自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

窓の性能-後編-

-前編から続く-

<アルミ樹脂複合サッシ>

前項までは窓の中でもガラス部分の話でしたが、これは枠の部分の話です。
窓枠がアルミだと非常に熱を通し易く、「断熱って何の話?」という感じになってしまうので、樹脂(プラスティック)を使って高い断熱性を得ようというのがこれです。熱が伝わるメカニズムのうち、伝導を退治しようとしたモノです。アルミも樹脂も赤外線はほとんど通さないので、輻射はもともと遮られています。
アルミを併用しているのは、オール樹脂だと高価だからですね。

アルミというめちゃめちゃ熱を伝える素材を併用していいのか? これは構造次第ですが、実際に市販されているサッシの場合、問題ありません。
熱の通し難さを熱抵抗と言いますが、アルミだけで作った場合の熱抵抗を10としましょうか。(ここで言うのは窓枠部分だけの熱抵抗です。ガラス部分は無視しています。)
ここで厚さの半分をアルミ、残りの半分を樹脂にしたとすると、アルミ部分の熱抵抗は、厚さが半分なので5になります。樹脂部分は、「樹脂はアルミの1,000倍熱を伝え難い」などと言われますので、5,000になります。熱抵抗5と5,000が熱の伝わる経路に対して直列になっているので、トータルの熱抵抗は5,005になるわけです。アルミの10に比べると、相当に高性能です。

<樹脂サッシ>
アルミと樹脂の複合でもかなり高性能と言いましたが、全部樹脂ならもっと高性能になるのは当然です。先ほどと同じ荒っぽい計算をすれば、樹脂サッシの熱抵抗は10,000になります。
アルミ樹脂複合サッシと同じく、伝導メカニズムを低減するのが目的です。
コストパフォーマンスの面ではアルミ樹脂複合サッシに譲る気がしますが、性能だけで言うと現在のところこれがベストです。

3.どんな仕様の窓を選ぶべきか

そんなに声高に主張するほどの結論ではありませんが、現時点で選ぶなら、「複層ガラス、Low-Eガラス、アルゴンガス封入、アルミ樹脂複合サッシ」あたりがコストパフォーマンス的に良いバランスのようです。
私としては、樹脂サッシにしたい気もしますが、未だ(アルミ樹脂複合サッシとの)価格差を聞いていないので、コストパフォーマンス的にどうかは分かりません。

1つ注意点は、Low-Eガラスは断熱タイプのニュートラル色を選ぶのが良さそうと言うことです。これがLow-Eガラスの中で最も日射取得係数が高いからです。前回書いたように、「熱エネルギーの入りと出を非対称にすることが出来る」のがLow-Eガラスの最大の特徴(他の手段では代替できない)なのですから、この性質を最も高く有しているものを選ぶのが良いと思うわけです。
またまたYKKapのデータを引用すると、4種類あるLow-Eガラスの日射取得係数は以下のようになっています。

種類         日射取得係数
----------------------------------------------
断熱ニュートラル色    0.62
〃 ブルー色       0.46
〃 ブロンズ色      0.45
遮熱ブルー色       0.41  [ガラス3mm+空気層12mm+ガラス3mm]の仕様にて比較

断熱タイプとは言え、ブルーやブロンズは、むしろ遮熱タイプに近い特性です。
断熱ニュートラル色は日射取得係数が高い(他の1.4~1.5倍くらい)ので、冬の暖房の必要性を大きく下げてくれます。その分、夏は窓から熱が入って来やすいわけですが、これは日射の採り入れ方の工夫や、オーニング、ブラインドなどで補うことが出来ます。
逆に夏の日射取得を嫌って遮熱ブルー色なんぞにした日にゃ、冬に日射取得を良くする手段がありません。

日射を入れる/入れないをコントロールするのは、冬と夏の快適性(及び省エネ性)を両立するためには欠かせないことですから、そのコントロールの余地を可能な限り残せる仕様という意味でも、断熱ニュートラル色に軍配が上がります。

なお、「どうしてもこの色がいい」といった好みがある場合には、上記の限りではなくなります。温熱性能よりも色合いを重視するのはどうかなと、私自身は思いますが、こればかりは価値観の問題ですからね。

4.蛇足

もしもコストのことを忘れて、とにかく高性能なモノ、という事で言うと、真空ガラススペーシア21のクリア(つまりニュートラル色)に樹脂サッシを組み合わせるのが最強のようです。
これは真空ペアガラスに、更にもう1枚のガラスを組み合わせて、その間にアルゴンガス封入したものです。そこまでやる必要あるの?という気も少々しますが、熱貫流率は0.8~0.9と素晴らしい値です。これは4cm厚のEPS特号、又は6cm厚のグラスウール10Kに相当する性能です。断熱材にも匹敵する性能の窓は、他ではお目にかかれません。
一般的なLow-E+アルゴンガス封入の熱貫流率1.4と比べても、その差は歴然です。これでもう、「熱の大半は窓から出入りします」と言わなくて良くなるかも知れません。(但しここで言う熱貫流率はガラス部分のみの値。サッシ部を含めると、数値は悪化する模様。)

これに樹脂サッシを組み合わせたモノが、現時点で入手できる最強のサッシと言うことになるでしょう。ただ、値段も最強でしょうけどね。