自宅新築日記

自宅の新築にまつわるあれこれを綴っていくつもりです。

蓄電池の導入を考えてみる-中編-

-前編から続く-

 

3.停電時の太陽光発電の扱い

電力系統が停電すると、太陽光発電は自立運転モードに自動的に移行します。自立運転モードでは発電量が最大でも1,500Wに制限されます。どんなにパネルに強い光が当たっていても、です。パワコンがそういう設計になっています。

蓄電池を設置しても、それが単機能型蓄電池の場合は基本的に上記は同じです。単機能型蓄電池は太陽光発電と連係動作しないので、蓄電池があろうが無かろうが太陽光発電は「停電したから自立運転モードになるよ」となります。太陽光発電からは最大でも1,500Wしか出てこなくなります。停電中は、この最大1,500Wを使って限られた家電を動かし、余ればそれを蓄電池に貯める、となります。逆に消費電力が1,500Wを超えたら蓄電池から放電して不足分を補うわけです。

 

但し単機能型蓄電池にも特殊な仕様のモデルが有って、この場合、太陽光発電は停電時でも能力一杯まで発電できます。カラクリが完全には理解できなかったのですが、どうやら蓄電池のパワコンが太陽光発電のパワコンを騙して、停電が起きたことを隠蔽する様に動作するらしいのです。太陽光発電のパワコンは停電が起きたことに気づかないので、通常モードのまま全力で発電し続けます。1,500Wの制約はありません。で、蓄電池のパワコンは、家庭内で使い切れなかった電力を蓄電池に充電するわけです。

 

一方、ハイブリッド型蓄電池を使う場合は、1,500Wの制限はありません。何しろハイブリッド型の場合、1つのパワコンが蓄電池と太陽光発電の両方のパワコンを兼ねています。停電時も太陽光発電の発電能力を最大限に使い切る様に、万事宜しくやってくれます。

動作としては単機能型の特殊仕様のモデルと同じ形です。

 

前章では「ハイブリッド型を選ぶのが良さそう」と書きましたが、上記の点でもハイブリッド型が本命になりそうです。もっとも、単機能型の特殊仕様モデルも一応可能性はあります。

 

4.太陽光発電はどのくらい載せるか

ハイブリッド型の場合、太陽光発電のパワコン機能も兼ねることになります。太陽光発電のパワコンとしての能力はどの程度必要になるかを押さえておかねばなりません。例えば「発電パネルは10kW載っているがパワコンの能力は5kW」だとアンバランスすぎますので。

 

そこで、我が家の屋根にはどの程度の太陽光発電パネルが載るかを検討します。今のところ、どこにどんな家を建てることになるかは不透明ですが、それでは話が進まないので、ここでは以前間取り検討していたプランを前提にします。

この家の屋根に私が今のところ本命視しているソーラーフロンティア製パネルを載せるとすると、最大で9×5=45枚載りそうです。このパネルは1枚あたり190W(最大性能のモデル)なので、190×45=8,550W載ることになります。結構載るな。

もっとも、屋根勾配、軒やけらばの出をどのくらいにするかは決まっておらず、縦横とも1列ずつ減る可能性があります。この場合は8×4=32枚、190×32=6,080Wになります。これでも年間発電量は7,000kWhを超えそうですから、ZEHにはなりそうです。

 

と言うわけで、太陽光発電パネルは最大で8,550W、少なめにみても6,080W載りそうなので、これに見合う能力のパワコンを備えたハイブリッド型蓄電池を探せば良さそうです。

 

5.必要な容量と出力

容量は、蓄電池に貯められる電気の量のことです。水で喩えると、「何リットルのタンクが必要ですか?」に相当します。

スマートパワーステーション100% Editionの考察で分かりましたが、複数日分の電気を貯めるのは非現実的です。現実的なのは、「昼間溜めた電気で翌朝まで賄う」ことくらいでしょう。

オール電化だった過去の住まいの実績では、電力消費が多くなる冬には1ヶ月に700kWhくらい使っていました。1日あたり23kWhくらいです。エコキュートを昼間動かすなどすれば、夜間はこの4割くらいの電力消費に出来るのではないでしょうか。とすると、一晩で9.3kWhの電力消費です。つまり蓄電池の容量は10kWhくらいは必要と言うことになります。

