自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

土地売買手数料の不思議

法律で認められている事なので文句を言ってもどうにもならないんですが、土地を売買する際の仲介手数料については、おかしなルールがあるものだと以前から思っていました。

ご存じの方も多いでしょうが、宅建業法では土地を売買する際の仲介手数料として、「土地売買価格の3%+6万円」を上限とすると決められています(正確にはもうちょっと細かいようです。200万円までの部分には5%、それを超えて400万円までの部分には4%、400万円を超える部分には3%という具合)。これを売り手と買い手の両方から取っていいことになっているので、ざっと6%+12万円というわけです。
これはあくまで法律で決められた上限額で、「これ以上取るのは違法」というものです。その意味で、本来は「たちの悪い不動産屋から、素人である売り主や買い主を守るためのもの」という趣旨なのでしょう。

そんな、本来は売り主・買い主のためのものであるはずのルールに違和感を感じる理由の1つが、「ほとんどの業者が遠慮無く上限額を取っている」という事実です。この業界では競争というものがないのでしょうか? 上限額を決めるための法律が、「これだけ請求してもいいんだ」という理由付けに使われている気がしてなりません。

違和感のもう1つの理由(こちらが主たる理由ですが)は、「仲介業者が提供するサービスに対する対価が、『売買金額の○%』という形で決められることに納得がいかない」ということです。
仲介手数料を払う根拠はこちらに述べられています。不動産屋は単に紹介するだけでなく、売買に支障をきたす登記上の問題が無いかどうかなどを調べ、売買が円滑に実施できるためのサービスを提供します。そのサービスの対価として仲介手数料があるわけです。
この様な不動産の専門家としてのサービスに対価を支払うことには、全く異論はありません。問題は金額の決め方です。

つらつら考えるまでもなく、1,000万円の土地だろうが、5,000万円の土地だろうが、前述の「不動産屋が提供するサービスの内容」には何の違いもありません。5,000万円の土地の方が5倍の手間がかかると言うことは有り得ません。
にもかかわらず、何故不動産屋は5倍の手数料を堂々と請求するのか? 私が納得できないのはこの部分です。

別の業界ではどうなっているか? 例えばスーパーで売っている肉を考えてみましょう。
100g100円の肉と、100g500円の肉では、店の利益(売値から仕入れ値を引いたもの)はざっと5倍違うはずです。仕入れて、切って、パック詰めして、店頭に並べて、レジ打ちして、という一連の手間はほとんど変わらないでしょう。しかし、店は5倍の利益を載せて売値を決めているはずです。
ではこのスーパーは理不尽な値付けをしているかというと、私はそうは思いません。当然だと思います。

不動産屋もスーパーも同じではないか。何故不動産屋だけ問題視するのか?

この問に対する答は、「スーパーはリスクを取っているが、不動産屋はリスクを取っていない」です。
スーパーでは、売れるかどうか分からない肉を仕入れて、店頭に並べて売ります。売れ残ったらそれは店の損失になります。高い肉が売れ残ったら大きな損失が出るわけですから、その分売れたときの利幅は大きくしておかねば釣り合いが取れません。逆に言うと、そうやって店がリスクを取ってくれているからこそ、我々はいつスーパーに行っても肉を購入することができるわけです。(スーパーの肉が「受注生産品」だったら、肉を食べるのは相当に手間のかかることになってしまいます。) 小さなリスク(仕入れ価格の安い肉)には小さな利益を、大きなリスク(仕入れ価格の高い肉)には大きな利益を、という関係は、商取引の原則に照らしても納得感のあるものです。

一方、不動産屋は(ごく一部の例外を除いて)不動産売買に対してリスクを負いません。土地を「仕入れる」わけではないのです。
売り主から依頼を受けて仲介はしますが、売買契約が成立するまでの間、土地は売り主の持ち物です。売れ残る事によるリスクは全て売り主が負いますし、売れるまでの期間の固定資産税も全て売り主の負担です。
不動産屋が一切のリスクを負わない以上、報酬もそれに見合ったものにすべきです。具体的に言えば、「売買に伴う事務手続き」というサービスの提供に対しての費用だけが請求されるべきです。そしてそれは、「売買価格の○%」などではなく、「1件あたり○万円」という料金体系になるべきものです。(権利処理が面倒な案件だったから割増料金、という話は有ってしかるべきと思いますが。)

いろいろ書きましたが、不動産業界が正常な競争の働いている業界と思えるようなら、こんな面倒くさい不満を抱かずに済むのかも知れません。その意味では、2つ有る理由のうち、1つめの方が実は重要なのかもと言う気はしてきます。
もうちょっと、すっきりと納得感のある業界にならないもんですかねぇ‥‥。