自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

太陽光発電の価値(2)

-(1)から続く-

3.補助金と売電の今後

環境負荷が低いとは言え、何故コストの高いものをわざわざ税金をかけてまで普及させるのかというと、エネルギー問題の緩和のためでしょうね。日本という国の立場で言えば、二酸化炭素増加への対策もさることながら、石油に依存しすぎない体制を構築することが、国の安全保障の観点で非常に重要です。その為、石油への依存度を下げる方法の1つとして、太陽光発電に期待しているのでしょう。
ただ、現状ではばんばん売れるにはほど遠いので、税金でアシストすることで普及への足がかりを付けようとしているわけです。勿論、いつまでも税金アシストをするわけにはいきません。それをやると農業みたいに「永遠の養われっ子」になってしまいます。そこで、補助金制度には「遠くない将来には独り立ちできる」を実現するための仕組みが盛り込まれています。

例えば、国からの補助金は7万円/kWですが、これが受けられるのはいくつかの条件を満たしたシステムだけです。条件の1つが設置費用。今年度(2010年度)なら65万円/kW以下のシステムでなければ、補助金を受けることが出来ません。去年は確か70万円/kW以下だったはずです。補助金を受けられないメーカは商売あがったりですから、そうならないようにコストダウンに励みます。来年以降も少しずつ条件を厳しくしていけば、どんどんコストダウンが進むというわけです。

割り増し価格による売電もこれに歩調を合わせています。補助金効果により毎年初期費用が下がると見込まれるので、その分だけ、売電の割り増し率を下げていく予定になっています。
例えば、今年度設置したシステムなら48円/kWという、ほぼ倍額での売電が10年間約束されています。しかし来年度に設置するシステムは、この単価が42円/kWくらいになると予定されています(金額は確定ではありません)。割増率がちょっと下がるわけです。期間は今年と同様に設置後10年。再来年は更に単価が下がって、多分36円/kWくらい。
このペースで行くと、4年後には買い取り価格が24円/kWになり、割り増しゼロになります。勿論、その頃には割り増し売電に期待しなくてもいいくらいに初期費用が下がっていることが見込まれているわけです。

これらのアシストが上手く行って、数年後には「補助金も割り増し売電も無いが、多くの人が導入できる」レベルになっていて欲しいと思います。
なお、期待した通りにコストダウンが本当に進むかどうか、将来の話は分からないこともあるので、毎年毎年、専門家が議論して補助金の交付条件や売電価格を決めていくことになっています。

4.ホントに補助金無しで独り立ちできるのか?

こんなの一般消費者が考えても仕方がない気もしますが、国の安全保障にも関わるとなれば、ちょっと気になります。
補助金も割り増し価格による売電も、いつかは終わるものです。終わったあと、どのくらいのコストになっていればビジネスが成り立つでしょうか?

多くの人が比較的気軽に買えるためには、どのくらいの価格になる必要があるでしょうか? 全くの私見ですが、「5年で初期費用の元が取れる」くらいなら、ほとんどの人が導入するのではないでしょうか。その場合の初期費用を試算してみましょう。

  • 普通の戸建ての屋根には5kWくらい載せられるだろうと仮定する。
  • 日本では1kWあたり、年間1,000kWhくらいの発電量なので、5kWなら5,000kWh。
  • その頃には割り増し金額による売電は無くなっているだろうから、発電した電力は全て24円/kWの価値を持つとする。

以上の場合、5年間の総発電量は60万円分の価値を持つことになります。つまり、初期費用が60万円以下ならほとんどの人が導入するだろうと思われます。

一方、
コストダウンはどのくらいまで進むでしょうか?
こちらの記事(読むには無料のユーザ登録が必要。技術者用の記事なので内容は難解です)によると、「2020年までには、75円/Wにできる」と主張するメーカがあります。つまり、5kWなら37万5千円です。但しこれは「太陽電池パネル」の製造コストであって、システム全体の価格ではありません。他にも、パワーコンディショナー、配線、売電メータ、架台、取り付け工事費といったもろもろの費用を上乗せする必要があります。そういった「付帯費用」の合計が22万5千円以下に収まるなら、「5年で元が取れる」条件を満たします。
現状では工事費が意外に高いと聞いたことがありますが、2020年に向けていろいろ工夫していけば、何とかなるのではないでしょうか。
この様子なら補助金などが無くても何とか独り立ちできそうですね。

ただ、補助金は2020年よりもずっと早く終わると思うんですが‥‥。

-(3)に続く-