尚、当然ですが太陽光発電は1日あたり23kWhを発電しないといけません。ソーラーフロンティアのパネルは実発電量が多いのですが、それでも発電量の落ちる冬にこれくらい発電するためには、8,000Wくらいのパネルが必要です。うーん、載るかどうか微妙。

 

一方、出力は「何W(ワット)出せるか?」です。同時にどれくらいの電気器具を使えるか、という意味です。水で喩えると、「タンクの水をどれくらいの勢いで出せるか?」です。これが足りないと「水圧が足りない」状態になります。水の場合は「シャワーが弱い」くらいで済みますが、電気の場合は「ブレーカが落ちる」ことになります。停電します。

オール電化にする予定の我が家の場合、エアコンは勿論IHも同時に使うので、少なく見積もっても5kWくらいの能力は必要でしょう。エコキュートは昼間、太陽光発電が動いている間に動かせば良いのでここではカウント不要とします。

これでアンペアブレーカーで言うと50A相当です。オール電化の場合、電力会社との契約は100A(10kW相当)くらいにすることが多い様なので、5kWでも不足かも知れません。

 

まとめると、容量は10kWh以上、出力は5kW以上の蓄電池が必要ということです。

 

-後編に続く-

 

蓄電池の導入を考えてみる-前編-

家を建てたときには太陽光発電パネルを載せるつもりですが、蓄電池をどうするか迷っています。

以前、 オフグリッド住宅の話を書いたりしましたが、セキスイハイムスマートパワーステーション100% Editionに対する考察(前編後編)を振りかえってみても、実際にやるのはコスト的に非現実的です。何しろ、想定している年間消費電力量の2.3倍以上もの発電能力がある太陽光発電を乗せ、蓄電池もリーフ(電気自動車)の蓄電池まで当てにするという超重装備です。

ここまでやっても正確には「1時間以上電気を買わずに済む」であって、年に1、2度(?)の電気不足に備えるために、オフグリッド(電力会社と契約しないこと)は実現出来ていません。

なお、オフグリッドにしない理由はもう一つあります。スマートパワーステーション100% Editionは過剰な太陽光発電パネルを載せるので、冬の一時期以外は電気が余りまくります。「蓄電池に溜めれば良いじゃないか」とはいきません。いえ、勿論溜めますが、リーフの蓄電池まで充電したってほんの1~2日で満充電になります。電気は雨でも降らない限りは余るのです。この毎日毎日余りまくる電気を捨てるのはさすがに惜しいので、売電しようとするとオフグリッドには出来ないわけです。

 

と言うわけで、私は将来建てる自宅を文字通りのオフグリッドにすることは諦めました。考えれば考えるほどデメリットだらけです。一方でそれっぽいこと(なんちゃってオフグリッドとでも呼びましょうか)には未練があって、冒頭の通り蓄電池の導入を検討しているというわけです。

 

で、家庭用の蓄電池について少し調べてみました。先ずはどんなものがあるのかを理解するところからです。

 

1.特定負荷型と全負荷型

住宅用の蓄電池には特定負荷型と全負荷型があるそうです。違いは停電時の動作です。

特定負荷型は、停電時に電気が使えると言っても、特定のブレーカ系統だけでしか電気が使えないというものです。例えば冷蔵庫とテレビだけ、など予め使える機器(ブレーカ)を決めて配線しておきます。重要な箇所で使えれば十分と割り切るのがこれ。供給能力は機種に依りますが2kWのものが多く、3kWの機種がごく一部という感じ。冷蔵庫とテレビまでなら余裕ですが、2kWだと炊飯器も一緒に動かすと駄目でしょうね。

一方、全負荷型は家全体で電気が使える様にするタイプです。ただ、注意が必要なのは、「家全体で使える」と謳いながらあまり電力供給能力が高くないものが散見されることです。例えば伊藤忠商事スマートスターLは停電時の出力が3kWしかありません。これでは特定負荷型の出力大きめの機種と同じです。全負荷型なので「家のどこでも電気が使える」のは確かですが、いつも通りに使うと直ぐに保護回路が働いて停電しそうです。「どこでも使える」からと言って「いくらでも使える」わけではないのです。とは言え、色々見てみると停電時に5kWとか5.9kWまで出せる機種もある様で、これくらいあればさすがに「全負荷型」という雰囲気になってきます。

