下には勿論、2階自体にも。2階とは言え、こんなに響く床は後にも先にもユニバーサルホームだけです。躯体が弱いのかな? これは少なからず悪い印象です。
1階の床の過剰な固さと、2階の床の脆弱っぷり。かなりアンバランスですね。

それから、これは後から調べて知ったのですが、コンクリートって硬化後にも水蒸気を出すんですね。ユニバーサルホームのカタログには、「コンクリートで地面からの湿気を遮断」なんて書いてありましたが、いくら地面からの湿気を遮断しても、コンクリート自身が湿気を出すんじゃあ身も蓋もありません。床材の寿命が短くならないか心配です。

もう一つの特長は、外壁にALC板を使っていること。断熱性に優れていると言っていました。私自身、ALCは断熱性が高いと思っていたので、「ほぅ、そりゃ凄い」と思ったのですが、後で調べてみたら、「外壁材としては」断熱性が高いものの、本来の断熱材(グラスウールなど)に比べるとずっと熱を伝えやすい(3~5倍くらい)んですね。ALC板以外に大した断熱はやっていないようなので、家全体としての断熱性はあまり良くなさそうです。実際、Q値は公表していないと言っていましたし(つまり大した性能ではないと言うこと)。
電気代の謎がますます深まります。

一芸に秀でた特長有るメーカだったのは良かったのですが、残念ながらその一芸は私の趣味には合わなそうです。