 

全負荷型でも特定負荷型と同じ程度の能力しかない機種もあるとなると、特定負荷型と全負荷型を分けているのは一体何だろうという疑問が湧きます。で、いろいろ調べてみましたが、どうやら200Vを出せるかどうかで分けられているらしいことが分かりました。200Vも出せれば全負荷型、100Vだけなら特定負荷型ということです。

確かに今の一般家庭だと、オール電化でなくても大きめのエアコンで200Vが必要なことも珍しくありません。「家全体」を名乗るには200Vも出せることは避けて通れないのでしょう。

 

私の目指す「なんちゃってオフグリッド」には全負荷型であることは外せません。その上で停電時に5kWくらい出せる能力は最低でも必要そうです。何しろ私はオール電化にするつもりなので。

 

2.単機能型とハイブリッド型

これは蓄電池が太陽光発電のパワコンの機能を兼ねているかどうか、です。

蓄電池と言っても「家庭用蓄電池」の場合、充電式電池だけではどうにもなりません。電池は充電も放電も直流の電気で行うのに対し、家庭用の電源は交流なので、変換してやらないと使えないからです。なので、家庭用の蓄電池には必ず直流⇔交流の変換を行う回路が内蔵されています(機器によってはこの機能が別筐体に別れているモデルもあります)。

ところで、一般家庭で「直流と交流の変換を行う回路」でもう1つ代表的なのが太陽光発電のパワコンです。ならば、似た様な機能である太陽光発電のパワコンと蓄電池の直流/交流変換機能(これもパワコンと言います)を1台にまとめてやれば効率が良いよね、と言うコンセプトで作られたのがハイブリッド型です。これから太陽光発電を付ける人や、既に太陽光発電を持っているがちょうどパワコンの交換時期を迎えている、と言った人はこちらが合うでしょう。

一方、「太陽光発電のパワコンはもう持ってるよ」というユーザに向けたのが単機能型です。「太陽光発電は無いし付けるつもりもない」というユーザも単機能型ですね。

尚、単機能型の場合、太陽光発電から蓄電池に受電する際、直流→交流→直流と何度も変換を繰り返すのに対し、ハイブリッド型は変換回数が少ないので電気のロスが少ないというオマケの効果もあります。

 

私の場合はどちらでも構いませんが、太陽光発電はこれから付ける予定ですからハイブリッド型を選ぶのが良さそうです。勿論、機能や価格などの兼ね合いで、あえて単機能型という可能性もあるでしょう。

 

-中編に続く-

 

太陽光発電が凄いことになってきた

太陽光発電(正確には再生可能エネルギー)に関する凄い記事を見つけました。下記です。

内容はと言うと、東北電力管内で今年の5月4日、11~12時の時間帯に再生可能エネルギーの比率が全発電量の87.7%になったというものです。とは言え、素人には何が凄いのか分かり難いですね。かく言う私も凄さの本当のところを分かっているわけではないのですが。

 

一般に、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーは発電量が不安定で、あまり比率を増やすと電力系統が不安定になって大規模停電のリスクが出てくるとされます。停電させないためには、太陽光発電風力発電の発電量が増えるのに伴って火力発電所などの発電量を減らしてバランスを取る必要があります。この記事の事例では東北電力がこのバランス取りの責務を担っています。

いつ、どのくらい発電量が増えて、どのくらい減るのか分からない再生可能エネルギーを相手に、常に合計をバランスさせる様に火力発電などの発電量を追従させていったら、結果的に再生可能エネルギーが87.7%にまでなったわけです。この87.7%がどのくらい凄いのかは、10年くらい前、「系統を安定に運用するには3%まで」と言われていたことを考えると想像できます。まあ、3%は「ちょっとマージン持ちすぎでしょ」と言われていた数字ではあるのですが、それを割り引いても凄い。

 

記事を読むと、87.7%の内訳は太陽光発電が76.2%、風力発電が11.5%とのこと。調整に使った火力発電などは最小時には12.3%にまで発電量を減らした計算になります。夜になれば太陽光発電は発電量がゼロになりますから、風力発電が昼と同じだけ発電していたとしても、再生可能エネルギーは11.5%にまで減ります。差し引きで火力発電などは88.5%にまで増やさねばなりません。火力発電などを1日の間で7倍以上も発電量を増減させる(12.3% ⇔ 88.5%)というのは、かなりのコントロールです。

天然ガス火力発電は比較的発電量の増減が得意と聞きますが、全ての火力発電所天然ガス型というわけではないでしょう。今は東北電力原子力発電所は全て停止中なので、それが幸いした部分はありそうです(原発は短時間で発電量を増減させることが出来ません)。

 

以前、似たネタを書いた際は、九州電力の検討結果として「全発電量の半分くらいまでは再生可能エネルギーを増やせる。それも限界ではなく更に増やせる可能性もある」という記事を紹介しました。しかし、それから7年で半分どころか9割近くにまで増やすことが可能になるとは凄いことです。

 

まあ、87.7%とは言ってもあくまでも瞬間最大風速に過ぎず、均して見れば、再生可能エネルギーの発電比率は15%くらいに過ぎません。とは言え、冒頭に紹介した記事は、いろいろな可能性を感じられる様になってきたと感慨深く感じさせるものでした。

自宅を建てるときにも太陽光発電は付けたいものです。電力自給率87.7%くらいいけるかな?

エクセルシャノンの超高性能サッシSPG

エクセルシャノンが超高性能サッシを発表しました。シャノンウインドSPGです。

数年前にLIXILレガリスという超高性能サッシを発売したことに触れましたが、それに匹敵します。カタログに書かれているUw値はレガリスが0.55[W/m2・K]なのに対し、シャノンウインドSPGが0.52[W/m2・K]でレガリスを超えています。同じ構成の窓ではないと思われるので、数値での単純な優劣は言えませんが、同レベルの性能だとは言えるでしょう。

 

このSPGで技術的に面白いのは、真空ガラスを採用していることです。窓用の真空ガラスというと、これまでは日本板硝子スペーシアしかありませんでしたが、SPGではスペーシアではなく、パナソニック製のグラベニール  という真空断熱ガラスを使っています。

SPGではこのグラベニールに更に2枚のガラスを組み合わせ、クアドラプルガラス(4枚)の構成にして断熱性を高めています。ガラスは4枚、つまり断熱層は3箇所ですが、内1箇所は真空断熱層なので厚さは0.1mmしかありません。結果、クアドラプルガラスながらトリプルガラスと同程度の厚さに収まっているわけです。(エクセルシャノンはこれをトリプルガラスと呼んでいますが、断面図にもある様にガラスは4枚です。)

エクセルシャノンの既存モデルで最も高性能なのはUFシリーズですが(緑の家のAsグレードに使われています)、これのガラス部分を上記のクアドラプルガラスに入れ替えたのがSPGと考えて良さそうです。UFシリーズのトリプルガラスの厚さは仕様により31mmまたは39mmですが、SPGはクアドラプルガラスながら37.1mmに収まっています。UFシリーズのサッシ枠にそのまま収まりそうです。

 

既存のUFシリーズはUw値がカタログ代表値で0.68[W/m2・K](クリプトンガス仕様の場合)ですが、ガラス部分を上記のクアドラプル仕様に変更することで0.52[W/m2・K]まで性能を改善できたことになります。

カタログによると、クアドラプルガラス部分だけの性能であるUg値は0.29[W/m2・K]だそうです。

 

1つ残念なのは、SPGはラインナップがすべり出し窓など、ごく限られています。今のところドレーキップも無し。UFシリーズの枠にガラス部分を入れ替えるだけなら簡単にラインナップを増やせそうな気もしますが、そう簡単にはいかない事情があるのでしょう。考えられるのは、ガラス部分が重くて既存のサッシ枠ではその重さに耐えられない可能性です。

SPGはガラス部の厚さこそトリプルガラス並みですが、ガラスは4枚あります。3mm厚ガラスが3枚だったUFシリーズに対し、SPGは3mm厚が3枚と4mm厚が1枚。その分だけ重いのは間違いありません。

ドレーキップなどのラインナップが増えるのはもう少し待たねばならないようです。

 

とは言え、私が家を建てるであろう地域(今のところ6地域の可能性が高い)ではそこまでの性能はそもそも要らないんですけどね。

エコキュートを選んでみる(5)

-(4)から続く-

 

(2)機種選定

各社の特徴は概ね理解できました。それを踏まえてどの機種を選定するか、です。

もっとも、今回は価格を調べていないので、性能・機能だけの比較です(住設では定価がアテにならないので定価での比較は無意味です)。いくら私が省エネ好きでも、値段があまりに違う場合は最高性能を選ばないこともあります。その意味で、値段を無視した今回の比較はあまり意味がありません。あくまでも、性能・機能だけで選ぶとしたら、という参考程度のものです。

 

先ず、省エネ性(年間給湯保温効率)が明確に劣る東芝、シャープ、ダイキンは落選です。

次に、省エネ性はまずまずでも、これと言った機能・特長が無いパナソニック、コロナが落選です。

長府は湯はり時間の短さが最大の特長ですが、我が家が選ぶ可能性の高い460L型だと全く速くなく、それに以外は大きな利点が無いので落選。

残るは三菱、日立、デンソーの3社。各社の特徴をおさらいすると、

  • 三菱は最高性能の年間給湯保温効率にバブル入浴、バブル配管洗浄とUV殺菌。但し湯はり時間が長いのが玉に瑕。
  • 日立は水道直圧式の高圧シャワーと短時間の湯はり、それにバブル入浴。但し年間給湯保温効率はやや劣ります。
  • デンソーは戸外でお湯が使える利便性にバブル配管洗浄。湯はり時間は記載が無いので不明(多分長いのでしょう)。

年間給湯保温効率は大差無いので、そこで勝負が付く感じではありません。それ以外の何を優先するか、です。

湯はり時間の短さが譲れないなら日立ですね。そこに目を潰れるなら三菱かデンソーですが、両者の差はバブル入浴(三菱)か屋外でお湯が使える(デンソー)かというところ。

うーん、3社とも甲乙付けがたいのですが、今回はデンソーに軍配としましょう。

もっとも、屋外でお湯が使えるメリットは冬の洗車くらいの気もします。三菱が次のモデルチェンジで、湯はり時間を大幅に短縮してきたりしたら、結論は変わることでしょう。あるいは日立が残り湯熱回収機能を装備して年間給湯保温効率で再度トップになったとしても。

 

そう考えると、競争があるのは消費者としては有り難いことです。実際の選定時にどこまで性能・機能が向上しているか、楽しみです。

 

エコキュートを選んでみる(4)

 -(3)から続く-

 

ダイキン

今回、悪い意味で最も意外だったのがダイキンです。エアコン業界では飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばしているダイキンですから、同じヒートポンプ技術で成り立っているエコキュートも当然高い商品力のものをラインナップしているものと思っていましたが、、、

一番の期待外れは年間給湯保温効率が3.3と低いこと。店じまい状態のシャープを除けば基本性能でビリです。他社の廉価版レベルの性能です。当然と言うべきか、残り湯熱回収機能も装備していません。

配管洗浄機能は付いています。但しマイクロバブルではなく水です。

一方、浴槽にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル入浴という機能が(オプションですが)あり、湯冷めし難いと謳っています。

給湯圧力が320kPaで水道直圧式の日立を別にすれば最高値ですが、他社も低くて280kPaですから、言うほどの利点とは言えません。湯はり時間は標準で11分と平均的ですが、高速湯はり機能はありません。

1つ興味を引かれたのが、「にごり湯タイプの入浴剤対応」です。他社が軒並み「入浴剤は透明なタイプだけ。乳白色やにごり湯タイプは駄目」とする中、にごり湯タイプも使えると明記されているのは調べた限りではダイキンだけでした。

とは言え、それで基本性能(年間給湯保温効率)の低さを補えるかというと、私はそこまでではないです。エアコン業界の雄も、私の好みで言うと、あえて選ぶ理由に乏しいなと感じました。

 

デンソー

いい意味で最も意外だったのがデンソーです。そもそも自動車業界Tier-1(完成車メーカーに直接部品やシステムを納品するメーカ)の雄が何でエコキュートなんか作っているのか、不思議です。エコキュートの基本特許を持っているのは実はデンソーらしく、昔から開発していたらしいんですが、そもそも何で開発しようと思ったのでしょうね。

年間給湯保温効率は370L型で4.0、460L型で3.9と優秀。ecoとくと呼ぶ残り湯熱回収機能がついてこの性能です。

給湯圧力は280kPaで問題なし。ぐるぐるバブル洗浄という配管洗浄機能も装備。

面白いところでは、(配管ではなく)浴槽を洗浄するために洗浄剤を泡立てる機能があります。また、屋外でお湯が使える様に、タンクから直接給湯できる機能もあります。冬の洗車をお湯で出来るわけです。

全部入りとまでは言いませんが、基本性能・機能は押さえていて、更にちょっとしたオリジナル機能もあるという、なかなか力の入った商品に仕上がっています。

ただ、太陽光発電連携などの機能が無いのは珍しいですね。今回調べた中では、デンソー以外には東芝だけでした。

 

-(5)に続く-

 

エコキュートを選んでみる(3)

 -(2)から続く-

 

 東芝

ここはあまり力が入っていない印象です。

年間給湯保温効率は370L型、460L型共に3.6で、各社の最上位機種がほぼ4.0に届いている現状ではイマイチの性能です。

一番の売りは銀イオンの湯。これは浴槽のお湯に雑菌が繁殖することを抑えるための機能で、三菱の深紫外線照射機能と目的は同じです。銀イオン発生装置を内蔵し、銀イオンの雑菌抑制効果を利用して雑菌の繁殖を抑えるわけです。

他には リモコンがタッチパネルになっていること、また保証が5年と長いことが特長と言うくらいで、特筆することがあまりありません。

選定候補に入れるまでも無いかなと言う印象です。

 

シャープ

ここは東芝以上にやる気無しです。

と言うのも、ウェブ・サイト掲載の全モデル(2機種しかありませんが)に在庫僅少マークが付いているのです。要するに生産完了品ということです。新モデルの掲載も無いところを見ると、シャープはエコキュート事業から撤退するのかも知れません。

問題外です。

 

コロナ

意外に、と言うと失礼ですが、頑張っているのがコロナです。

年間給湯保温効率は370L型で4.0、460L型で3.9と、頭1つリードしている三菱を除けばトップクラス。驚く事にコロナは残り湯熱回収機能を装備していません。にもかかわらずこの数字は優秀です。何しろ残り湯熱回収機能のあるパナソニックと同じなのですから。それだけに残り湯熱回収機能が無いのが惜しい。あれば三菱に肩を並べて業界最高性能だったのではないかと。

ただ、残念ながらそれ以外に特筆すべき特徴がありません。給湯圧力は290kPaと基本は押さえていますが、コロナならではの機能がありません。

凄く安ければ悪くないですが、そうでなければあえて選ぶ理由には乏しいです。

 

長府

ここも意外と健闘しています。

年間給湯保温効率は370L型で4.0、460L型で3.8と三菱を除けばトップクラスです。ecoとくと呼ぶ残り湯熱回収機能も装備しています。ただ、不思議なことにこの機能を使った場合とそうでない場合の性能が全く同じです。つまり、JIS C 9220:2018でもJIS C 9220:2011でも、年間給湯保温効率は4.0/3.8なのです。何のための残り湯熱回収機能なのやら。

給湯圧力は300kPa、配管の洗浄機能もあり(但しマイクロバブルは無くて単なる水洗浄)と、一通りの機能は押さえています。

また、湯はり時間が標準で8.75分、高速湯はりで6.5分と、今回調べた中では最速でした。素晴らしい、と言いたいところなのですが、この性能は370L型のみ。同じハイエンド機でも、460L型は標準11分、高速10分と、やや平凡な数字になります。湯量に余裕を持って460L型にしようかと考えている我が家としては残念至極です。

今回の比較対象であるハイエンド機ではありませんが、水没対応型をラインナップしているのも特徴的。これは電気関係の部品をタンクの上部に設置することで、ある程度浸水してもエコキュートとしての機能には支障が生じない様にする工夫です。ヒートポンプユニットは水に浸かるとアウトなので、少し高い台の上に設置する前提ですが。

実は今回一番惜しいと感じたのが長府です。年間給湯保温効率こそトップの三菱に少し劣りますが、機能面はそつが無いし、何より湯はりが圧倒的に速い。と思ったら速いのは370L型だけ。などなど。

来年のモデルチェンジで460L型も高速湯はりが速くなることに期待です。

 

-(4)に続く-